国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
常称寺
ふりがな
:
じょうしょうじ
棟名
:
本堂
棟名ふりがな
:
ほんどう
常称寺 本堂
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員数
:
1棟
種別
:
近世以前/寺院
時代
:
室町中期
年代
:
室町中期
西暦
:
1393-1466
構造及び形式等
:
桁行五間、梁間六間、一重、入母屋造、本瓦葺
附・須弥壇及び厨子 一具
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02516
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2007.12.04(平成19.12.04)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(四)学術的価値の高いもの
重文指定基準2
:
所在都道府県
:
広島県
所在地
:
広島県尾道市西大久保
保管施設の名称
:
所有者名
:
常称寺
所有者種別
:
管理団体・管理責任者名
:
常称寺 本堂
解説文:
詳細解説
常称寺は、時宗二代真教によって鎌倉時代後期に創建された寺院で、本堂は室町中期、観音堂は室町後期、鐘撞堂は江戸前期、大門が室町前期の建築とみられる。常称寺の諸堂は、室町期の時宗寺院伽藍を伝える数少ない遺構であり、特に本堂は、和様の外観と禅宗様の内部構成を兼備し、内外陣と脇陣を一体的空間とするなど、盛期の時宗本堂の特徴を有している。
また、境内に残る観音堂や鐘撞堂も、各時代における当地方の意匠的特徴を備えており、時宗寺院伽藍の構成を理解するうえで、価値が高い。
関連情報
(情報の有無)
附指定
添付ファイル
なし
写真一覧
常称寺 本堂
常称寺 本堂(内部)
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常称寺 本堂
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常称寺 本堂(内部)
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解説文
常称寺は、時宗二代真教によって鎌倉時代後期に創建された寺院で、本堂は室町中期、観音堂は室町後期、鐘撞堂は江戸前期、大門が室町前期の建築とみられる。常称寺の諸堂は、室町期の時宗寺院伽藍を伝える数少ない遺構であり、特に本堂は、和様の外観と禅宗様の内部構成を兼備し、内外陣と脇陣を一体的空間とするなど、盛期の時宗本堂の特徴を有している。 また、境内に残る観音堂や鐘撞堂も、各時代における当地方の意匠的特徴を備えており、時宗寺院伽藍の構成を理解するうえで、価値が高い。
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詳細解説
常称寺 四棟 本堂、観音堂、鐘撞堂、大門 常称寺は、尾道市街の丘陵の南麓に所在する時宗寺院で、時宗二代真教によって、鎌倉時代後期に創建された。真教は、宗祖一遍とともに諸国を遊行した高僧で、一遍に次ぎ「二祖上人」と尊称されている。 足利尊氏により暦応三年(一三四〇)に建立されたと伝える伽藍が文和元年(一三五二)頃の火災で焼亡し、その後徐々に寺観を整えた。さらに延宝二年(一六七四)の火災で庫裏・客殿を焼失し、現在の庫裏はその後の再建になる。 境内は国道と鉄道によって南北に二分されており、北側は石段上部の平地を境内とし、中央に本堂が南面して建ち、西に庫裏が接続する。本堂前面には観音堂が東面し、境内東側に鐘撞堂が建つ。本堂の東南側には墓処門を開く。また国道と鉄道の南側に参道が延び、南端に大門を構える。かつては参道両側に子院などが建ち並んでいたことが寺蔵の絵図によって知られ、大門の位置は往時の境域の広さを伝えている。 本堂の建立年は不詳だが、様式などから室町中期の建築とみられ、建立後、脇壇などが増設され、江戸後期に小屋組の更新や内陣柱の漆塗、天井絵の描画などが行われた。規模は桁行五間、梁間六間、入母屋造、本瓦葺で、三方に切目縁を廻らす。内部は、正面二間通りを外陣、中央の方三間を内陣とし、来迎柱は立てない。内陣の両側を一間幅の脇陣とし、背面一間通りを後陣とする。内陣中央の後寄りに禅宗様須弥壇を置き、厨子を安置する。内陣両脇間後部には脇壇を設けて宗祖一遍と開祖真教を祀り、両脇陣の後部に位牌壇を設けるが、これらは後補で、当初は後陣に居室があったとみられる。 軸部の外観は和様を、内部は禅宗様を基調とする。側廻りは角柱で、内陣柱は粽付の円柱とし、長押、飛貫、頭貫、台輪で固める。外陣架構は、左右の入側通りに虹梁を架けて入隅柱を省き、両側面から海老虹梁を架ける。組物は、側廻りは舟肘木、内部は三斗組で、天井は、外陣正側面三方を化粧屋根裏、内陣は鏡天井として須弥壇上部に天蓋を設け、脇陣は棹縁天井とする。軒は二軒繁垂木で、妻飾は虹梁大瓶束である。 柱間装置は、正面中央三間は腰高障子、両端間は舞良戸とし、側面は、西面北端間を板戸片引とし、東面は南端間を半蔀、北端間を片開戸とし、残りは腰高障子とする。背面は中央間に舞良戸を建てる他は土壁である。内部は、東脇陣前面を板戸引違とし、内陣背面中央間に襖を建てるのみで、内外陣とも一体的空間とする。 観音堂は、細部意匠などにより室町後期の建築とみられる。正面三間、奥行三間、方形造、向拝一間、本瓦葺で、組物は三斗組、軒は一軒疎垂木である。三方に縁を廻らし、背面一間通りを下屋として仏壇を設ける。正面中央間を半蔀、脇間を板戸嵌め殺し、残りは、南側面中央間を板戸引違とするほかは土壁とする。 鐘撞堂は、禅宗様を基調に江戸前期頃の細部意匠をもち、方一間、入母屋造、桟瓦葺である。円柱を四方転びに立て、腰貫、内法貫、頭貫、台輪で繋ぐ。組物は、出組の詰組で、組物間に蓑束を立て、双斗を置く。小屋は対向する詰組物に絵様虹梁を渡し、左右から海老虹梁を架ける。軒は二軒繁垂木で、妻飾は虹梁大瓶束である。 大門は、四脚門、切妻造、本瓦葺で、室町前期頃の建築とみられる。本柱は円柱で、角柱の側柱を本柱側に転ばせて立てる。本柱上部に冠木を落とし込み、側柱天を頭貫で固める。組物は、側通りは大斗舟肘木で、中備に間斗束を立て、棟通りは、妻虹梁上の板蟇股に大斗舟肘木を組んで棟木を受け、冠木中央に間斗束を立てる。軒は二軒繁垂木である。 常称寺の諸堂は、室町期の時宗寺院の伽藍形態を伝える重要な遺構である。本堂は、和様の外観と禅宗様の内部構成を兼備し、内外陣と脇陣を一体的空間とするなど、盛期の時宗本堂の特徴を有しており、また重厚な構えの大門とともに、当時の寺格の高さを伝えている。境内に残る観音堂や鐘撞堂も、各時代における当地方の意匠的特徴を備えており、時宗寺院の伽藍構成の展開を理解する上で価値が高い。 【参考文献】 『常称寺建造物調査研究報告書』(尾道市 二〇〇六年)
関連情報
附指定
墓処門
須弥壇及び厨子
関連情報
附指定
附名称
:
墓処門
附員数
:
1棟
関連情報
附指定
附名称
:
須弥壇及び厨子
附員数
: