国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
京都府庁旧本館
ふりがな
:
きょうとふちょうきゅうほんかん
棟名
:
棟名ふりがな
:
京都府庁旧本館
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員数
:
1棟
種別
:
近代/官公庁舎
時代
:
明治
年代
:
明治37
西暦
:
1904
構造及び形式等
:
煉瓦造一部石造、建築面積2822.43平方メートル、2階建、正面及び背面車寄付、スレート葺
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02458
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2004.12.10(平成16.12.10)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(一)意匠的に優秀なもの
重文指定基準2
:
(三)歴史的価値の高いもの
所在都道府県
:
京都府
所在地
:
京都府京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町
保管施設の名称
:
所有者名
:
京都府庁
所有者種別
:
管理団体・管理責任者名
:
京都府庁旧本館
解説文:
詳細解説
京都府庁旧本館は,京都御所の西方に位置し,明治37年12月20日に竣工した。設計は,文部技師久留正道の指導の下,京都府技師松室重光が担当した。
煉瓦造2階建,一部地下室付で,小屋組は木造トラス,屋根は天然スレート葺とする。平面は中庭をもつロ字形で,正面に車寄,背面に「議事堂」を突出する。石造風につくる優れた外観をもち,内部も正庁,大階段,議事堂など充実した室内意匠をもつ。
京都府庁旧本館は,明治中期における日本人建築家による本格的西洋建築であり,西洋建築様式習得のひとつの到達点を示す作品として重要である。
また,議事堂を一体化した府県庁舎建築の典型であり,明治以降の府県庁舎建築の定型として,以降の模範となったことでも歴史的意義が認められる。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
添付ファイル
なし
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京都府庁旧本館
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京都府庁旧本館
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解説文
京都府庁旧本館は,京都御所の西方に位置し,明治37年12月20日に竣工した。設計は,文部技師久留正道の指導の下,京都府技師松室重光が担当した。 煉瓦造2階建,一部地下室付で,小屋組は木造トラス,屋根は天然スレート葺とする。平面は中庭をもつロ字形で,正面に車寄,背面に「議事堂」を突出する。石造風につくる優れた外観をもち,内部も正庁,大階段,議事堂など充実した室内意匠をもつ。 京都府庁旧本館は,明治中期における日本人建築家による本格的西洋建築であり,西洋建築様式習得のひとつの到達点を示す作品として重要である。 また,議事堂を一体化した府県庁舎建築の典型であり,明治以降の府県庁舎建築の定型として,以降の模範となったことでも歴史的意義が認められる。
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詳細解説
京都府庁旧本館 一棟 京都府庁旧本館は、京都御所の西方に位置し、下立売通りに南面して建つ。「新築京都府庁」(『建築雑誌』第二一九号 明治三八年三月)によると、明治三四年四月一日府庁内務部第二課内に建築係を設置し、同年一一月九日起工、同三五年七月二五日地鎮祭を挙行、同三七年一二月二〇日竣工した。旧本館正面玄関広間の柱台座に嵌め込まれた銘板には、「明治三十四季十一月九日起工 明治三十七季十二月廿日竣工」とある。設計は、文部技師久留正道の指導の下、京都府技師松室重光が当たった。 京都府庁旧本館は、煉瓦造二階建一部地下室付、建築面積二八二二平方メートル、小屋組木造トラス、屋根天然スレート葺とする。「新築京都府庁」には「構造は石材煉瓦混造」とあるが、構造主体部煉瓦造、正面(南面)車寄石造と判断される。『京都日出新聞』掲載の挿図「新築京都府庁舎の図」によれば、正面一階には水平目地とアーチ迫石目地を描いており、当初は一階全面に議事堂部と同様の目地を切っていたものと推測される。 平面は中庭をもつロ字形で、中庭側に廊下を回す。正面(南面)に車寄、背面(北面)に府会「議事堂」を突出させ、正面中央二階に「正庁」、中庭側に大階段、二階四隅に「知事室」(東南隅)・「貴賓応接室」(西南隅)・「府会議長室」(西北隅)・「参事会室」(東北隅)を置き、東面と西面中央には中庭に抜ける通路をとり、その南北に各課諸室を配するなど、議事堂を一体化した府県庁舎として完成された平面をもつ。京都府庁舎旧本館に先行する議事堂一体型府県庁舎に兵庫県庁舎(設計山口半六 監督秋吉金徳 明治三二年一月起工 明治三五年五月竣工 現兵庫県公館 国登録有形文化財)があり、平面計画及び正面の立面構成において参考にされたものと推測される。 外観意匠は、「羅馬レネッサンス式を主とし其他を折衷したるもの」で、外壁は「石造模擬塗り」とされ、柱型など要所に花崗石を用いる。各面は左右対称の立面をもち、四隅を薄く張出し、角形のマンサード屋根を載せる。正面中央部は、大角形マンサード屋根を架けた突出部の中央を薄く前面に張出し、一階二面切の石積・二階コリント式角柱がペディメントを戴く立面構成とし、更にローマ・ドリス式の石造車寄を突出させる。背面中央の議事堂部は、マンサード屋根を架けて独立した棟の扱いとし、半円アーチ窓を並べた高窓層の下部に、階上傍聴席、階下アーケードを廻した三層構成とする。アーケードは、北面中央に車寄を突出させ、水平目地を切り、開口部要石の上と車寄部柱型に石材装飾を施すなど南正面とは異なる意想で北面をつくる。内部も、正庁、大階段、議事堂など充実した室内意匠をもつとともに、創建時の形態をよく留めていることも貴重である。 京都府庁旧本館は、明治中期における日本人建築家による本格的西洋建築のひとつであり、西洋建築様式習得のひとつの到達点を示す作品として重要である。また、議事堂を一体化した府県庁舎建築の典型であり、明治以降の府県庁舎建築の定型として以降の模範となったことでも歴史的意義が認められる。 【参考文献】 『都道府県庁舎 その建築史的考察』(石田潤一郎 思文閣出版 一九九三年)