国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
竹林寺書院
ふりがな
:
ちくりんじしょいん
棟名
:
棟名ふりがな
:
竹林寺書院 外観(南西から見る)
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員数
:
1棟
種別
:
近世以前/住宅
時代
:
江戸後期
年代
:
文化13
西暦
:
1816
構造及び形式等
:
桁行20.2m、梁間14.3m、一重、入母屋造、玄関附属、桁行12.8m、梁間7.9m、切妻造、南面車寄付 向唐破風造、銅板葺
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
2641
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2016.02.09(平成28.02.09)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(三)歴史的価値の高いもの
重文指定基準2
:
(五)流派的又は地方的特色において顕著なもの
所在都道府県
:
高知県
所在地
:
高知県高知市五台山
保管施設の名称
:
所有者名
:
竹林寺
所有者種別
:
寺院
管理団体・管理責任者名
:
竹林寺書院 外観(南西から見る)
解説文:
詳細解説
竹林寺は高知市街東方に所在する真言宗寺院で四国霊場の札所として知られる。江戸時代には土佐藩主山内家の祈願寺として興隆した。
書院は文化13年(1816)の建築で,6室を配した主体部の南面と西面に広縁を廻した形式とし,東面に玄関が取り付く。内部は背面西側の上段の間に床、棚、付書院を構え,背面中室では側方に床を設えて後方の庭園を臨む座敷とする点に特色がある。
竹林寺書院は,建立年代が明らかで四国地方に希少な近世の書院建築として貴重である。土佐地方に特徴的な細部意匠を持つ上段の間を構え,庭園鑑賞を意図した開放的な裏座敷を持つなど,藩主祈願寺としての特質や地方的特色も併せ持ち,高い価値が認められる。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
竹林寺書院 外観(南西から見る)
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竹林寺書院 外観(南西から見る)
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解説文
竹林寺は高知市街東方に所在する真言宗寺院で四国霊場の札所として知られる。江戸時代には土佐藩主山内家の祈願寺として興隆した。 書院は文化13年(1816)の建築で,6室を配した主体部の南面と西面に広縁を廻した形式とし,東面に玄関が取り付く。内部は背面西側の上段の間に床、棚、付書院を構え,背面中室では側方に床を設えて後方の庭園を臨む座敷とする点に特色がある。 竹林寺書院は,建立年代が明らかで四国地方に希少な近世の書院建築として貴重である。土佐地方に特徴的な細部意匠を持つ上段の間を構え,庭園鑑賞を意図した開放的な裏座敷を持つなど,藩主祈願寺としての特質や地方的特色も併せ持ち,高い価値が認められる。
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詳細解説
竹林寺書院 一棟 高知県高知市 宗教法人 竹林寺 竹林寺は、行基による神亀元年(七二四)開創と伝える真言宗寺院で、高知市街東方の五台山頂南側に境内を構える。江戸時代には土佐藩主山内家の祈願寺として興隆した古刹であり、現在も四国霊場の札所として知られる。伽藍はたびたび火災に遭い、特に文化五年(一八〇八)には本堂以外の大半の堂舎を焼失したとみられる。 境内は東西に長く、また起伏をもち、ほぼ中央に重要文化財の本堂(明治三七年八月二九日指定)を南面して構え、東方の下段境内の中ほどに書院を建て、書院の周囲に庫裏や虚空蔵堂、日吉神社など、本堂南方に大師堂と五重塔、西方に船岡堂を配する。また書院の南面から西、北面にかけて池泉庭園が展開している。書院は「竹林寺客殿」として昭和三七年九月一四日付で高知県保護有形文化財に指定されており、庭園は平成一六年九月三〇日付で国指定名勝となっている。 書院は文化五年火災後の同一三年の再建になり、南面して建つ。桁行二〇・二メートル、梁間一四・三メートル、入母屋造とし、東側面に桁行一二・八メートル、梁間七・九メートルの玄関を附属し、ともに銅板葺とする。玄関のさらに東に庫裏が連続している。 平面は、三室を前後二列に並べた六間取の主体部の、南面と西面に広縁及び落縁を廻し、東側の玄関との間に入側、北面に二段の縁を通す形式になる。六間取の前列三室は中央に一八畳、左右に一二畳を配する。後列は西室を上段の間とし、上段の間の北面西間に床、東間の床脇に清楼棚を設え、西面北間の付書院には、高知県内に散見される独特な形状の火灯枠を設け、意匠を凝らす。後列東側には中室と東室の座敷を合わせた裏座敷を配し、上段の間と中室との間に小部屋を設ける。また後列中室では床を西面に構え、北面の入側柱を省いて庭園への開放性を確保し、眺望を得る構成とする。 軸部は、主体部は面取角柱を貫で固めて内法長押と蟻壁長押を廻らし、周囲は、広縁外側の柱に舟肘木を載せて入側桁を受け、その他は柱天で直接桁を受ける。前列三室と上段の間、裏座敷二室の境は柱を省き、その他は比較的密に柱を立てる。柱や長押は木太く、舟肘木など各部材も木割が大きく、力感のある内部空間を構成する。小屋組は二重梁形式である。軒は二軒疎垂木で、妻飾りを木連格子とし、鰭付三花懸魚を吊る。 柱間装置は、室境は襖、入側通りは腰付障子や舞良戸、西広縁前面に杉戸をたて、いずれも框を黒漆塗とする。南面と西面は、軒の木負内寄りに柱を配し、腰付障子と雨戸をたて、小壁を無双窓として落縁を室内に取り込む。また前列三室の境に竹の節欄間を設け、前列西室と上段の間境、裏座敷二室の室境に組子欄間を入れ、各々空間的連続性をもたせる。裏座敷の組子欄間の意匠には、藩主山内家の紋に因む柏葉を引用する。 天井は、主体部では上段の間を格天井とするほかは棹縁天井を張り、南面と西面広縁の入側部は鏡天井、落縁部は化粧屋根裏とする。 玄関は、正面に構える唐破風造の車寄を式台とし、上り口の八畳と共に大玄関と呼ぶ。大玄関と書院の入側との間に前後二室をおき、大玄関東側に小玄関と応接室を配する。車寄は角柱を木鼻付の頭貫で固め、三斗で受ける虹梁に蟇股を載せ、式台は格天井を張る。柱間装置は、正面に舞良戸をたて、大玄関西奥壁は貼付壁とし、ほかは杉戸や障子をたてる。 竹林寺書院は、建立年代が明らかで、四国地方で希少な近世の書院建築として貴重である。土佐地方に特徴的な細部意匠をもつ上段の間を構え、庭園鑑賞を意図した開放的な裏座敷をもつなど、藩主祈願寺としての特質や地方的特色もよく備え、高い価値が認められる。 【参考文献】 『高知県の近世社寺建築』高知県教育委員会、一九八一年 『竹林寺の庭園及び客殿調査報告書』高知市教育委員会、二〇〇二年 『名勝竹林寺庭園保存管理計画書』宗教法人竹林寺・高知市教育委員会、二〇〇六年 『竹林寺客殿・庭園調査報告書』五台山竹林寺、二〇一二年