国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
清流亭
ふりがな
:
せいりゅうてい
棟名
:
主屋
棟名ふりがな
:
しゅおく
清流亭主屋
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員数
:
1棟
種別
:
近代/住居
時代
:
大正
年代
:
大正2頃
西暦
:
1913頃
構造及び形式等
:
木造、建築面積296.77平方メートル、切妻造及び入母屋造、桟瓦葺及び銅板葺、こけら葺、檜皮葺
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02556
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2010.06.29(平成22.06.29)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(一)意匠的に優秀なもの
重文指定基準2
:
所在都道府県
:
京都府
所在地
:
京都府京都市左京区南禅寺下河原町43番5
保管施設の名称
:
所有者名
:
大松株式会社
所有者種別
:
管理団体・管理責任者名
:
清流亭主屋
解説文:
詳細解説
清流亭は、南禅寺一帯の別荘地開発を手がけた実業家塚本與三次が建設したもので、庭園を囲むように、建物が配置されている。建築には、数寄屋大工の上阪浅次郎と北村捨次郎があたったと伝える。
表千家残月亭(ざんげつてい)を写した広間の「残月の間」を中心とした主屋は、様々な茶の湯の座敷を集成した建築であり、寄付、立礼席とともに、吟味された材料と熟練した伝統技術を駆使して建てられた、洗練された意匠をもつ和風建築として高い価値が認められる。
関連情報
(情報の有無)
附指定
添付ファイル
なし
写真一覧
清流亭主屋
清流亭主屋玄関
清流亭主屋広間
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清流亭主屋
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清流亭主屋玄関
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清流亭主屋広間
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解説文
清流亭は、南禅寺一帯の別荘地開発を手がけた実業家塚本與三次が建設したもので、庭園を囲むように、建物が配置されている。建築には、数寄屋大工の上阪浅次郎と北村捨次郎があたったと伝える。 表千家残月亭(ざんげつてい)を写した広間の「残月の間」を中心とした主屋は、様々な茶の湯の座敷を集成した建築であり、寄付、立礼席とともに、吟味された材料と熟練した伝統技術を駆使して建てられた、洗練された意匠をもつ和風建築として高い価値が認められる。
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詳細解説
清流亭 三棟 主屋、寄付、立礼席、土地 清流亭は、南禅寺の北西に所在する。南禅寺一帯の別荘地開発を手がけた実業家の塚本與三次(一八八四~一九三四)が明治後期に土地を取得して建設に着手し、大正二年頃に完成したとみられ、建築には大正期の京都で活躍していた数寄屋大工の上阪浅次郎(一八六八~一九二七)と北村捨次郎(一八八四~一九四五)があたったと伝える。また庭園は南禅寺別荘地で多数作庭を手がけた小川治兵衛の作とされる。 大正四年の天皇即位御大典の折には、東郷平八郎の宿所に充てられ、東郷により「清流亭」と命名された。大正一四年に敷地が東西に二分され、東半の清流亭は実業家下郷傳平などの所有となり、その後昭和二五年に大松株式会社が取得し、現在にいたっている。 敷地東辺に奥行一五メートルほどの前庭をおいて、割竹や栗材を木賊張し、あるいは杉皮張とした塀を廻らし、敷地の北西寄りに建つ主屋の玄関正面に正門を開く。塀の南寄りに寄付、さらに南側に立礼席を、いずれも池を囲むように配置する。また主屋東側に新館、西側に管理棟が建つ。 主屋は、広間「残月の間」を中心とした南半部と、「七畳の間」を主座敷とする北半部を、廊下と内玄関で繋ぐ構成になり、建築面積二九六・七七平方メートル、切妻造及び入母屋造で、桟瓦葺屋根の軒先などに、銅板のほか、こけら板や檜皮を葺く。 南半部は、広間の北側に、次の間と控の間を介して玄関を構え、広間の東側は、坪庭をおいて茶室「白鷺」を配し、台目幅の入側で接続する。また茶室から潜付の塀を東にのばして、玄関前庭と露地を画する。 広間は表千家残月亭を写した構成で、二畳の床と付書院及び平書院を備える。北面内法は四条派画家の筆になる扇面繋ぎの欄間とし、また本歌である残月亭に比べ、床の天井を高め、落掛下面や床框を漆塗とするなど、つくりに変化を与えている。広間入側の南面は、浅い濡縁を設けて大振りの沓脱石を据え、軽快なつくりの土庇を深く差し出す。 茶室は三畳台目茶席と丸炉の間、水屋からなり、茶席は利休の大坂三畳台目席と同一の平面をもち、床柱は赤松皮付丸太で、床框は絞り丸太を用いる。水屋は小丸太垂木の舟底天井である。 丸炉の間北面は中敷居を入れ、上を障子、下は板戸を建てた円窓とするが、これは玄関の前庭空間にも趣を添える意匠となっている。 北半部へは、つら付丸太を詰打ちした廊下を伝い、西側に長四畳の内玄関を構える。七畳の間は広間の茶室で、西側に床を備える。床柱筋の垂れ壁で天井を二分し、南を棹縁天井、北を舟底天井とし、裏千家寒雲亭の構成を引用する。裏手の水屋は、小丸太の棹縁を湾曲させて、起りをもたせた片流れの天井を張る。 寄付は、建築面積三六・六七平方メートル、切妻造及び入母屋造、檜皮葺及び杉皮葺である。六畳主室の西側に北から、腰掛、水屋、簀縁、砂雪隠を設ける。主室は東側の三面を開放とし、東山を望む。柱はヒバ丸太を多用し、床廻りに古材を用いており、天井は舟底天井で、垂木は杉磨丸太、煤竹、錆付丸太などを取り混ぜる。軒は小丸太の垂木を扇に配り、丸竹木舞とする。 立礼席は、「水石居」や「氷炭亭」とも呼ばれた椅子式の茶席である。建築面積二七・四五平方メートル、入母屋造、桟瓦葺で、軒先を檜皮葺とする。内部は四半敷土間の一室で、中央の地炉は白川石を井桁に組む。天井は中央部の格天井を吊上げ、化粧屋根をかける。 正門は、一間腕木門、切妻造、桟瓦葺で、軒先を檜皮葺とする。軸部や軒に丸太を多用し、竹木賊張の開戸を吊る。裏門は、一間薬医門、入母屋造、檜皮葺で、板戸内開及び格子戸引違とする。これらの正門と裏門を附指定とする。 清流亭の主屋は、数寄屋建築の基本的主題のひとつである表千家残月亭を写した広間や三畳台目の茶室など、様々な茶の湯の座敷を集成した独創的な建築であり、吟味された材料と熟練した伝統技術を駆使して建てられた、洗練された意匠をもつ和風建築として価値が高い。琵琶湖疏水から導水して築かれた庭園とともに敷地構成も良くとどめており、土地と併せて保存を図る。 【参考文献】 『数寄屋邸宅集成3』(中村昌生編著 一九八八年) 『京都府の近代和風建築』(京都府教育委員会 二〇〇九年)
関連情報
附指定
正門
裏門
関連情報
附指定
附名称
:
正門
附員数
:
1棟
関連情報
附指定
附名称
:
裏門
附員数
:
1棟