国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
遺愛学院(旧遺愛女学校)
ふりがな
:
いあいがくいん
棟名
:
本館
棟名ふりがな
:
ほんかん
遺愛学院(旧遺愛女学校)本館
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員数
:
1棟
種別
:
近代/学校
時代
:
明治
年代
:
明治41
西暦
:
1908
構造及び形式等
:
木造、建築面積1134.85平方メートル、2階建、鉄板葺
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02391
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2004.12.10(平成16.12.10)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(一)意匠的に優秀なもの
重文指定基準2
:
所在都道府県
:
北海道
所在地
:
北海道函館市杉並町23番地11
保管施設の名称
:
所有者名
:
学校法人遺愛学院
所有者種別
:
管理団体・管理責任者名
:
遺愛学院(旧遺愛女学校)本館
解説文:
詳細解説
遺愛女学校は,明治15年2月,函館市元町のハリストス正教会の隣地に創立され,明治後期に現在地へ移った。本館は,重要文化財となっている旧宣教師館と同じく明治41年の竣工で,設計はガーディナーによる。
木造2階建で,正面中央に車寄付玄関を設け,翼部と円形突部を加え,変化に富んだ構成になる。特徴的な旧講堂の空間構成など,内外とも意匠的に優れている。
遺愛学院(旧遺愛女学校)本館は,北海道における木造学校建築の代表作のひとつとして高い価値がある。また,設計者を含め建設経緯が明らかで,明治後期学校建築の指標となる遺構としても重要である。
建設関係文書計4点も附指定として保存を図る。
関連情報
(情報の有無)
附指定
添付ファイル
なし
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遺愛学院(旧遺愛女学校)本館
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遺愛学院(旧遺愛女学校)本館
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解説文
遺愛女学校は,明治15年2月,函館市元町のハリストス正教会の隣地に創立され,明治後期に現在地へ移った。本館は,重要文化財となっている旧宣教師館と同じく明治41年の竣工で,設計はガーディナーによる。 木造2階建で,正面中央に車寄付玄関を設け,翼部と円形突部を加え,変化に富んだ構成になる。特徴的な旧講堂の空間構成など,内外とも意匠的に優れている。 遺愛学院(旧遺愛女学校)本館は,北海道における木造学校建築の代表作のひとつとして高い価値がある。また,設計者を含め建設経緯が明らかで,明治後期学校建築の指標となる遺構としても重要である。 建設関係文書計4点も附指定として保存を図る。
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詳細解説
遺愛学院(旧遺愛女学校)一棟 本館、附建設関係文書四点 遺愛女学校は、明治一五年二月、函館市元町のハリストス正教会の隣地に創立された。明治後期に元町校舎の移転が計画され、明治三六年一〇月に五稜郭の南の現在地を購入し、同三九年六月に本館定礎式を行い、同四一年一月一六日に開校式が行われた。近年、遺愛学院所蔵の本館建設関係書類として、「函館遺愛女學校本校舎新築工事仕様書」(明治三八年頃)、「本工事圖面仕様書ニ對スル変更及模様替調」(明治三九年一月一〇日付)、「第二回変更箇条」(明治三九年)、「遺愛女學校建築契約書」(明治三九年二月一二日付)が確認された(これらを附指定とする)。これによって、本館は設計が米国人建築家ガーディナー、工事請負が函館の埴谷長次郎と判明した。 遺愛学院(旧遺愛女学校)本館は、南北に長い敷地のほぼ中央に、北を正面にして建つ。北面西寄りに渡り廊下で講堂が結ばれ、また北面東寄り、南面東寄り、西端の三箇所で新校舎に接続する。南後方には宣教師館がある。 本館は、木造二階建、桁行五二・七メートル、梁間一五・五メートルの寄棟造で、北正面中央に車寄付玄関を設け、翼部では東西端および北面の東西両端を、幅九・一メートル、四・五メートルの規模で突出させる。玄関上部と翼部の突出は切妻屋根とし、ペディメントを飾る。翼部の入隅には四分の一円形部を設け、円錐屋根とする。基礎は煉瓦造布基礎、小屋組はクイーンポストトラス、屋根は全て鉄板葺である。外壁は下見板張で、腰を竪羽目板張とし、胴蛇腹を廻し、出隅はトスカナ式大オーダーの角柱を思わせる仕上げとする。窓は欄間付の上げ下げガラス窓で、上部に板庇を付け、一、二階の窓台と二階窓楣を連続させて、水平線を強調する。二階窓下の持送り、蛇腹形の軒樋、翼部ペディメントの半円アーチ換気口など、細部の造形にも配慮する。なお、現在は外壁を淡いピンク、柱や胴蛇腹と開口部周りを白のペンキで塗っているが、竣工当時の写真では、隅の柱形や蛇腹と開口部周りを白色、外壁を濃色(色彩不明)に塗り分けていた。 正面玄関の車寄は、左右に台石付のトスカナ式円柱を近接して立て、アーキトレーブを受ける。壁寄りではトスカナ式のピラスターとする。上部はバルコニーとし、パラペットを立ち上げる。玄関上の二階は僅かに突出し、アーチ欄間付の両開きガラス扉と上げ下げ窓で飾る。玄関には欄間付の両開ガラス扉を設け、両脇は嵌め殺しとする。正面東端の円錐屋根下には職員昇降口、正面西端の円錐屋根下には生徒昇降口を設け、トスカナ式円柱二本が四分の一円弧のアーキトレーブを支える。 一階は、中廊下北側に旧応接室など三室、南側は中央にベイウインドウ付の校長室を配し、廊下東端が旧教員室、北東翼部が旧図書室で、他は教室とする。西端には翼部を含めて生徒昇降口を設ける。階段は中廊下東西端の北側にあり、西階段では中間の踊り場から分かれた四分の一円形部内の廻り階段が旧講堂へ通じる。二階は、中廊下の両側を教室とし、西端に旧講堂を置く。旧講堂は、トスカナ式円柱を立てて中央天井を一段高く折り上げる。その梁高位置には、中央の輪金物に八方から鉄管を引きつけたタイバー構造を用いる。 内壁は諸室及び廊下とも、腰を竪羽目板張、上部を白漆喰塗とする。玄関と廊下の境等では梁下に漆喰塗のコンソールを付けて空間を分節する。各室への出入口は欄間付の片開き板扉で、教室の廊下側には引違いガラス窓を設ける。床は縁甲板張である。天井は諸室及び廊下ともに板天井で、格子組に天井板の方向を違えて市松に張る。また、旧講堂下部の生徒昇降口および南西隅の元寄宿舎への通路では梁形を現した板天井とする。 一部に後世の改変があるが、その経緯は明らかで、平面構成や主たる構造に変更はなく、全体として当初の状態が保持されている。 遺愛学院(旧遺愛女学校)本館は、平明な外壁に翼部と円形突部を加えて変化を与えた外観構成や、特徴的な旧講堂の空間構成など意匠的に優れ、北海道における木造学校建築の代表作のひとつとして、価値が高い。また、建築関連文書により設計者を含めた建設経緯が明らかで、明治後期学校建築の指標となる遺構として高く評価できる。 【参考文献】 『遺愛女子高等学校本館調査報告書』(函館市教育委員会 二〇〇四年)
関連情報
附指定
函館遺愛女学校本校舎新築工事仕様書
本工事図面仕様書ニ対スル変更及模様替調
第2回変更個条
遺愛女学校建築契約書
関連情報
附指定
附名称
:
函館遺愛女学校本校舎新築工事仕様書
附員数
:
1冊
関連情報
附指定
附名称
:
本工事図面仕様書ニ対スル変更及模様替調
附員数
:
1冊
関連情報
附指定
附名称
:
第2回変更個条
附員数
:
1冊
関連情報
附指定
附名称
:
遺愛女学校建築契約書
附員数
:
1冊