国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
那須神社
ふりがな
:
なすじんじゃ
棟名
:
本殿
棟名ふりがな
:
ほんでん
那須神社本殿外観
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員数
:
1棟
種別
:
近世以前/神社
時代
:
江戸前期
年代
:
寛永18年頃
西暦
:
1641
構造及び形式等
:
三間社流造、瓦棒銅板葺
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02604
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2014.01.27(平成26.01.27)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(一)意匠的に優秀なもの
重文指定基準2
:
(五)流派的又は地方的特色において顕著なもの
所在都道府県
:
栃木県
所在地
:
栃木県大田原市南金丸
保管施設の名称
:
所有者名
:
那須神社
所有者種別
:
神社
管理団体・管理責任者名
:
那須神社本殿外観
解説文:
詳細解説
那須神社は、古くから金丸八幡宮として武家の崇敬を集めた古社であり、那須与一が戦勝祈願を行ったとも伝わる。中世末期からは黒羽城主大関氏の庇護を受け、現在の本殿は寛永18年(1641)頃、楼門は同19年に三代大関高増により再建された。本殿は三間社流造で、彫刻や彩色、絵画で全体を華やかに装飾し、楼門は禅宗様を基調とし全体を彩色や絵画で装飾しており、いずれもその意匠は独創的で質が高い。また、建物の形式、細部技法は当地域の中世からの技法を踏襲しつつ、全体を近世の装飾技法で飾るなど中世と近世の特徴を併せ持つ神社建築として価値が高い。
関連情報
(情報の有無)
附指定
添付ファイル
なし
写真一覧
那須神社本殿外観
那須神社本殿内観
那須神社本殿正面
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那須神社本殿外観
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那須神社本殿内観
写真一覧
那須神社本殿正面
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解説文
那須神社は、古くから金丸八幡宮として武家の崇敬を集めた古社であり、那須与一が戦勝祈願を行ったとも伝わる。中世末期からは黒羽城主大関氏の庇護を受け、現在の本殿は寛永18年(1641)頃、楼門は同19年に三代大関高増により再建された。本殿は三間社流造で、彫刻や彩色、絵画で全体を華やかに装飾し、楼門は禅宗様を基調とし全体を彩色や絵画で装飾しており、いずれもその意匠は独創的で質が高い。また、建物の形式、細部技法は当地域の中世からの技法を踏襲しつつ、全体を近世の装飾技法で飾るなど中世と近世の特徴を併せ持つ神社建築として価値が高い。
詳細解説▶
詳細解説
那須神社 二棟 本殿、楼門 那須神社は栃木県北部、大田原市のほぼ中央の平坦地、南金丸に位置する。創建は詳らかでないが、平安時代末期には八幡宮となり、以後中世、近世を通じて武家の崇敬を受けたという。室町時代前期には金丸八幡宮と称し、中世末期から近世にかけては黒羽領主大関氏の庇護を受け武家との繋がりが継承されてきた。現在の社殿は三代大関高増(たかます)により整備されたもので、本殿は墨書、銅棟札により寛永一八年(一六四一)頃の建立、楼門は墨書により同一九年の建立と推定される。 境内は林に囲まれた南北に細長い敷地で、南端から北へ約三〇〇メートルの参道をまっすぐ延ばし、石造の神橋を渡ると、南から楼門、拝殿、本殿が建ち並ぶ。本殿周囲は透塀で囲まれ、本殿北には金丸塚と呼ばれる塚がある。楼門と拝殿の間には石燈籠二基があり、神橋南西の水盤舎内に手水舟を据える。本殿と楼門は昭和三二年八月三〇日付けで栃木県指定文化財、石燈籠二基と手水舟は昭和四八年一二月一八日付けで大田原市指定文化財となっている。 本殿は三間社流造、瓦棒銅板葺である。平面は身舎が桁行三間、梁間二間で、前一間を外陣、後一間を内陣とする。外陣は格天井に畳敷、内陣は棹縁天井で外陣より一段高い拭板敷とする。正側面には刎高欄付の縁を廻らし、縁後端に脇障子をたてる。正面の庇には木階五級を付け浜床を設ける。 柱間装置は、外回りは正面三間及び西面南間を幣軸構の両開き板唐戸、他を横板壁とし、横板壁の内側は縦板張とする。内外陣境は中央間を幣軸構の両開き板唐戸、両脇間を縦板壁とする。縁下部は縦板壁で囲い、東面中央に板扉を付す。 身舎軸部は礎石に円柱を立て、床下を二段の貫で固め、腰長押と内法長押を廻し、柱頂部を木鼻付頭貫で固める。組物は三斗、傍軒を連三斗とする。庇は几帳面取角柱を礎石に立て頭貫で結び、三斗を組み、傍軒を連三斗とする。身舎と庇の組物間を海老虹梁で繋ぐが、身舎側は組物高さから海老虹梁を出し組物肘木や頭貫木鼻と一体化した独特な技法を用いる。軒は正面が地垂木、打越垂木、飛檐垂木、背面が地垂木、飛檐垂木の二軒繁垂木とする。垂木には面取がなされ、地垂木は強い反りを持つ。妻飾は虹梁大瓶束の形式とする。木鼻等の絵様繰型は下から上に巻き上げた円弧に近い渦紋で、外側に二重、三重に彫りによる線を加える。海老虹梁は渦紋と曲線を組み合わせて入八双の形とした複雑な絵様繰型を見せる。 外部は床より下は単色塗だが、床より上は彫刻や彩色で鮮やかに飾る。腰長押下と内法長押上には板彫刻を嵌め、身舎、庇とも頭貫上部には動物や植物を透彫した蟇股を置く。脇障子はケヤキ板に鳳凰、孔雀を浮彫とする。妻飾には大瓶束を挟んで大関氏家紋にちなんだ「沢瀉」の丸紋彫刻を付し、破風板や海老虹梁にも植物や動物の丸紋彫刻を浮彫として散らす。柱や長押等は幾何紋様や植物紋などで彩色され、板壁や板唐戸には植物や龍などの絵画を描く。外陣内部は板唐戸のほか、板壁や格天井にも動物や植物などが描かれ、内陣側の柱は金箔押しとし頂部を金襴巻とする。内陣内部は素木である。三間社流造の形式や縁下の縦板張、垂木の面取りや反りなどは当地域の中世の神社本殿の特徴を示すが、彫刻や彩色、絵画による装飾技法は近世的であり、その意匠は独創性が強い。 楼門は三間一戸楼門、入母屋造、銅板葺である。禅宗様を基調とし、下層は粽付の円柱を礎盤に立て、地覆、腰貫、頭貫、台輪で結び、腰組は三手先詰組とする。天井は格天井を張る。上層は粽付の円柱を柱盤上に立て、腰長押、頭貫、台輪で結ぶ。組物は二重尾垂木付の三手先詰組で、化粧で最上部の肘木を出し通肘木を載せ四手先風に見せる。正背面中央に幣軸構の両開き板唐戸を付け、内部には天井はなく、四周に高欄付の切目縁を廻らす。組物は柱上だけでなく左右の斗からも手先方向に肘木を出し、通肘木で繋ぐ独特なものである。組物には彩色を施し、下層の格天井には絵画を描き、上層は柱、頭貫まで含めた壁面全面に墨画で大雲龍及び波を描く。 那須神社本殿は彫刻や彩色、絵画で全体を華やかに装飾した三間社流造の本殿で、楼門は全体を彩色や絵画で装飾した禅宗様を基調とした本格的な門であり、いずれもその意匠は絵様や組物の構成が独創的で質が高い。大関氏による造営背景や建立年代も明らかで、建物の形式、細部技法は当地域の中世からの技法を踏襲しつつ細部に独自の変化を加え、全体を近世の装飾技法で飾るなど中世と近世の特徴を併せ持つ神社建築として価値が高い。 【参考文献】 『栃木県近世社寺建築調査報告書』(栃木県教育委員会 一九七八年) 『栃木県文化財那須神社楼門修理工事報告書』(那須神社楼門保存修理委員会 一九八〇年) 『栃木県指定文化財那須神社本殿調査報告書』(大田原市教育委員会 二〇一二年)
関連情報
附指定
銅棟札
石燈籠
手水舟
関連情報
附指定
附名称
:
銅棟札
附員数
:
1枚
関連情報
附指定
附名称
:
石燈籠
附員数
:
2基
関連情報
附指定
附名称
:
手水舟
附員数
:
1基