国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
名草神社
ふりがな
:
なぐさじんじゃ
棟名
:
本殿
棟名ふりがな
:
ほんでん
名草神社 本殿
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員数
:
1棟
種別
:
近世以前/神社
時代
:
江戸後期
年代
:
宝暦4
西暦
:
1754
構造及び形式等
:
桁行17.6m、梁間9.0m、一重、入母屋造、千鳥破風付、向拝三間、軒唐破風付、こけら葺
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02558
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2010.06.29(平成22.06.29)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(五)流派的又は地方的特色において顕著なもの
重文指定基準2
:
所在都道府県
:
兵庫県
所在地
:
兵庫県養父市八鹿町石原
保管施設の名称
:
所有者名
:
名草神社
所有者種別
:
管理団体・管理責任者名
:
名草神社 本殿
解説文:
詳細解説
名草神社は、妙見山の山中に鎮座し、中世から近世にかけて但馬地方における妙見信仰の拠点として栄えた。
本殿は、出石城下の大工と地元大工が棟梁を務め、正面向拝廻りの華やかな彫刻など、躍動感のある構成となっている。拝殿は、割拝殿形式の希少な遺構である。
名草神社は、特異な平面と空間構成をもつ大型社殿で、豊かな彫刻や彩色で飾られ、当地方における先駆的な装飾をもつ神社建築として貴重である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
添付ファイル
なし
写真一覧
名草神社 本殿
名草神社 本殿(内部)
名草神社 本殿(細部)
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名草神社 本殿
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名草神社 本殿(内部)
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名草神社 本殿(細部)
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解説文
名草神社は、妙見山の山中に鎮座し、中世から近世にかけて但馬地方における妙見信仰の拠点として栄えた。 本殿は、出石城下の大工と地元大工が棟梁を務め、正面向拝廻りの華やかな彫刻など、躍動感のある構成となっている。拝殿は、割拝殿形式の希少な遺構である。 名草神社は、特異な平面と空間構成をもつ大型社殿で、豊かな彫刻や彩色で飾られ、当地方における先駆的な装飾をもつ神社建築として貴重である。
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詳細解説
名草神社 二棟 本殿、拝殿 名草神社は、養父市北境にある妙見山の標高約八〇〇メートルの高所に鎮座し、名草彦命を主祭神として七柱を配祀する。古くは妙見社、妙見大菩薩などと称し、中世には但馬国守護山名氏一党の外護を受け、また近世には但馬地方を中心に庶民の崇敬を集め、妙見信仰の拠点として栄えた。妙見信仰は、北辰すなわち北極星や北斗七星を祀る信仰で、中世以降、千葉氏や相馬氏、大内氏など武家の信奉を集めていた。 境内は南面し、南東の下段に三重塔(重要文化財)、中段西側の石段上に社務所を配し、境内奥の石垣上段に本殿と拝殿を南面して建て、本殿の東側に稲荷社と愛宕社を祀る。このうち本殿と拝殿は、昭和四二年三月三一日付で兵庫県指定重要有形文化財に指定された。 本殿は棟札により宝暦四年(一七五四)の上棟で、大工棟梁を出石城下の宮本七郎兵衛春重と地元出身の田中杢右衛門富宗が務めた。建立後間もない明和元年(一七六四)に、屋根が銅瓦葺からこけら葺に変更された。 規模は、桁行一七・六メートル、梁間九・〇メートル、入母屋造、千鳥破風付、向拝三間、軒唐破風付、こけら葺である。 平面は、桁行七間、梁間二間の内陣の後方を内々陣とし、内陣前面は梁間の広い外陣とする。内外陣の周囲に軒支柱を立て、前面は浜床として両端室に狛犬を祀り、側背面は縁として建具を建て、室内に取り込む。また正面柱間は、中央間に次いでその左右二間目が広いという、特異な形式をもつ。 軸部は、内部では円柱を貫・長押で固め、内陣正面では頭貫に植物紋様の透彫彫刻を飾る。組物は、内陣内部を三斗、周囲を出組、外陣を二手先とし、中備の蟇股内部に中国説話や花鳥の図柄を彫る。側背面では、前面を階段状とした布石積基礎の土台に立てた角柱を貫・長押で固め、円柱と、海老虹梁で繋ぐ。 内陣の軸部を漆塗や金箔押とするほか、向拝を含めた各部の彫刻を極彩色で飾る。特に内々陣中央間前面の拝所は、円柱二本を虹梁で繋ぎ、連三斗と蟇股を置き、金襴巻などで荘厳する。天井は、内陣を格天井、内々陣は鏡天井、外陣は折上小組格天井を張り、縁は化粧屋根裏とする。 柱間装置は、内々陣各間に板戸を開き、内外陣境は格子戸、外陣正面を障子戸内開として開放的につくり、内陣背面や側背面の軒支柱間は板壁や板戸引違などとする。 向拝廻りは特に意匠を凝らし、外陣正面柱、軒支柱、向拝柱を海老虹梁で二段に繋ぎ、反りをもたせた化粧棟木と菖蒲桁を架け渡す。向拝柱上は二重虹梁間に獅子の彫刻を置き、虹梁上の力童子彫刻が化粧棟木を担ぐ。軒支柱筋では三間分の虹梁の中央に虹梁を重ね、龍彫刻を飾り、上段虹梁上の蟇股で化粧棟木を受ける。外陣正面中央間でも、二重虹梁上の蟇股で化粧棟木尻を受ける。さらに各部材を、花鳥の籠彫や龍彫刻の持送で受けるなど、装飾密度の濃い躍動感のある構成とする。 軒は二軒繁垂木で、妻飾は狐格子とし、鰭付懸魚を吊る。 拝殿は、棟札により元禄二年(一六八九)の建立になり、桁行五間、梁間二間、割拝殿形式で、入母屋造、こけら葺である。 平面は桁行五間のうち中央間を通路とし、両側二室を拭板敷として周囲に切目縁を廻らし、南面の縁は懸造とする。 軸部は、切石積の石垣上に土台を廻し、円柱を貫・長押で固め、通路部分は虹梁で繋ぐ。 組物は、室内は三斗で中備を撥束とし、外部は出組とし中備を簑束とするが、通路部分は虹梁上に蟇股及び出組をおく。 天井は各面とも格天井を張り、柱間装置は、東西室とも側面南間を板壁とし、他は建具を欠失し開放としている。内外ともに軸部を赤色塗、板類を白色塗とするが、特に西室は内法上部が煤で黒変している。 軒は二軒繁垂木で、妻飾は狐格子とし、懸魚を吊る。 名草神社の社殿は、近世但馬地方における妙見信仰の拠点としての繁栄を背景に造営された。 本殿は、特異な平面と空間構成をもつ大型社殿であるとともに、内外ともに豊かな彫刻や彩色で飾られ、当地方における先駆的な装飾をもつ神社建築として貴重である。また本殿とともに残る拝殿は、割拝殿形式の希少な遺構であり、高い価値が認められる。 【参考文献】 『名草神社建造物調査報告書』(養父市教育委員会 二〇〇八年)
関連情報
附指定
棟札
関連情報
附指定
附名称
:
棟札
附員数
:
3枚