国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
八幡神社
ふりがな
:
はちまんじんじゃ
棟名
:
本殿、幣殿、拝殿
棟名ふりがな
:
ほんでん、へいでん、はいでん
八幡神社 本殿、幣殿、拝殿(本殿)
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員数
:
1棟
種別
:
近世以前/神社
時代
:
江戸中期
年代
:
元禄8年
西暦
:
1695
構造及び形式等
:
本殿 三間社流造、幣殿 桁行三間、梁間一間、一重、両下造、拝殿 桁行五間、梁間三間、一重、入母屋造、正面千鳥破風付、向拝一間、軒唐破風付、総銅板葺
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02583
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2012.07.09(平成24.07.09)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(五)流派的又は地方的特色において顕著なもの
重文指定基準2
:
所在都道府県
:
福島県
所在地
:
福島県相馬市坪田
保管施設の名称
:
所有者名
:
八幡神社
所有者種別
:
神社
管理団体・管理責任者名
:
八幡神社 本殿、幣殿、拝殿(本殿)
解説文:
詳細解説
八幡神社は、相馬中村城の南方に境内を構える神社である。現在の社殿は、相馬中村城主の相馬家が元禄8年(1695)に造営した。
境内の南面に随身門を開き、中央に本殿、幣殿、拝殿を建て、その周囲に複数の摂社と末社を配置する。本殿、幣殿、拝殿は権現造の形式で、彫刻や塗装で内外を豊かに装飾する。とくに本殿は、柱間(はしらま)を6尺に統一し、同一下絵による彫刻を多用して濃密に仕上げる。
本殿、幣殿、拝殿は、全国に普及した神社建築の系譜を引きながら、建築や装飾の技法に独特な特徴を備えており、この地方の江戸中期の神社建築を代表するものとして価値が高い。また、摂社と末社、門は、近世以来の境内の景観を今に伝えており重要である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
添付ファイル
なし
写真一覧
八幡神社 本殿、幣殿、拝殿(本殿)
八幡神社 本殿、幣殿、拝殿(拝殿)
八幡神社 本殿、幣殿、拝殿 本殿内部
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八幡神社 本殿、幣殿、拝殿(本殿)
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八幡神社 本殿、幣殿、拝殿(拝殿)
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八幡神社 本殿、幣殿、拝殿 本殿内部
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解説文
八幡神社は、相馬中村城の南方に境内を構える神社である。現在の社殿は、相馬中村城主の相馬家が元禄8年(1695)に造営した。 境内の南面に随身門を開き、中央に本殿、幣殿、拝殿を建て、その周囲に複数の摂社と末社を配置する。本殿、幣殿、拝殿は権現造の形式で、彫刻や塗装で内外を豊かに装飾する。とくに本殿は、柱間(はしらま)を6尺に統一し、同一下絵による彫刻を多用して濃密に仕上げる。 本殿、幣殿、拝殿は、全国に普及した神社建築の系譜を引きながら、建築や装飾の技法に独特な特徴を備えており、この地方の江戸中期の神社建築を代表するものとして価値が高い。また、摂社と末社、門は、近世以来の境内の景観を今に伝えており重要である。
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詳細解説
八幡神社 四棟 八幡神社は、相馬中村城の南方、相馬市街を東流する宇多川南岸の段丘上に所在する。建武二年(一三三五)に後醍醐天皇より宇多荘(現在の相馬市、新地町を含む一帯)を与えられた白河城主結城宗広が創建したと伝わる。相馬中村城主相馬家の「御年譜」によれば、五代城主昌胤が元禄七年(一六九四)から翌八年にかけて、現在の社殿を造営したという。昌胤の造営後は八正宮と称したが、明治時代に八幡神社と改称した。別に涼ヶ岡八幡神社とも称する。 境内は、北に相馬中村城下を望む段丘の縁辺にあり、東西七四メートル、南北九〇メートルの平行四辺形を呈し、周囲に堀を廻らす。境内の南面に太鼓橋を渡して随身門を開き、境内中央に本殿、幣殿、拝殿が南面して建つ。境内の前方西側に摂社若宮八幡宮本殿が東面して建ち、本殿、幣殿、拝殿の西側に末社亀齢社本殿が南面して建つ。このほか、本殿、幣殿、拝殿の東側に末社稲荷神社本殿と末社多賀神社足尾神社本殿が西面して建ち、末社亀齢社本殿の西側に末社住吉神社粟島神社貴布根神社本殿が東面して建つ。 八幡神社の建造物のうち、本殿、幣殿、拝殿が昭和五九年三月二三日付けで福島県指定有形文化財、随身門が昭和四九年六月六日付け、摂社若宮八幡宮本殿と末社亀齢社本殿が平成四年五月二六日付けで相馬市指定有形文化財となっている。 本殿、幣殿、拝殿は、前後に並べた本殿と拝殿を幣殿でつないで一体化した、権現造の形式をもつ。柱間寸法は本殿の庇の出を除き、全て六尺とする、特徴的な平面計画をとる。屋根は現在銅板葺であるが、昭和一一年の改造によるもので、それ以前は茅葺であった。 本殿は三間社流造で、身舎は梁間二間である。身舎の四周には刎高欄付の切目縁を廻し、正面に登高欄付の木階八級を設ける。 軸部は、円柱を貫と長押で固め、正面三間に両折桟唐戸を吊り、側背面は板壁とする。組物は出組、中備は蟇股とし、軒は二軒本繁垂木とする。妻飾は、二重虹梁大瓶束で、出三斗や雲紋の笈形を組合わせた華やかな意匠をもつ。 庇は、面取の角柱を水引虹梁で固め、身舎と海老虹梁でつなぐ。組物は出三斗で牡丹彫刻の手挟を組込む。中備に蟇股を置き、両脇に小鳥の透彫を嵌める。 外部は、軸部に地紋彫を施さないが、側背面の大羽目板、内法小壁板、琵琶板、脇障子羽目板など、ほぼ全ての板の表面に桔梗唐草などの浮彫を施し、濃密に装飾する。これらの浮彫はいずれも同一の下絵から作成されたもので、当初は軸部や壁などを透漆塗、組物、虹梁、蟇股などを彩色で仕上げていた。 内部は、前半の外陣、後半の内陣の二室とし、両折板唐戸で仕切る。内外陣とも床は拭板張、天井は鏡天井とする。内陣の床は外陣より一段高くし、各方一間、入母屋造、板葺の宮殿三基を安置する。床板、柱、壁などを透漆塗又は黒漆塗とし、組物、蟇股、丸桁などを彩色で仕上げ、壁板に松と笹、天井桁で方一間に区切られた天井板に、龍と鳳凰を交互に描く。 幣殿は、桁行三間、梁間一間、両下造で、側面は板壁、本殿との境は開放、拝殿との境に格子戸を入れる。柱は面取角柱で、組物は舟肘木、軒は一軒半繁垂木とする。内部は床高を拝殿とそろえ、拝殿側二間を畳敷、奥を拭板張とし、護摩壇を置く。天井は格天井とする。内外とも漆塗などの塗装を施し、内部側面の板壁には各間に唐獅子を描く。 拝殿は、桁行五間、梁間三間、入母屋造で、一間の向拝を付ける。正面屋根中央に千鳥破風を飾り、向拝屋根は軒唐破風とする。正側面に切目縁を廻し、正面に木階三級を設ける。 軸部は、面取の角柱を長押、貫で固め、舟肘木で桁を受ける。軒は一軒半繁垂木で、隅のみ垂木を扇状に配る。妻飾は本屋、千鳥破風とも豕叉首とする。向拝は、几帳面取の角柱を立て、水引虹梁で固め、本屋と海老虹梁でつなぐ。組物は出三斗、中備は蟇股とし、牡丹彫刻の木鼻と手挟で向拝を飾る。内部は現在、中央間と両脇間の三室に仕切られるが、もとは一室であった。床は拭板張、天井は格天井とする。正面の中央間に両折桟唐戸、幣殿との境に格子戸を入れる。他の間は全て舞良戸を入れ、正側面を開放できるつくりとする。内外とも幣殿同様、漆塗などの塗装を施す。 摂社若宮八幡宮本殿は、三間社流造で、身舎は梁間一間である。庇には床を張り、この床と同高で身舎の両側面に切目縁を付し、刎高欄を廻す。正面に登高欄付の木階八級を出し、さらに階隠を付ける。屋根を銅板葺とする。 軸部は、円柱を貫と長押で固め、正面三間に桟唐戸を吊り、側背面は板壁とする。組物は出三斗、中備は蟇股とする。軒は一軒本繁垂木、妻飾は豕叉首である。 庇は、面取の角柱を頭貫で固め、身舎と海老虹梁でつなぐ。組物は出三斗、中備は蟇股とする。中央間の組物は、連三斗と実肘木の上から腕木状の桁を前方に延ばす独特の形式になる。 内部は一室で、後半を一段高くして内陣とし、各方一間、切妻造、板葺の宮殿三基を安置する。床は拭板張、天井は棹縁天井とする。 末社亀齢社本殿は一間社流造で、身舎は梁間一間である。身舎の正側面に廻した刎高欄付の切目縁は、正面を広くとる。正面に登高欄付の木階五級と浜縁を設け、さらに階隠を付ける。屋根を銅板葺とする。 軸部は、円柱を貫と長押で固め、正面に両折桟唐戸を吊り、側背面は板壁とする。組物は内部を出三斗、外部を出組、中備は蟇股とする。軒は二軒本繁垂木、妻飾は豕叉首である。 庇は、面取の角柱を頭貫で固め、身舎と海老虹梁でつなぐ。組物は出三斗、中備は蟇股とする。 内部は一室で、後半を一段高くして内陣とし、宮殿一基を安置する。 随身門は、三間一戸の八脚門で、入母屋造、屋根を桟瓦葺とする。柱間寸法は、桁行中央間を一一尺とするほかは全て六尺とする。 軸部は、円柱を貫で固め、桁行中央間の正背面に虹梁を入れ、本柱筋に板唐戸を吊る。両脇間は正面を金剛柵で限って随身像を安置し、四周上部に透彫欄間を嵌込む。組物は舟肘木、軒は一軒疎垂木、妻飾は豕叉首とする。 末社稲荷神社本殿、末社多賀神社足尾神社本殿、末社住吉神社粟島神社貴布根神社本殿の三棟は同規模、同形式の小社である。各一間社流造、鉄板葺とする。 八幡神社の本殿、幣殿、拝殿は、桃山時代以来発展した神社建築の系譜を引きながら、柱間寸法を統一し、同一下絵の彫刻や彩色を用いて効果的に荘厳するなど、独特な建築的特徴を備えており、旧陸奥国沿岸部における江戸時代中期の社寺建築を代表するものとして価値が高い。また境内には、摂社や末社、門が良好に保存されており、近世以来の境内の景観を示す遺構として重要である。 【参考文献】 『涼ヶ岡八幡神社境内建造物総合調査報告書』(涼ヶ岡八幡神社 二〇一一年)
関連情報
附指定
宮殿
扁額
末社稲荷神社本殿
末社多賀神社足尾神社本殿
末社住吉神社粟島神社貴布根神社本殿
関連情報
附指定
附名称
:
宮殿
附員数
:
3基
関連情報
附指定
附名称
:
扁額
附員数
:
1面
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附指定
附名称
:
末社稲荷神社本殿
附員数
:
1棟
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附名称
:
末社多賀神社足尾神社本殿
附員数
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1棟
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附名称
:
末社住吉神社粟島神社貴布根神社本殿
附員数
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1棟