国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
シャトーカミヤ旧醸造場施設
ふりがな
:
しゃとーかみやきゅうじょうぞうじょうしせつ
棟名
:
事務室
棟名ふりがな
:
じむしつ
シャトーカミヤ旧醸造施設 事務室
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員数
:
1棟
種別
:
近代/産業・交通・土木
時代
:
明治
年代
:
明治36
西暦
:
1903
構造及び形式等
:
煉瓦造、建築面積308.52平方メートル、2階1部1階建、鉄板葺、時計塔付
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02522
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2008.06.09(平成20.06.09)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(三)歴史的価値の高いもの
重文指定基準2
:
所在都道府県
:
茨城県
所在地
:
茨城県牛久市中央三丁目20番地4
保管施設の名称
:
所有者名
:
オエノンホールディングス株式会社
所有者種別
:
管理団体・管理責任者名
:
シャトーカミヤ旧醸造施設 事務室
解説文:
詳細解説
オエノンホールディングス株式会社シャトーカミヤ旧醸造場施設は、神谷伝兵衛が創設したワイン醸造施設で、現存する事務室、醗酵室、貯蔵庫は明治36年9月竣工とみられる。
本施設は、明治中期の本格的な煉瓦造ワイン醸造所の主要部がほぼ完存しており、高い歴史的価値がある。とりわけ醗酵室は、各階ごとに配された設備構成等から当時のワイン醸造工程を窺うことが可能であり、産業技術史上も重要である。
また事務室は、シャトーを名乗るに相応しい意匠を有し、明治中期の煉瓦造建築の意匠水準を計るうえでも価値が高い。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
添付ファイル
なし
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シャトーカミヤ旧醸造施設 事務室
シャトーカミヤ旧醸造施設 事務室(内部)
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シャトーカミヤ旧醸造施設 事務室
写真一覧
シャトーカミヤ旧醸造施設 事務室(内部)
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解説文
オエノンホールディングス株式会社シャトーカミヤ旧醸造場施設は、神谷伝兵衛が創設したワイン醸造施設で、現存する事務室、醗酵室、貯蔵庫は明治36年9月竣工とみられる。 本施設は、明治中期の本格的な煉瓦造ワイン醸造所の主要部がほぼ完存しており、高い歴史的価値がある。とりわけ醗酵室は、各階ごとに配された設備構成等から当時のワイン醸造工程を窺うことが可能であり、産業技術史上も重要である。 また事務室は、シャトーを名乗るに相応しい意匠を有し、明治中期の煉瓦造建築の意匠水準を計るうえでも価値が高い。
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詳細解説
シャトーカミヤ旧醸造場施設 三棟 事務室、醗酵室、貯蔵庫 シャトーカミヤ旧醸造場施設は、JR常磐線牛久駅の東北方約六百メートルに位置する。本格的なワイナリーの創設を目論む神谷伝兵衛が、この地一帯に葡萄栽培の適地を見いだし、南北に長い約一六○町歩を葡萄栽培地として入手し、その北寄りの敷地の一画に醗酵室等のワイン醸造施設を建設、整備したのが現存するシャトーカミヤ旧醸造場施設である。施設は、明治三四年三月着手、同三六年九月竣工とされる(『神谷伝兵衛』(坂本箕山 大正一○年)による)。設計は、岡田時太郎が率いた岡田工務所で、シャトーカミヤの設計担当は、この時期に住所を岡田時太郎方とした森山松之助と推測される。 旧醸造場施設は、事務室、醗酵室、貯蔵庫の三棟からなる。醸造場敷地の南辺中央の東寄りに正門を開き、正門の真北方に南面する事務室を置く。事務室の真北方に南面する東西棟の醗酵室を配置し、醗酵室の西南隅部から南方に南北棟の貯蔵庫を延ばす。また、醗酵室の西妻面にはもと地下室苗木場が取り付き、醗酵室と貯蔵庫との入隅部はもと洗滌場とされる。 事務室は、煉瓦造二階建、建築面積三○八・五二平方メートルで、中央部に醗酵室と連絡する通路を南北に通し、通路の西面に事務所玄関、東面に貴賓室玄関を開ける。外観は、東西両端部にマンサード屋根を載せたフレンチ・ルネッサンス様式を基調とするが、中央部を前面に薄く突出させ、その右手に時計塔を立ち上げ、東面二階にバルコニー、西面に階段室を設けるなど非対称の構成とする。 平面は、一階の西側を事務所、東側を和室二室と階段室とし、二階は通路上部から西側を応接室(大広間)、東側を貴賓室二室と階段室等とする。 外部意匠は、正面中央部二階にパラディアン・モチーフの三連窓を配し、上部に切妻破風を重ねて蜂と葡萄の鏝絵で飾り、一階通路入口は両脇のトスカナ式円柱が半円アーチを支え、アーチに「CHÂTEAU D.KAMIYA」と記す。内部意匠は、一階事務所を四本の独立円柱で前室と主室に分け、主室西面に煖炉を備えるほか、二階応接室(大広間)では、各開口部上部にペディメントを配し、南面中央に煖炉と鏡、北面に二箇所の煖炉を備え、天井には装飾天井板を張る。小屋組は、木造のキングポストトラスを主体とする。 醗酵室は、煉瓦造地上二階地下一階建、建築面積四三六・七五平方メートルで、西面には地階床と同レベルの煉瓦造平屋建のもと地下室苗木場が附属し、南面西寄りの貯蔵庫との入隅部にはもと洗滌場を主体とする越屋根付き煉瓦造平屋建を設け、内部北面の階段で醗酵室地階と連絡する。醗酵室は、階上を「機械作業室」、階下を「醗酵室」、地階を「貯蔵倉庫」とし、北東端と北西端を張り出して階段室とする。地階は、梁行に二・九メートル間隔で煉瓦造壁を築き、その間に煉瓦造ヴォールトを架けて一階床を造り、二列の柱・頬杖・梁・根太で二階床を組み、キングポストトラスの小屋を架ける。 貯蔵庫は、煉瓦造平屋建、建築面積四○四・五八平方メートルで、南妻を寄棟とする。当初の西面は腰の高い位置に小さな丸窓を並べた倉庫然とした貯蔵庫であるが、現在は、丸窓の下部を穿ち大きな開口とする等の改造を施してレストランに活用している。小屋組は木造のキングポストトラスとする。 シャトーカミヤ旧醸造場施設は、明治中期の本格的な煉瓦造ワイン醸造所の主要部がほぼ完存しており、歴史的価値が高い。とりわけ、醗酵室は、当時のワイン醸造の方式を階層構成や設備構成等から窺うことが可能であり、産業技術史上重要である。また、事務室は、シャトーを名乗るに相応しい意匠を有し、明治中期の煉瓦造建築の意匠水準を計るうえで重要である。 【参考文献】 『茨城県近代化遺産(建造物等)総合調査報告書』(茨城県教育委員会 二○○七年)