国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
旧真宗信徒生命保険株式会社本館(本願寺伝道院)
ふりがな
:
きゅうしんしゅうしんとせいめいほけんかぶしきがいしゃほんかん(ほんがんじでんどういん)
棟名
:
棟名ふりがな
:
真宗門徒生命保険会社本館 外観
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員数
:
1棟
種別
:
近代/商業・業務
時代
:
明治
年代
:
明治44
西暦
:
1911
構造及び形式等
:
煉瓦造、建築面積627.70㎡、二階建一部三階建、一部地下一階、銅板葺、南西隅門及び煉瓦塀附属、煉瓦造、延長7.6m
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02610
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2014.09.18(平成26.09.18)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(一)意匠的に優秀なもの
重文指定基準2
:
所在都道府県
:
京都府
所在地
:
京都府京都市下京区油小路通正面下る玉本町199番地
保管施設の名称
:
所有者名
:
本願寺
所有者種別
:
寺院
管理団体・管理責任者名
:
真宗門徒生命保険会社本館 外観
解説文:
詳細解説
旧真宗信徒生命保険株式会社本館は,本願寺を大株主とする真宗信徒生命保険株式会社の新社屋として明治44年に建てられた。設計は東京帝国大学教授の伊東忠太である。煉瓦造で外壁に煉瓦色の化粧タイルを張り,花崗岩の白帯を廻らせるなど英国風の様式を基調とするが,玄関上部のインド風のドームや六角塔屋,中国風の高欄など随所にアジア大陸の意匠を大胆に取り入れている。さらに組物を載せた柱,窓上の人字形割束を模した造形など,随所に日本建築を解釈,再構築した細部意匠を加え,独創的な意匠となっている。旧真宗信徒生命保険株式会社本館は,伊東忠太の建築進化論に基づく初期の代表作であり,我が国における建築様式の道程を体現した建築として価値が高い。
関連情報
(情報の有無)
附指定
添付ファイル
なし
写真一覧
真宗門徒生命保険会社本館 外観
真宗門徒生命保険会社本館 玄関
真宗門徒生命保険会社本館 広間
真宗門徒生命保険会社本館 大塔屋
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真宗門徒生命保険会社本館 玄関
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真宗門徒生命保険会社本館 広間
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真宗門徒生命保険会社本館 大塔屋
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解説文
旧真宗信徒生命保険株式会社本館は,本願寺を大株主とする真宗信徒生命保険株式会社の新社屋として明治44年に建てられた。設計は東京帝国大学教授の伊東忠太である。煉瓦造で外壁に煉瓦色の化粧タイルを張り,花崗岩の白帯を廻らせるなど英国風の様式を基調とするが,玄関上部のインド風のドームや六角塔屋,中国風の高欄など随所にアジア大陸の意匠を大胆に取り入れている。さらに組物を載せた柱,窓上の人字形割束を模した造形など,随所に日本建築を解釈,再構築した細部意匠を加え,独創的な意匠となっている。旧真宗信徒生命保険株式会社本館は,伊東忠太の建築進化論に基づく初期の代表作であり,我が国における建築様式の道程を体現した建築として価値が高い。
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詳細解説
旧真宗信徒生命保険株式会社本館(本願寺伝道院) 一棟 京都府京都市下京区 宗教法人 本願寺 旧真宗信徒生命保険株式会社本館は、堀川通を挟んだ本願寺の門前、東へ延びる正面通が油小路通と交差する南西角地に位置する。 真宗信徒生命保険株式会社は本願寺が大株主となり、おもに真宗信徒を顧客とする生命保険会社として、明治二十八年(一八九五)四月に設立された。同四十三年になって新社屋として本館の建築に着手し、同四十四年四月上棟、同四十五年一月に竣工した。設計は東京帝国大学教授の伊東忠太(一八六七~一九五四)で、施工は竹中藤右衛門が請け負った。伊東忠太は、建築史家として法隆寺などの建築の研究を行い、日本建築の源流を探るべく明治三十五年から明治三十八年にかけて中国、インド、ペルシャ、トルコ、エジプト、ギリシャへの調査旅行を敢行した。帰国後明治四十一年に西欧の建築の模倣から始まったわが国の建築において、古来の伝統的な木造建築の意匠を解釈、再構築して石造や煉瓦造などの建築へと発展させるべきという建築進化論を発表した。 大正三年以降、たびたび社名や経営者の変更があり、一部が貸事務所などに使用されたが、昭和四十八年からは本願寺伝道院として寺の布教、学問所となり、現在に至る。 敷地は東西に長い長方形で、本館を西寄りに配置し、北西隅に玄関を開く。道路に沿って本館の北面から西面へ石柵柱が並んでいる。 本館は、煉瓦造、建築面積六二七・七〇平方メートル、二階建一部三階建で、北東隅一部を地下一階とし、三階は北西隅に八角形大塔屋、東面南寄りに六角形小塔屋をつくり、屋根は銅板葺とする。南西隅には矩折れで門と煉瓦塀を附属する。 平面は、一階の北西隅を八角形の「玄關」とし、玄関南東の「廣間」に大階段を設ける。玄關の南には「第二應接室」、「第三應接室」を並べ、廣間から東へ廊下が延び、南に「第一事務室」、北に「第二事務室」を置く。第二事務室の東には「醫務室」、「診察室」の二室を置き、廊下の東端には裏玄関を置く。二階は階段室の西に北から八角形の「貴賓室」と重役室を二室並べ、階段室から東に延びる廊下の北に「第一會議室」と「第一應接室」、南に「第二會議室」を置く。第二會議室の東面には台形の仏間を据える。三階は二階西の階段を上ると「大塔屋」に、廊下東の階段を上ると小屋裏の物置を経て六角小塔屋に至る。地下の「地中室」はボイラー室とみられる。 外観は煉瓦色化粧タイル張とした煉瓦壁で、二階窓高に花崗岩の白帯を廻らせるなど、全体として一九世紀後期の英国風の様式を基調としているが、大塔屋の円ドームや小塔屋の六角屋根はインド風、塔屋廻りの擬宝珠高欄は中国風とするなど、アジア大陸のさまざまな意匠を大胆に取り入れている。さらに玄關や窓上の人字形割束を模したペディメント、破風を思わせる反りのある妻壁、組物を載せた柱型など、随所に日本建築の細部意匠を解釈、再構築しながら付加している。 内部も洋風意匠を基調とするが、各室の折上天井やカウンター廻りの双斗形柱頭飾り、ペディメントの格狭間、玄關ニッチ上部の八双形など、要所に伝統的な日本建築の造形をちりばめる。特に大塔屋は石柱の上に頭貫と台輪を廻して出組組物を載せた石造軸組構成になっているが、天井は円形のドームとし、イスラム風アーチを更に変形させた欄間付の扉を各面に並べるなど、多彩な様式を駆使して濃密な意匠にまとめている。各部屋の照明器具も独特な造形で、アール・ヌーヴォー風の曲線やゼツェッシオン風の直線を用いて構成されている。 石柵柱は、四角形若しくは八角形の花崗岩石柱で、頂部に翼をもつ象や鳥などの霊獣の像を彫り出しており、伊東忠太の好みをよく表している。 旧真宗信徒生命保険株式会社本館は、明治時代末期の本格的な煉瓦造の事務所建築であり、全体は英国風の様式を基調としつつ、随所に日本建築の伝統的意匠を解釈、再構築して配置し、さらにインドや中国など異種の建築様式を大胆に取り込むなど、独創的な意匠である。伊東忠太の建築進化論に基づいて実現された初期の代表作であり、我が国における建築様式を追求した道程を体現した建築として価値が高い。 【参考文献】 『浄土真宗本願寺派本願寺伝道院保存修理工事報告書』(浄土真宗本願寺派 二〇一二年)
関連情報
附指定
棟札
石柵柱
関連情報
附指定
附名称
:
棟札
附員数
:
一枚
関連情報
附指定
附名称
:
石柵柱
附員数
:
二二基