国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
日本聖公会奈良基督教会
ふりがな
:
にほんせいこうかいならきりすときょうかい
棟名
:
会堂
棟名ふりがな
:
かいどう
日本聖公奈良基督教会 全景
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員数
:
1棟
種別
:
近代/宗教
時代
:
昭和
年代
:
昭和5
西暦
:
1930
構造及び形式等
:
三廊式教会堂、木造、建築面積343.61㎡、桟瓦葺一部銅板葺、西面渡廊下附属
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
2631
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2015.07.08(平成27.07.08)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(一)意匠的に優秀なもの
重文指定基準2
:
所在都道府県
:
奈良県
所在地
:
奈良県奈良市登大路町四四番地
保管施設の名称
:
所有者名
:
日本聖公会奈良基督教会・学校法人親愛学園
所有者種別
:
法人
管理団体・管理責任者名
:
日本聖公奈良基督教会 全景
解説文:
詳細解説
日本聖公会奈良基督教会は,奈良市中心部、興福寺境内の西隣に位置している。奈良県内で古社寺修理の経験を持つ大木吉太郎の設計施工により,親愛幼稚園舎は昭和4年,会堂は同5年にそれぞれ竣工した。会堂は本格的な三廊式教会堂であるが,勾配の緩い伸びやかな屋根,小組格天井,菱格子欄間など和風要素で構成されている。親愛幼稚園舎もほぼ同様の意匠からなり,間仕切を外せば会館としても使用することができる。日本聖公会奈良基督教会は,奈良公園に隣接する立地条件から,純粋な和風意匠でつくられた教会堂建築である。古建築から着想を得た諸要素を巧妙にまとめ,各部のバランス,細部意匠とも秀逸で意匠的に優れている。古社寺修理から学んだ伝統的な要素を駆使し,教会堂として完成させた昭和初期の近代和風建築として,高い価値がある。
関連情報
(情報の有無)
附指定
添付ファイル
なし
写真一覧
日本聖公奈良基督教会 全景
日本聖公奈良基督教会 会堂 外観
日本聖公奈良基督教会 会堂 内部
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日本聖公奈良基督教会 全景
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日本聖公奈良基督教会 会堂 外観
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日本聖公奈良基督教会 会堂 内部
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解説文
日本聖公会奈良基督教会は,奈良市中心部、興福寺境内の西隣に位置している。奈良県内で古社寺修理の経験を持つ大木吉太郎の設計施工により,親愛幼稚園舎は昭和4年,会堂は同5年にそれぞれ竣工した。会堂は本格的な三廊式教会堂であるが,勾配の緩い伸びやかな屋根,小組格天井,菱格子欄間など和風要素で構成されている。親愛幼稚園舎もほぼ同様の意匠からなり,間仕切を外せば会館としても使用することができる。日本聖公会奈良基督教会は,奈良公園に隣接する立地条件から,純粋な和風意匠でつくられた教会堂建築である。古建築から着想を得た諸要素を巧妙にまとめ,各部のバランス,細部意匠とも秀逸で意匠的に優れている。古社寺修理から学んだ伝統的な要素を駆使し,教会堂として完成させた昭和初期の近代和風建築として,高い価値がある。
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詳細解説
日本聖公会奈良基督教会 2棟 会堂、親愛幼稚園舎 日本聖公会奈良基督教会は、興福寺境内の西隣に敷地を構える。 明治一八年、大阪在住の聖公会宣教師が奈良に伝道者を派遣したことにはじまる。明治四二年に現教会の土地を購入し、本格的な会堂建設の計画を進めた。隣接する奈良公園の風致景観保全のため、教会堂でありながら純粋な和風意匠で計画された。設計及び施工は奈良県内で古社寺修理の経験を持つ大木吉太郎(一八八七~一九七一)で、昭和三年に工事着手、同年七月に定礎式が行われ、会堂は昭和五年に竣工し、同年四月二九日に献堂式が行われた。園舎は当初会館として設計されたが、竣工間際に幼稚園舎として使用することとなり、昭和四年一二月に竣工、同五年四月に親愛幼稚園として開園した。正門も同時期の建築とみられる。 敷地は長方形で中心に会堂、その西に並ぶ親愛幼稚園舎がやや北寄りに建ち、渡廊下で接続する。西側は一段低く、敷地を細長く伸ばし、階段と通路を経て東向通りに正門を開く。日本聖公会奈良基督教会は、平成九年七月一五日付けで登録有形文化財、平成二七年三月二七日付けで奈良県指定有形文化財となっている。 会堂は桁行27.6m、会衆席の梁間11.8m、木造平屋建で、西面に渡廊下を附属する。平面は南北に長い長方形で、北に至聖所及び聖所を配し、会衆席は身廊の天井を高くし上部に高窓を設け、両脇に側廊を下屋として列柱で区画するなど、三廊式バシリカ型教会堂の形式に倣う。会衆席南端には西向きの玄関を設け、南端東を張出し大理石の洗礼盤を据える。聖所東は礼拝準備室とする。 基礎は側廻りを煉瓦積布基礎とし、外面をモルタル塗洗出仕上で壇正積風に見せる。柱は面取り角柱で、至聖所及び聖所廻りは丸柱とする。側柱は布基礎上に土台立ちとし、腰長押、内法長押を廻し、頂部に面取り舟肘木を載せて桁を受ける。内部柱はコンクリート独立基礎に立て、地覆、胴差、桁で固める。小屋組は丸太材によるキングポストトラスで、水平に鋼棒ブレースを入れる。本体の桟瓦葺屋根は勾配が緩く伸びやかな曲線を持つ。長辺方向に大棟を延ばし、南を入母屋造、北は大棟を直交させ、東西側面に叉首組の妻を見せる入母屋造とし、大棟交差部には十字架を立てる。下屋及び庇、渡廊下屋根は銅板一文字葺とし、会衆席部下屋と至聖所、聖所廻りの庇屋根を連続させる。 内部は玄関を土間、他を板床とする。会衆席、聖所、至聖所の順に床を高め、聖所至聖所間は横連子付き組高欄で区画する。身廊と側廊間の列柱は下部を開放とし、内法長押下に縦連子欄間を吊り、上部高窓には菱格子の引違ガラス窓を嵌める。聖所会衆席境は内法長押下に吹寄菱格子欄間を吊り、上部は特異な造形の透欄間を嵌める。真壁造の外周廻りは腰壁を竪板張、他を外白漆喰塗、内砂壁仕上とし、窓は菱格子欄間付きの引違ガラス障子窓とする。天井は小組格天井とし、身廊、聖所、至聖所は高い位置に水平に張る。会堂内の聖卓や机、椅子などの家具四五点も建物に合わせて設計されたもので、いずれも素木で組高欄や木鼻など日本建築の意匠を見せる。渡廊下は東半を一段下げた板床、西半を土間とし、南北にスロープを附け通路とする。天井は十字に桟を入れた格天井である。 親愛幼稚園舎は桁行27.6m、梁間7.9m、木造平屋建で、屋根は本体を入母屋造、桟瓦葺とし、北から東面の廊下を銅板葺の下屋とする。基礎、軸部構成、外観は会堂と概ね共通し、各間に横格子を入れた欄間付き引違ガラス窓を設ける。 平面は四室に区画し、北室を舞台状に一段高め、南室を四間四方の他より広い部屋とする。東に廊下、北に便所が付き、会堂渡廊下を出入口とする。内部は板床で、天井は十字に桟を入れた格天井である。各部屋境は垂壁が付き、かつては板戸引違で区画されていた。幼稚園だが、間仕切りを外せば会館として使用することができ、会堂の機能を補完する役割を持つ。 正門は、石造門柱四本よりなり、南北に脇門が付き、北に柵が附属する。門柱は花崗岩で表面を江戸切こぶ出し仕上とし、本柱二本には傘石を載せる。 日本聖公会奈良基督教会の会堂及び親愛幼稚園舎は、奈良公園の隣接地という立地条件から純粋な和風意匠で建築された教会堂建築で、古建築から着想を得た諸要素を駆使して纏めており、各部のバランス、細部意匠とも秀逸で意匠的に優れている。古社寺修理から学んだ伝統的な要素を使いこなし、教会堂建築として完成させた昭和初期の近代和風建築の展開を示す好例として価値が高い。 【参考文献】 松波秀子「昭和初期の和風キリスト教会堂について―奈良基督教会を事例に―」『清水建設研究報告第六四号』(一九九六年一〇月) 福田頌子『近代奈良の建築家・大木吉太郎の研究―喜多家住宅と奈良基督教会を中心に―』(奈良女子大学卒業論文 二〇〇七年二月) 『奈良県の近代和風建築』(奈良県教育委員会 二〇一一年)
関連情報
附指定
会堂家具
正門
設計図面
関連情報
附指定
附名称
:
会堂家具
附員数
:
45点
関連情報
附指定
附名称
:
正門
附員数
:
1所
関連情報
附指定
附名称
:
設計図面
附員数
:
147枚