国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
石岡第一発電所施設
ふりがな
:
いしおかだいいちはつでんしょしせつ
棟名
:
取水堰堤
棟名ふりがな
:
しゅすいえんてい
石岡第一発電所施設 取水堰堤
写真一覧▶
地図表示▶
解説表示▶
員数
:
1所
種別
:
近代/産業・交通・土木
時代
:
大正
年代
:
大正期
西暦
:
1912-1925
構造及び形式等
:
重力式コンクリート造堰堤、堤長30.0m、堤高6.2m、制水門、排砂門、石積護岸及び第一号開渠附属
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02534
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2008.12.02(平成20.12.02)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(三)歴史的価値の高いもの
重文指定基準2
:
所在都道府県
:
茨城県
所在地
:
茨城県高萩市大字横川、同北茨城市中郷町石岡
保管施設の名称
:
所有者名
:
東京発電株式会社
所有者種別
:
管理団体・管理責任者名
:
石岡第一発電所施設 取水堰堤
解説文:
詳細解説
石岡第一発電所施設は、日立鉱山の電力需要の増加に対応するために久原鉱業所日立鉱山工作課長小平浪平及び同課技士宮長平作を中心として建設が進められた水路式発電所施設で、明治44年10月に竣工した。
近代日本有数の銅山として知られる日立鉱山を代表する施設の一つとして、産業技術史上、高い価値があり、また、施設全般にわたって、鉄筋コンクリート技術を用いたわが国で最初の発電所施設である。とりわけ本館は、わが国に現存する最古級の鉄筋コンクリート造建築物として貴重である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
石岡第一発電所施設 取水堰堤
写真一覧
石岡第一発電所施設 取水堰堤
Loading
Zeom Level
Zoom Mode
解説文
石岡第一発電所施設は、日立鉱山の電力需要の増加に対応するために久原鉱業所日立鉱山工作課長小平浪平及び同課技士宮長平作を中心として建設が進められた水路式発電所施設で、明治44年10月に竣工した。 近代日本有数の銅山として知られる日立鉱山を代表する施設の一つとして、産業技術史上、高い価値があり、また、施設全般にわたって、鉄筋コンクリート技術を用いたわが国で最初の発電所施設である。とりわけ本館は、わが国に現存する最古級の鉄筋コンクリート造建築物として貴重である。
詳細解説▶
詳細解説
石岡第一発電所施設 四所、三基、三棟 取水堰堤、沈砂池、第一号水路橋、第二号水路橋、水槽、水槽余水路、調圧水槽、本館発電機室、本館旧変圧器室、本館変電室 石岡第一発電所施設は、茨城県北東部に位置し、大北川にほぼ平行して東西に延びる水路式発電所施設である。 石岡第一発電所施設は、日立鉱山の施設拡充に伴う電力需要の増加に対応するため、久原鉱業所日立鉱山工作課長小平浪平及び同課技士宮長平作を中心として建設が進められたもので、明治四二年一〇月に着工、四四年一〇月に竣工し、大正期の増設工事を経て現在の状態に整えられた(着工年月は『日立鉱山と電源開発』(日立鉱業所施設部 昭和三五年)、竣工年月は久原房之助と日立電力株式会社発起人の連名により昭和二年七月二日付けで茨城県知事に提出された「水利使用譲渡認可申請」(茨城県所蔵)による)。 構造物は、大北川中流域より東に向かい、取水堰堤、沈砂池、第一号水路橋、第二号水路橋、水槽、調圧水槽、本館の順に、全長約三五〇〇メートルの水路に配される。これらのうち、取水堰堤、沈砂池(大正一二年)及び本館変電室(大正五年)が大正期に増設されている。 取水堰堤は、川を斜めに横断する斜堰で、堤長三〇・〇メートル、堤高六・二メートルの規模を有する越流式の重力式コンクリート造堰堤とし、表面を花崗岩の練積で築く。堤体下流面は水叩きと連続する曲面状のつくりとし、堤体の両岸には石積護岸、左岸に取水制水門及び排砂門を設け、取水制水門の東側には第一号開渠を連続する。 沈砂池は、ほぼ長方形平面の構造物の両端に曲線状の水路を連続する延長五三・五メートルの鉄筋コンクリート造構造物で、表面をモルタル塗で仕上げる。沈砂池の北側には沈砂池閉鎖時の通水に使われる側水路、南側には越流式余水吐から連続する余水路を設け、東側に第二号開渠を連続する。なお、側水路は明治四四年造の導水路を利用して築かれている。 第一号水路橋及び第二号水路橋は、大北川の支渓に架かる橋長一二・二メートル及び二〇・〇メートルの鉄筋コンクリート造単アーチ橋で、いずれもライズを抑えたスパン九・一メートルの扁平アーチの上部に、扶壁で支えられた台形断面の水路樋、頂部にスラブを設け、表面をモルタル塗で仕上げる。 水槽は、水中の土砂、塵芥等を除去し、本館に流す水量を調節するために築かれたもので、ほぼ長方形平面の構造物の南側に、水槽東側の側水路に繋がる半円形の水路を連続する延長三五・九メートルの鉄筋コンクリート造構造物とし、表面をモルタル塗で仕上げる⑻。 水槽余水路は、水槽西側壁に沿って設けられた越流式余水吐から大北川の支渓に至る延長二一二・七メートルの石造及びコンクリート造構造物で、下流において水槽排砂路及び水槽・調圧水槽間の水抜路と合流し、余水路と水抜路の合流点には楕円形平面の減勢池を設ける⑼。 調圧水槽は、サイフォン式水路の調圧、本館水車急停止時の過度の水圧上昇防止等を目的として築かれた内径四・五メートル、高さ一〇・二メートルの円筒形鉄筋コンクリート造構造物とする。使用水量の増加に伴い、昭和三一年頃に高さ七・七メートルの調圧水槽を現在の高さまで嵩上げし、壁の外側には一五ミリメートルから三〇ミリメートル厚で鉄筋コンクリートを打増ししている。 本館は、発電機室、旧変圧器室、変電室よりなる。 発電機室は、桁行二九・一メートル、梁間九・一メートル、切妻造の鉄筋コンクリート造平屋建で、壁面をモルタル塗で仕上げ、小屋組はフィンクトラスとする。平側に欠円アーチ形開口部を連続して設ける採光と換気に配慮したつくりで、南側には放水路及び石積護岸を設ける。 旧変圧器室は、発電機室西面に矩折れに接続する桁行二一・九メートル、梁間六・四メートル、切妻造の鉄筋コンクリート造平屋建で、壁面をモルタル塗で仕上げ、小屋組はフィンクトラスとする。 変電室は、旧変圧器室の西面に接続する桁行一三・七メートル、梁間一〇・九メートル、切妻造の鉄筋コンクリート造二階建で、壁面をモルタル塗で仕上げ、小屋組はワーレントラスとする。格子状の大梁を円柱で支えるつくりで、二階北妻面には高圧線引入口を張り出す。 石岡第一発電所施設は、近代日本有数の銅山として知られる日立鉱山を代表する遺構の一つとして、産業技術史上、価値が高い。また、施設を構成する本館、橋梁、水槽等の類型を異にする構造物全般にわたり鉄筋コンクリート技術を用いたわが国で最初の発電所施設であり、中でも本館はわが国に現存する最古級の鉄筋コンクリート造建築物として貴重である。 【参考文献】 『茨城県近代化遺産(建造物等)総合調査報告書』(茨城県教育委員会 二〇〇七年)