国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
名古屋市東山植物園温室前館
ふりがな
:
なごやしひがしやましょくぶつえん
棟名
:
棟名ふりがな
:
名古屋市東山植物園温室前館
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員数
:
1棟
種別
:
近代/文化施設
時代
:
昭和
年代
:
昭和11
西暦
:
1936
構造及び形式等
:
鉄骨造、建築面積595.98平方メートル、ガラス葺
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02494
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2006.12.19(平成18.12.19)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(三)歴史的価値の高いもの
重文指定基準2
:
所在都道府県
:
愛知県
所在地
:
愛知県名古屋市千種区田代町字瓶杁1番41
保管施設の名称
:
所有者名
:
名古屋市
所有者種別
:
管理団体・管理責任者名
:
名古屋市東山植物園温室前館
解説文:
詳細解説
名古屋市東山植物園温室前館は,園内の中核施設として市土木部建築課の設計により,昭和11年に建設された。
平面は,中央ヤシ室,東翼のシダ室及び西翼の多肉植物室を東西の花卉室で繋ぎ,中央ヤシ室の正面中央に玄関を張り出している。
構造は,基礎と腰の部分を鉄筋コンクリート造とし,アングル材を主とした鉄骨で架構をつくり,ガラスを張る。架構の主要部は全て電弧熔接により施工されている。
名古屋市東山植物園温室前館は,我が国最初期の本格的な鉄骨造温室建築として重要であり,鉄とガラスによる建築物の造形的特質を良く示している。また,我が国最初期の全熔接建築物として建築技術史上,高い価値がある。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
添付ファイル
なし
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名古屋市東山植物園温室前館
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名古屋市東山植物園温室前館
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解説文
名古屋市東山植物園温室前館は,園内の中核施設として市土木部建築課の設計により,昭和11年に建設された。 平面は,中央ヤシ室,東翼のシダ室及び西翼の多肉植物室を東西の花卉室で繋ぎ,中央ヤシ室の正面中央に玄関を張り出している。 構造は,基礎と腰の部分を鉄筋コンクリート造とし,アングル材を主とした鉄骨で架構をつくり,ガラスを張る。架構の主要部は全て電弧熔接により施工されている。 名古屋市東山植物園温室前館は,我が国最初期の本格的な鉄骨造温室建築として重要であり,鉄とガラスによる建築物の造形的特質を良く示している。また,我が国最初期の全熔接建築物として建築技術史上,高い価値がある。
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詳細解説
名古屋市東山植物園温室前館 一棟 名古屋市東山植物園温室前館は、市街の東方に位置する東山総合公園の東南部を占める東山植物園の中核施設として昭和一一年に建設された。名古屋市土木部建築課の設計により、昭和一二年三月三日に東山植物園の開園とともに開館している。設計は柴田善信、公文勝年、一圓俊郎らで、施工は株式会社北川組である。 名古屋市東山植物園温室前館は、東山植物園の西南部に南面して建ち、中央に中央ヤシ室、東翼にシダ室、西翼に多肉植物室を配し、中央ヤシ室と両翼を花卉室が繋ぎ、中央ヤシ室の正面中央に玄関を張り出す。平面規模は、中央ヤシ室が正面一八・二メートル奥行一二・六メートル、シダ室及び多肉植物室が正面一一・二メートル奥行八・七メートル、花卉室が正面一二・七メートル幅六・三メートル、玄関が正面四・四メートル奥行二・五メートルとする。 構造は、基礎部及び腰部を鉄筋コンクリート造とし、中央ヤシ室とシダ室及び多肉植物室は、アングル材を組み立てたトラスアーチにより腰折れ状の入母屋形架構をつくり、花卉室はアングル材により合掌状の組立架構をつくり、その外側をガラスで覆う。設計図面によれば、腰壁より上部はスティールサッシュとし、ガラス屋根は、トラスアーチの外にアングル材の母屋を置いてアングル材の垂木を流し、垂木に銅板製の樋とマルソイドを敷いてガラス(五ミリ厚)を載せ、マルソイドを咬ませて銅板製のキャップを被せるものとする。現在、当初のスチールサッシュはアルミサッシュに取り替えられており、ガラス屋根についても、垂木以上は全面的にアルミ製に替えられている。なお、現在、東西両花卉室の屋根ガラス面の外側には遮光幕装置が設置されている。中央ヤシ室の棟高は一二・四メートル、シダ室及び多肉植物室の棟高は六・七メートル、東西花卉室の棟高は四・八メートルである。鉄骨架構の主要部は全て電弧熔接による。 内部は、中央ヤシ室が、中央部に築山を造り、北面から東西面にかけて腰壁沿いにコンクリート造の擬岩を築く。シダ室は、中央部がもと水槽で、北面から東西面にかけてヤシ室同様の擬岩を配し、西面から南面にかけて浅い水槽台を設ける。多肉植物室は、中央部と北面沿いを植込みとし、南面から東西面にかけては植込台を廻す。東花卉室は、中央部に噴水、北面及び南面沿いに花壇、西面中央に花台を配し、西花卉室は、中央に長方形の花台を置き、北面及び南面に花台を沿わすほか、東面の腰部中央をモザイク画で飾る。中央ヤシ室とシダ室及び多肉植物室の南及び北面の中央部には出入口を開け、東西花卉室の東面と西面にはそれぞれ通路口二箇所を設ける。 東山植物園温室前館は、我が国最初期の本格的な鉄骨造温室建築として重要であり、鉄とガラスによる建築物の造形的特質を良く示しており貴重である。また、我が国最初期の全熔接建築物として建築技術史上価値が高い。 【参考文献】 『愛知県近代化遺産(建造物等)総合調査報告書』(愛知県教育委員会 二○○五年)