国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
伏見稲荷大社
ふりがな
:
ふしみいなりたいしゃ
棟名
:
権殿
棟名ふりがな
:
ごんでん
伏見稲荷大社権殿
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員数
:
1棟
種別
:
近世以前/神社
時代
:
江戸前期
年代
:
寛永12年
西暦
:
1639
構造及び形式等
:
五間社流造、檜皮葺
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
00527
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2014.01.27(平成26.01.27)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(一)意匠的に優秀なもの
重文指定基準2
:
所在都道府県
:
京都府
所在地
:
京都府京都市伏見区深草薮ノ内町
保管施設の名称
:
所有者名
:
伏見稲荷大社
所有者種別
:
神社
管理団体・管理責任者名
:
伏見稲荷大社権殿
解説文:
詳細解説
伏見稲荷大社は、稲荷信仰の総本社で稲荷山の西麓に境内を構える。本殿は明応3年(1494)の再建で、重要文化財に指定されている。権殿は寛永12年(1635)の建立で、本殿を一回り小さくした五間社流造の仮殿である。楼門は天正17年(1589)の再建で、和様の意匠である。そのほか、稲荷祭の時に神輿を並べた外拝殿、3室の内陣をもつ奥宮、稲荷神の眷属である狐を祀る白狐社などが良好に維持されおり、近世の稲荷信仰の隆盛を伝える社殿群として価値が高い。既指定の本殿とともに保存を図る。
関連情報
(情報の有無)
附指定
添付ファイル
なし
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伏見稲荷大社権殿
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伏見稲荷大社権殿
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解説文
伏見稲荷大社は、稲荷信仰の総本社で稲荷山の西麓に境内を構える。本殿は明応3年(1494)の再建で、重要文化財に指定されている。権殿は寛永12年(1635)の建立で、本殿を一回り小さくした五間社流造の仮殿である。楼門は天正17年(1589)の再建で、和様の意匠である。そのほか、稲荷祭の時に神輿を並べた外拝殿、3室の内陣をもつ奥宮、稲荷神の眷属である狐を祀る白狐社などが良好に維持されおり、近世の稲荷信仰の隆盛を伝える社殿群として価値が高い。既指定の本殿とともに保存を図る。
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詳細解説
【追加指定】伏見稲荷大社 七棟 権殿、外拝殿、楼門、南北廻廊、奥宮、白狐社 伏見稲荷大社は、京都市街の南東、稲荷山の西麓に位置し、西を正面に境内を構える。和銅四年(七一一)の鎮座と伝える稲荷信仰の総本社である。本殿の北に権殿が並び、本殿前の内拝殿の西方に外拝殿、楼門を配し、権殿北から石段を上がって上末社の両宮社、五社相殿、荷田社、長者社の四棟、さらに石段を上がった本殿背後に奥宮と白狐社が並ぶ。楼門から西へ延びる参道の北側に下末社の藤尾社、熊野社が位置する。本殿は明治四二年四月五日付けで重要文化財に指定されている。 境内は応仁の乱の兵火で荒廃し、現在の本殿は明応三年(一四九四)の建立である。その後、豊臣秀吉により天正一七年(一五八九)に楼門が再建され、奥宮もこの頃の建立と考えられる。寛永一二年(一六三五)に権殿を建立、白狐社もこの頃の建立と考えられる。元禄七年(一六九四)には徳川綱吉により境内建物の修築、再整備が行われ、拝殿建立のために楼門を西方に曳家して南北廻廊を接続、白狐社を奥宮北に移転、境内に散在していた末社を上末社として集約するなど、社頭を一新した。また、天保一一年(一八四〇)には拝殿(現、外拝殿)を建替えた。以後、各建物の修繕が随時実施されてきたが、昭和三五年に本殿の保存修理が行われた。平成一八~二二年に境内建物を修理し、同二三年の鎮座一三〇〇年祭を迎えた。 権殿は、五間社流造、檜皮葺で、身舎の梁間を三間とする。四周に刎高欄付の縁を廻し、縁束を円形断面とするのは、本殿、奥宮、白狐社と共通の意匠である。正面中央間に木階七級を設ける。庇柱は五間に立て、柱内を浜床とする。内部は前から前室、外陣、内陣に分け、前室の前面を蔀、側面を板唐戸とし、外陣は床を一段高く張り、前室外陣境は柱間を開放とする。内外陣境は棟通り柱のやや前方を板唐戸で仕切る。内外陣の側面と背面は白漆喰塗壁である。浜床の周囲に半蔀の下戸を建て込み、笠木を載せるのも本殿、奥宮、白狐社と共通する特徴である。身舎柱は亀腹上の土台に円柱を立て、切目長押、内法長押で固める。前室は虹梁を一段低く架け、組物は平三斗とする。庇は角柱を土台上に立て、組物は出三斗、中備蟇股とする。軒は正面が地垂木、打越垂木、飛檐垂木からなる二軒繁垂木、背面は二軒繁垂木とする。妻飾りは豕扠首である。 外拝殿は、桁行五間、梁間三間、入母屋造、檜皮葺で、内部は板敷、四周を吹放ちとして刎高欄付の縁を廻し、正背面中央間に木階三級を設ける。亀腹上に土台を据え、角柱を切目長押、内法長押と飛貫で固め、柱上に舟肘木を載せる。軒は二軒疎垂木とし、妻飾りは木連格子である。床組は根太を用いず、大引を約五〇センチメートル間隔と密に入れて強固に造るのは、祭礼時に五基の神輿を並べたためという。なお、桁行中央間で柱間を一〇尺に拡げ、内法長押を切上げるのも神輿の出入りを考慮したものである。天井は折上格天井とする。気宇壮大な拝殿である。 楼門は、三間一戸の楼門で、入母屋造、檜皮葺とする。礎石に立てた円柱を腰貫、飛貫、頭貫で固め、腰組は和様の三手先で、中備間斗束とする。上層縁には刎高欄を廻す。上層柱は柱盤に立て、内法長押と頭貫で固め、内部には柱が立たない。組物は尾垂木付の三手先である。軒は二軒繁垂木、妻飾りは豕扠首とする。上層正背面の中央間は幣軸構の板唐戸、脇間は連子窓で、側面は漆喰壁である。桁行総長は約九メートルを測り、和様を基調とした雄大な楼門である。 南北廻廊は、楼門の側面に接続する各桁行五間、梁間一間で、南北両端を切妻造とし、屋根は檜皮葺である。土台上に角柱を立て、西面と南北の妻面は腰長押と内法長押、東背面と梁間は飛貫で固め、西面には控柱が付く。柱上に虹梁を折置に架け、束立に舟肘木で化粧棟木を受ける。軒は一軒疎垂木である。妻飾りは虹梁板蟇股とする。西面と南北の妻面は連子窓、東面は吹放ちである。 奥宮は、三間社流造、檜皮葺で、身舎の梁間を二間とする。縁の正面中央を切込み、木階五級を設ける。庇柱は三間に立て、柱内を浜床とする。内部は棟通りで外陣と内陣に分け、外陣の前面中央間を格子片引、両脇を格子建込、内外陣境は板唐戸とし、内陣は板壁で三室に仕切る。内外陣の側面と背面は板壁の外面を白漆喰塗とする。身舎柱は亀腹上の土台に円柱を立て、切目長押、内法長押で固める。頭貫には拳鼻が付く。組物は実肘木付の平三斗で、中備蟇股とする。庇は角柱を土台上に立て、組物は出三斗、中備蟇股とする。軒は正面が打越垂木、飛檐垂木からなる二軒の繁垂木、背面は二軒繁垂木とする。妻飾りは豕扠首である。 白狐社は、一間社春日造、檜皮葺で、身舎の桁行を一間とする。縁の正面を切込み、木階五級を設ける。庇柱の内を浜床とする。内部は外陣と内陣に分け、外陣正面を蔀、内外陣境を板唐戸とする。身舎の側面と背面は板壁の外面を白漆喰塗とする。身舎柱筋に亀腹を設けるが、北側面中央に花崗岩の切石二枚を立てて幅約二三センチメートルの口を設けており、狐の通い口と考えられている。身舎柱は亀腹上の土台に円柱を立て、切目長押、内法長押で固め、舟肘木を載せる。庇柱は角柱を土台上に立て、組物は実肘木付の出三斗とし、中備蟇股とする。庇繋は虹梁で、この上の板蟇股で庇螻羽の垂木掛を受けている。軒は身舎、庇とも一軒繁垂木とする。妻飾りは豕扠首である。 両宮社は、二間社切妻見世棚造、棟持柱付で、檜皮葺である。梁間二間の前半を供餞用の見世棚に造り、正面桁行中央柱を略す。棟持柱は基壇外に別に据えた礎石に立つ。破風に鞭掛を付け、棟に置千木と堅魚木を載せる。末社のうち唯一の素木造である。 五社相殿は、五間社流見世棚造、檜皮葺である。井桁組の土台に、身舎は円柱、庇は角柱を五間に立てる。身舎と庇の柱上は舟肘木とする。身舎は両妻に虹梁を架け、庇繋は各間に虹梁を架ける。 荷田社は、一間社流見世棚造、檜皮葺である。井桁組の土台に、身舎は円柱、庇は角柱を立て、柱上に舟肘木を置く。身舎両妻に虹梁を架け、庇繋は虹梁とする。 長者社は、一間社流見世棚造、檜皮葺である。井桁組の土台に、身舎は円柱、庇は角柱を立て、身舎柱上は舟肘木、庇は出三斗で、中備蟇股とする。身舎は両妻に虹梁を架け、庇繋は虹梁とする。 藤尾社は、一間社流見世棚造、檜皮葺である。井桁組の土台に、身舎、庇とも角柱を立てる。身舎柱上に直に桁と梁を組み、庇繋ぎは虹梁とする。庇の桁も柱上に置く。 熊野社は、一間社春日見世棚造、檜皮葺である。井桁組の土台に、身舎、庇とも角柱を立て、柱上に舟肘木を載せる。庇繋ぎは虹梁とし、直に庇螻羽の垂木掛を載せる。破風の拝懸魚を抱若葉形とする。 伏見稲荷大社は、室町時代後期の本殿再建以来、桃山時代の造営、江戸時代中期の境内再編を経て、江戸時代末期までに整備された社殿群が良好に維持されており、各時代の様式や意匠も反映していて貴重である。近世における稲荷信仰の隆盛を伝える建築群として、本殿とともに保存を図る。 【参考文献】 『重要文化財伏見稲荷大社本殿修理工事報告書』(京都府教育庁文化財保護課 一九六〇年) 『伏見稲荷大社権殿修理工事報告書』(伏見稲荷大社 二〇〇七年) 『伏見稲荷大社奥宮及び白狐社修理工事報告書』(伏見稲荷大社 二〇〇九年) 『伏見稲荷大社(上末社四棟)修理工事概報』(伏見稲荷大社 二〇一〇年) 『伏見稲荷大社楼門・廻廊並びに外拝殿修理工事報告書』(伏見稲荷大社 二〇一一年) 『伏見稲荷大社(下末社三棟)修理工事概報』(伏見稲荷大社 二〇一一年) 『伏見稲荷大社御鎮座千三百年史』(伏見稲荷大社 二〇一一年) 『城州稲荷社堂御修復御入用金高目録帳』(伏見稲荷大社 二〇一二年)
関連情報
附指定
雨宮社
五社相殿
荷田社
長者社
藤尾社
熊野社
城州稲荷社御修復御入用金高目録帳
関連情報
附指定
附名称
:
雨宮社
附員数
:
1棟
関連情報
附指定
附名称
:
五社相殿
附員数
:
1棟
関連情報
附指定
附名称
:
荷田社
附員数
:
1棟
関連情報
附指定
附名称
:
長者社
附員数
:
1棟
関連情報
附指定
附名称
:
藤尾社
附員数
:
1棟
関連情報
附指定
附名称
:
熊野社
附員数
:
1棟
関連情報
附指定
附名称
:
城州稲荷社御修復御入用金高目録帳
附員数
:
9冊