国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
愛知県庁舎
ふりがな
:
あいちけんちょうしゃ
棟名
:
棟名ふりがな
:
愛知県庁舎 全景
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員数
:
1棟
種別
:
近代/官公庁舎
時代
:
昭和
年代
:
昭和13
西暦
:
1938
構造及び形式等
:
鉄骨鉄筋コンクリート造、建築面積4,665.99㎡、地上六階地下一階建、一部七階
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
02620
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2014.12.10(平成26.12.10)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(一)意匠的に優秀なもの
重文指定基準2
:
(三)歴史的価値の高いもの
所在都道府県
:
愛知県
所在地
:
愛知県名古屋市中区三の丸三丁目一番
保管施設の名称
:
所有者名
:
愛知県
所有者種別
:
都道府県
管理団体・管理責任者名
:
愛知県庁舎 全景
解説文:
詳細解説
愛知県庁舎は,名古屋市庁舎の南隣に並んで建っている。現在の建物は昭和13年に竣工したもので,渡辺仁と西村好時が基本設計を行い,愛知県内務部営繕課が実施設計を行った。
鉄骨鉄筋コンクリート造,地上六階地下一階,一部七階建である。両側の南と北には自動車庫を配置している。外観は異なるタイル張による三層構成で,三方の中央に名古屋城大天守を思わせる破風付の入母屋造屋根を載せる。
愛知県庁舎は,西洋的な様式と城郭天守の意匠を融合させて地域色を現し,昭和前期の建築思潮で課題となっていた「日本趣味」の表現を達成しており,秀逸な意匠と高い歴史的価値を有している。
関連情報
(情報の有無)
附指定
添付ファイル
なし
写真一覧
愛知県庁舎 全景
愛知県庁舎 議場
愛知県庁舎 知事室
愛知県庁舎 貴賓室
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愛知県庁舎 全景
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愛知県庁舎 議場
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愛知県庁舎 知事室
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愛知県庁舎 貴賓室
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解説文
愛知県庁舎は,名古屋市庁舎の南隣に並んで建っている。現在の建物は昭和13年に竣工したもので,渡辺仁と西村好時が基本設計を行い,愛知県内務部営繕課が実施設計を行った。 鉄骨鉄筋コンクリート造,地上六階地下一階,一部七階建である。両側の南と北には自動車庫を配置している。外観は異なるタイル張による三層構成で,三方の中央に名古屋城大天守を思わせる破風付の入母屋造屋根を載せる。 愛知県庁舎は,西洋的な様式と城郭天守の意匠を融合させて地域色を現し,昭和前期の建築思潮で課題となっていた「日本趣味」の表現を達成しており,秀逸な意匠と高い歴史的価値を有している。
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詳細解説
愛知県庁舎 一棟 愛知県庁舎は、名古屋城旧三之丸の東に位置し、大津通に面した西を正面として建つ。北は名古屋市庁舎と隣接し、その先には城の中心部である旧本丸、二之丸が続いている。愛知県庁舎は、平成十年七月二十三日付で登録有形文化財となっている。 愛知県は、南久屋町や南武平町などに庁舎を置いていた。大正十五年に県内の郡役所が廃止され、昭和三年に三之丸を使用していた陸軍騎兵第三連隊等が郊外へ移転することとなり、現在地に県庁舎を建設する運びとなった。また同じくして名古屋離宮の廃止に伴い、名古屋市に下賜された本丸などの公開が始まり、天守などの国宝指定と相俟って、市民の間では名古屋城に対する関心が高まっていた。昭和八年三月、愛知県は翌九年から同十一年までに県庁舎を建設することを決定し、基本設計を渡辺仁と西村好時に依頼し、佐野利器と土屋純一が建築顧問に就任した。同十年には酒井勝営繕課長、大西勉主任技師を中心とした内務部営繕課の手で実施設計および工事監理が行われ、十月二十四日に起工式、同十三年二月二十八日に竣工し、落成式は同年三月二十二日に行われた。庁舎の南と北に対置した自動車庫も同時期に竣工した。施工は戸田組による。 愛知県庁舎は、県政執務棟と県会議事堂からなる。鉄骨鉄筋コンクリート造の地上六階一部七階、地下一階建、建築面積四六六五・九九平方メートルで、日の字型平面の東辺中央に議事堂を配して、西正面中央に車寄せ玄関、南北面中央に玄関を開く。 県政執務棟は一階を石張、二階から五階を黄褐色テラコッタ張、六階と七階を白色磁器モザイクタイル張とした三層構成の外観になる。両翼部の突出をなくして中央部分のみを突出させる凹凸を抑えた単純な箱型の形態に、名古屋城大天守から意匠を引用した入母屋造を多用する屋上階と、前面車寄せ廻りに本瓦型銅板葺の勾配屋根を置き、陸屋根のパラペットに瓦葺屋根を形づくって日本趣味をみせる。内部は、正面には六階に正庁、五階に貴賓室、三階に第一会議室、一階に正面車寄せ玄関と広間を配している。ただし、知事室を三階南辺中央に置くなど、必ずしも正面性が強く意識されたわけではない。また、広間などの照度を確保するため、大階段は正面に設けず右側へ寄せ、奥の壁面に窓を開く。 県会議事堂は、地階を石張、一階から三階を黄褐色テラコッタ張とし、東西棟の切妻屋根を架けて、南東隅には煙突を立てる。議場は二階に設け、西面して二階分を吹抜けとし、三階に傍聴席を設ける。議員、記者と傍聴者の動線を明確に区分することで、それぞれ階や区域の独立性を確保している。 各執務室の配置では、繋がりの深い部局を上下に重ねて垂直動線を意識し、階段やエレベーターを配置しており、通観すると、事務所建築としての効率に基づき機能性と合理性を重視して設計されたことがわかる。こうした点は内部の意匠にも表れている一方で、主要諸室の随所には日本趣味が反映されており、特に正庁、貴賓室、知事室においては極めて密度の高い装飾が展開される。文様を抽象化し、彩色を控えめに行うなど、伝統的な装飾とモダニズム的な明朗性を巧みに融合させている。外観の意匠は「金鯱燦然として聳ゆる天下の名城に対照し更に隣接する名古屋市庁舎の威容、天然の環境」に配慮して、西洋的な形態に名古屋城大天守を題材とした屋根を掲げるという、郷土性の強い発露によって演出するとともに、「日本趣味を基調としたる近世式」を達成したと考えられる。 南北の自動車庫は、それぞれ桁行五六・八メートル、梁間六・五メートル、鉄筋コンクリート造の長大な平屋建で、東端の一室を乗務員の控室とする。南自動車庫の一部には、建設当初からのシャッターが残る。 愛知県庁舎は、名古屋市庁舎とともに日本趣味を基調とした大規模庁舎建築が並立する都市景観を創り出している。その設計は、平面や空間の計画においては、過度の記念性を排した合理主義に基づいてまとめながら、外観意匠においては西洋的な様式と城郭天守の意匠の融合というかたちで地域的な特色、さらには「日本趣味」を顕現したといえる。昭和前期におけるわが国の建築思潮で大きな課題となった「日本趣味」の表現における到達点の一つを示す作品として価値が高い。 【参考文献】 『愛知県の近代化遺産』(愛知県教育委員会 二〇〇五年) 『登録有形文化財(建造物)愛知県庁本庁舎文化財調査報告書』 (愛知県総務部財産管理課 二〇一三年)
関連情報
附指定
南自動車庫
北自動車庫
関連情報
附指定
附名称
:
南自動車庫
附員数
:
一棟
関連情報
附指定
附名称
:
北自動車庫
附員数
:
一棟