国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
日土小学校
ふりがな
:
ひづちしょうがっこう
棟名
:
中校舎
棟名ふりがな
:
なかこうしゃ
日土小学校 中校舎
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員数
:
1棟
種別
:
近代/学校
時代
:
昭和
年代
:
昭和31年
西暦
:
1956
構造及び形式等
:
木造、建築面積375.80㎡、二階建、切妻造、スレート葺一部鉄板葺、南面鉄骨階段附属
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02592
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2012.12.28(平成24.12.28)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(一)意匠的に優秀なもの
重文指定基準2
:
所在都道府県
:
愛媛県
所在地
:
愛媛県八幡浜市日土町二番耕地851番地
保管施設の名称
:
所有者名
:
八幡浜市
所有者種別
:
市区町村
管理団体・管理責任者名
:
日土小学校 中校舎
解説文:
詳細解説
日土小学校は、愛媛県の西部、八幡浜市の山あいに所在する。八幡浜市職員の松(まつ)村(むら)正(まさ)恒(つね)の設計により、中校舎は昭和31年、東校舎は同33年に竣工した。
敷地は川の北側を占め、敷地の川寄りに校舎が並ぶ。緩やかな切妻屋根をかけた木造二階建で、要所に鉄骨の梁や筋交いを用いた合理的な構造をもつ。また、窓は柱の外側に枠を取り付け、天井に達する大きな開口部とする。
東校舎は、クラスター(房)型の教室配置とし、昇降口の南側に中庭を設けて採光と通風を確保する特徴的な平面をもつ。川に迫り出す二階ベランダが外観を特徴づける。
日土小学校は、合理的な構造と平面計画をもち、工業製品と身近な材料を用いた意匠により、豊かな空間をつくり上げており、木造のモダニズムの優れた作品として高い価値が認められる。
関連情報
(情報の有無)
附指定
添付ファイル
なし
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日土小学校 中校舎
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日土小学校 中校舎
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解説文
日土小学校は、愛媛県の西部、八幡浜市の山あいに所在する。八幡浜市職員の松(まつ)村(むら)正(まさ)恒(つね)の設計により、中校舎は昭和31年、東校舎は同33年に竣工した。 敷地は川の北側を占め、敷地の川寄りに校舎が並ぶ。緩やかな切妻屋根をかけた木造二階建で、要所に鉄骨の梁や筋交いを用いた合理的な構造をもつ。また、窓は柱の外側に枠を取り付け、天井に達する大きな開口部とする。 東校舎は、クラスター(房)型の教室配置とし、昇降口の南側に中庭を設けて採光と通風を確保する特徴的な平面をもつ。川に迫り出す二階ベランダが外観を特徴づける。 日土小学校は、合理的な構造と平面計画をもち、工業製品と身近な材料を用いた意匠により、豊かな空間をつくり上げており、木造のモダニズムの優れた作品として高い価値が認められる。
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詳細解説
日土小学校 二棟 中校舎、東校舎 附 設計図面 四二枚 日土小学校は、八幡浜市街の北方、喜木川中流の谷間に位置する。明治八年に啓蒙学校として創立、同四十二年に日土尋常小学校と改称し、翌年、現在地に校舎を新築、移転した。昭和三十年に日土村と八幡浜市の合併により、八幡浜市立となり、同年、西校舎を増築した。続いて旧校舎を改築し、中校舎が昭和三十年十一月十八日工事契約、同三十一年四月三十日竣工、東校舎が同三十三年五月一日工事契約、同年十月二十五日竣工である。改築設計は八幡浜市土木課建築係の松村正恒である。 松村正恒(一九一三~一九九三)は、愛媛県喜多郡新谷村(現愛媛県大洲市新谷町)生まれ。武蔵高等工科学校(現東京都市大学)で蔵田周忠に師事し、昭和十年に土浦亀城建築設計事務所に入所、同二十二年十月に八幡浜市役所土木課建築係に採用、図書館、学校、病院などの公共建築を設計した。昭和三十五年に松山市に建築設計事務所を開設し、以後は民間の建築家として活躍した。 西校舎の一部と講堂を解体して屋内運動場を平成八年に竣工、同二十年には西校舎残部を改築するとともに、中校舎と東校舎の保存再生工事が行われた。日土小学校中校舎及び東校舎は、平成十九年九月六日付けで八幡浜市有形文化財(建造物)に指定されている。 校地は喜木川の北岸にあり、川に沿って、新西校舎、中校舎、東校舎が並び、校地東端にプール、新西校舎北に屋内運動場を配し、北側の運動場を囲む。 中校舎は、木造、建築面積三七五・八〇平方メートル、二階建である。屋根は緩勾配の切妻造スレート瓦葺で、北側廊下は一段低く鉄板葺とするが、西端部では棟を高めて廊下幅まで一体の屋根とする。北側の下屋は鉄板葺で、さらに逆勾配の外通路庇を波形スレート葺とする。南面西寄りには川にせり出すように鉄骨階段をつける。外壁は、モルタル塗である。 構造は、木造軸組の要所に鉄骨を用いた混構造で、二階床梁に鉄骨トラスを用いて天井高を確保し、柱間には丸鋼材を中央の円環で引いた筋交いを入れて剛性を高める。小屋組は木造トラスである。 外部の建具は、構造体の外から枠を取付けた水平に連続する大きな窓で採光と通風を確保する。二階廊下では廊下屋根と本屋屋根の間も窓とする。一階南側窓上にはスレート葺庇、二階南面窓の中段には、木製ルーバー庇をつける。 内部は、北側下屋の東から職員便所、放送室、中央が旧昇降口を改修したラウンジで、西端の昇降口は後設である。一階は、南に東から特別支援教室、作業室、職員室、階段、校長室、保健室が並び、北側に廊下を通す。二階は、東からパソコン室、普通教室、階段、普通教室が並び、北側に廊下を通す。階段は勾配が緩やかで二階踊場に手洗場を設け、階段上部を物置とする。 内装は、床は縁甲板張、壁は廊下が縦板張、教室は腰壁が縦板張、上部が合板張で、天井はボード張とする。階段脇の職員室角を三角にくぼめて小さな飾棚を設けている。 東校舎は木造、建築面積三九四・五三平方メートル、二階建である。屋根は切妻造スレート瓦葺で、北側中庭上部を切り明ける。北側廊下は一段低く鉄板葺の片流屋根とし、一階に波形スレート葺の下屋をつける。南面二階西端のベランダも鉄板葺の片流屋根をかける。また、一階中央のコンクリート造テラス、東寄りの鉄骨階段が川にせり出す。外壁はモルタル塗である。 構造は、中校舎と同様に木造軸組に鉄骨を加えた混構造で、小屋組は鉄骨トラス棟桁を用いた登梁構造である。二階ベランダは木製円柱の斜柱三本で支持する。 外部の建具は、構造体の外に枠を取付けた連続窓とし、特に南面では軸組から約三六センチメートル離して、窓下にベンチを設ける。一階南側窓上にスレート葺庇、中段に木製ルーバー庇をつける。 内部は、北側下屋から昇降口に入り、東西に廊下を通す。当初は一階、二階とも東から普通教室三室が並び、採光と通風を確保するために廊下と教室の間に中庭を設け、各教室の戸口へは前室で接続するクラスター型の平面である。廊下西端には緩やかな勾配の階段を設け、階段南側の廊下から渡廊下で中校舎へ接続する。一階は東から図工室、家庭科室、理科室である。理科室西の外便所は改築した。二階廊下は教室より一段低く、各前室に階段を設ける。廊下東端には相談室を張出す。二階は東から多目的室、音楽室、音楽準備室、図書室で、図書室から川上のベランダに出る。 内装は、中校舎同様に、床は縁甲板張、壁は廊下が縦板張、教室は腰壁が縦板張、上部が合板張で、天井はボード張とする。昇降口の下足棚は細い支柱で床から浮かせ、教室の収納棚も床から浮かせて壁に造付ける。前室脇の飾棚は支柱一本で支えて軽快である。二階廊下には中庭側の壁に沿って棚を設ける。図書室には梯子状の鉄製縦枠に棚板を渡した書架を造付け、間仕切壁の上部に輪切の竹を用いて星座を表している。相談室の南壁には伊予絣と金紙を市松に貼る。 日土小学校の中校舎及び東校舎は、合理的な構造と平面計画に基づき、工業製品と身近な材料を用いながら、創意に富んだ意匠により、開放感と浮揚感のある豊かな空間を実現しており、木造のモダニズム建築の優品として高い価値を有している。 【参考文献】「八幡浜市立日土小学校保存再生工事報告書」八幡浜市教育委員会、二〇一〇年
関連情報
附指定
設計図面
関連情報
附指定
附名称
:
設計図面
附員数
:
42枚