国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
旧郡築新地甲号樋門
ふりがな
:
ぐんちくしんちこうごうひもん
棟名
:
棟名ふりがな
:
旧郡築新地甲号樋門
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員数
:
1棟
種別
:
近代/産業・交通・土木
時代
:
明治
年代
:
明治34
西暦
:
1901
構造及び形式等
:
石造及び煉瓦造樋門、延長33.1m、南北袖石垣及び東西石造水叩附属
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02452
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2004.07.06(平成16.07.06)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(二)技術的に優秀なもの
重文指定基準2
:
(三)歴史的価値の高いもの
所在都道府県
:
熊本県
所在地
:
熊本県八代市郡築2番町地先、同3番町168番地2の一部、同3番町171番地2の一部、同3番町地先、同4番町地先及び同5番町地先
保管施設の名称
:
所有者名
:
国(国土交通省)、八代平野北部土地改良区、財団法人郡築会
所有者種別
:
管理団体・管理責任者名
:
旧郡築新地甲号樋門
解説文:
詳細解説
旧郡築新地甲号樋門は,球磨川の河口北方に広がる干拓地に築かれた干拓樋門で,明治33年に起工,明治34年に竣工した。煉瓦造10連アーチ式通水部の上方及び左右に,切石を垂直に積み上げたもので,樋門の海側には南北約1kmにわたり石造潮受堤防を残す。
旧郡築新地甲号樋門は,明治の干拓事業として有数の規模を誇る八代海干拓事業の代表的遺構として歴史的に価値が高い。
また,わが国に現存する組積造樋門として最大規模を有する貴重な土木構造物であるばかりでなく,樋門壁面の切石積に巧緻な石積技術が発揮された,技術的完成度の高い,明治を代表する干拓樋門として重要である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
添付ファイル
なし
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旧郡築新地甲号樋門
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旧郡築新地甲号樋門
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解説文
旧郡築新地甲号樋門は,球磨川の河口北方に広がる干拓地に築かれた干拓樋門で,明治33年に起工,明治34年に竣工した。煉瓦造10連アーチ式通水部の上方及び左右に,切石を垂直に積み上げたもので,樋門の海側には南北約1kmにわたり石造潮受堤防を残す。 旧郡築新地甲号樋門は,明治の干拓事業として有数の規模を誇る八代海干拓事業の代表的遺構として歴史的に価値が高い。 また,わが国に現存する組積造樋門として最大規模を有する貴重な土木構造物であるばかりでなく,樋門壁面の切石積に巧緻な石積技術が発揮された,技術的完成度の高い,明治を代表する干拓樋門として重要である。
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詳細解説
旧郡築新地甲号樋門 一基 旧郡築新地甲号樋門は、八代海に注ぐ球磨川の河口北方に広がる干拓地に築かれた干拓樋門である。郡築新地とは、明治三八年の臨時郡会において、新たに造成された土地の名称として議決されたもので、甲号樋門とは明治三五年七月一四日付で八代郡から内務省に提出された書類に記され、現在の土地台帳附属地図にも使われている当樋門の名称である。 樋門は、八代郡が基本財産形成を企図して行った、八代海干拓事業(当時の事業名は八代郡公有水面埋立事業)の一環として、熊本県技師川口虎雄の設計に基づき建設が進められたもので、明治三三年に起工、明治三四年に竣工した。起工年は『八代郡事業水面埋立地図』(熊本県立図書館所蔵)によるが、竣工年については、明治三三年五月二日の郡会土木委員会で竣工期限を契約日より三〇〇日とする樋門工事随意契約が結ばれているとする『八代郡営海面干拓小誌』(川端直一、大正六年)から推定している。平成七年の門扉再設工事に伴い樋門西側へコンクリートが打設されているが、全体として躯体の残存状況は良好である。 樋門は、干拓地の排水機能を確保するために、海面と干拓地の境に築かれたもので、南北両端に袖石垣を構え、海側と干拓地側に石造水叩を張り出す。また、樋門に対して海側には南北一〇九〇・〇メートルにわたり石造潮受堤防を残し、これを附指定とする。 樋門は、煉瓦造一〇連アーチ式通水部の上方及び左右に、切石を垂直に積み上げた構造物である。高さ五・六メートル、天端幅五・二メートルで、袖石垣に挟まれた天端長を三三・一メートルとし、干拓地側壁面に接して階段状の切石積隔壁を計一一基立ち上げる。土木学会附属土木図書館所蔵の樋門建設中の古写真によると、現在の袖石垣の内部まで樋門の石造躯体が入り込んでいることが分かる。通水部のアーチは煉瓦小口三枚厚で、覆工側壁をイギリス積とし、起拱部と坑口側壁に石材を用い、底部には切石を敷く。樋門壁面には、布積の他、五角形切石の凸部を上下に組み合わせた整層積などが駆使され、頂部に笠石を配す。また、樋門海側には、壁面と平行して石造階段を二基設ける。 袖石垣は、樋門の干拓地側壁面からほぼコ字形平面に石垣を築いたもので、石垣高の変化する地点に曲線平面状の石造階段を設ける。袖石垣の底部から干拓地側に張り出す土地は、かつて樋門管理用小屋が設けられ、さらに一部布積石造護岸を残すなど、樋門と一体をなして価値を形成しており、併せて保存を図る。 旧郡築新地甲号樋門は、明治の干拓事業として有数の規模を誇る八代海干拓事業の代表的遺構として歴史的に価値が高い。また、わが国に現存する組積造樋門として最大規模を有する貴重な土木構造物であるばかりでなく、樋門壁面の切石積に巧緻な石積技術が発揮された、技術的完成度の高い、明治を代表する干拓樋門として重要である。 【参考文献】 『公益組合史』(八代市外二十一町村公益事業組合 一九四一年) 『熊本県近代化遺産総合調査』(熊本県教育委員会 一九九九年) 『日本の近代土木遺産』(土木学会 二〇〇一年) 『八代海干拓施設調査報告書』(八代市教育委員会 二〇〇四年)
関連情報
附指定
潮受堤防(石造、延長1090.0m)
関連情報
附指定
附名称
:
潮受堤防(石造、延長1090.0m)
附員数
:
1所