国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
平井家住宅
ふりがな
:
ひらいけじゅうたく
棟名
:
主屋
棟名ふりがな
:
おもや
平井家住宅 主屋 外観(南東から見る)
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員数
:
1棟
種別
:
近代/住居
時代
:
大正
年代
:
大正10
西暦
:
1921
構造及び形式等
:
木造、建築面積483.34㎡、二階建、南面玄関附属、北面浴室及び便所、桟瓦葺及び鉄板葺、西面勝手及び作業所附属、木造、建築面積241.80㎡、平屋建、鉄板葺
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
2637
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2016.02.09(平成28.02.09)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(一)意匠的に優秀なもの
重文指定基準2
:
(五)流派的又は地方的特色において顕著なもの
所在都道府県
:
岩手県
所在地
:
岩手県紫波郡紫波町日詰字郡山駅二四六番地
保管施設の名称
:
所有者名
:
所有者種別
:
管理団体・管理責任者名
:
平井家住宅 主屋 外観(南東から見る)
解説文:
詳細解説
平井家は江戸時代初期より当地に居住した商家で,近代には醸造業や鉱山経営などを手がけた。主屋は大正10年の建築で,ミセの構えや通り土間は伝統的な平面になるが,ガラス窓を多用した開放的な外観,二階の広壮な大広間などの上質な接客空間,変化に富む屋根などに近代の特徴が窺える。
平井家住宅の主屋は,建築年代が明確で,かつ規模壮大な建物である。当地方の伝統的な平面を継承しつつ,近代的な意匠と手法が随所に導入されており,優れた和風建築として高い価値がある。また伝統的な土蔵と煉瓦造の蔵が共存し,防火を意識した煉瓦塀で敷地を囲うなど,近代の展開を示す建造物が一体的に残っており,土地と併せて保存を図る。
関連情報
(情報の有無)
附指定
添付ファイル
なし
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平井家住宅 主屋 外観(南東から見る)
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平井家住宅 主屋 外観(南東から見る)
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解説文
平井家は江戸時代初期より当地に居住した商家で,近代には醸造業や鉱山経営などを手がけた。主屋は大正10年の建築で,ミセの構えや通り土間は伝統的な平面になるが,ガラス窓を多用した開放的な外観,二階の広壮な大広間などの上質な接客空間,変化に富む屋根などに近代の特徴が窺える。 平井家住宅の主屋は,建築年代が明確で,かつ規模壮大な建物である。当地方の伝統的な平面を継承しつつ,近代的な意匠と手法が随所に導入されており,優れた和風建築として高い価値がある。また伝統的な土蔵と煉瓦造の蔵が共存し,防火を意識した煉瓦塀で敷地を囲うなど,近代の展開を示す建造物が一体的に残っており,土地と併せて保存を図る。
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詳細解説
平井家住宅 六棟 主屋、表門、南蔵、北蔵、米蔵、造り蔵、土地 岩手県紫波郡紫波町 個人、紫波町 平井家住宅は、岩手県内陸部のほぼ中央、北上川沿いに形成された紫波町中心部の日詰にある。日詰及び周辺の成立は中世に遡り、近世には代官所、御蔵、御用屋敷などが置かれて地方支配の中心になるとともに、街道の整備に伴って宿場町としても繁栄した。日詰の町域は新田町、肴町、仲町、寺小路、習町、鍛治町に細分されるが、平井家住宅はその南端、新田町に所在している。 平井家は、伊勢松坂から会津を経て元和年間(一六一五~一六二四)に日詰へ来住した商家で、初代の六兵衛が伊勢屋と称して米の取引を行ったのが始まりという。寛文四年(一六六四)に盛岡藩から分割されて八戸藩が成立すると、二代六右衛門の代には八戸藩の御蔵宿に指定された。以後、平井家は藩と緊密な関係を保持し、御蔵宿と荷受問屋などを本業としながら、江戸の穀物問屋の代理業なども営んだ。江戸時代末期には酒造権を取得し、小規模な酒造を行っていたが、近代に入って本格的に酒造業と醤油などの醸造業へ移行した。さらに一二代六右衛門は鉱山経営など幅広い事業で財を成すとともに、政治家としても活躍した。 敷地は南北に通る奥州道中の西側に構え、東半の東、南、北の三面を煉瓦塀で囲んでいる。主屋は街道に面して建ち、南に表門と庭園、北には内庭を築くとともに南蔵と北蔵が建ち並んでいる。西方には米蔵や醸造業の大規模な造り蔵、西蔵、木小屋がある。 主屋は、棟札や記録から大正七年に着工され、同一〇年に完成したことがわかる。主屋南脇の表門や煉瓦塀、主屋中央の北に連なる南蔵と北蔵の二棟は主屋と同時期と考えられる。西方にある米蔵や造り蔵、西蔵、木小屋は明治四二年とみられる。 主屋は、東西約三五・四メートルの長大な規模を有する、たちの高い総二階建で、街道に面した東側は、南北棟の入母屋造、桟瓦葺屋根を架けた平入の町家形式となるが、これに直交して西に東西棟を延ばし、その西寄りには入母屋造、桟瓦葺屋根を架け、庇や連続する部分を鉄板葺とする。小屋組は和小屋で一部にトラスを組み込む。また庭に面した南面中央に切妻造の玄関、北面の西端に浴室及び便所を設ける。北面のほぼ中央では南蔵と北蔵に連結し、西面には勝手及び作業所を附属する。一階は東側を鍵型土間のミセとミセグラとしその西に部屋を二列に並べ、南側に通り土間、北側に廊下を通す。南列は東よりジョイ、ゲンカンノマ及び階段室、シンオウセツマ、チャノマ、ダイドコロであり、北列は東より床付のブツマ、ツギノマ、チドリノマ、カメノマと続き、廊下を挟んで納戸とする。このうちジョイとダイドコロは吹き抜けで高い空間をつくるが、ほかは棹縁天井を張る。二階は中ほどの倉庫で東西に二分し、東側は、床、棚を付けた一〇畳を南北に配し、それぞれ控室を設ける。西側は床、棚、付書院を備えた三三畳の大広間に、一一畳と六畳の控えの間が接続する。大広間の西には廊下を挟んで床付の一二畳半を配する。ミセの構えや通り土間は伝統的な平面になるが、採光のためのガラス窓を多用した開放的な側廻り、広壮な大広間をはじめとした二階の上質な接客空間、トラス構造を導入し桟瓦と鉄板を組み合わせて達成した変化に富む屋根などに近代の特徴が窺える。 勝手及び作業場は、平屋建で、主屋の西面に取り付き、部材の風食状況から、主屋と一連で建てられたとみられる。主屋側の勝手が東西棟、その西の作業場が南北棟で、鍵型の平面になり、作業場北面には基底部一辺一・三六メートルの煉瓦造煙突がある。ともに土間で、間仕切りの少ない大空間をキングポストトラスでつくり、鉄板葺屋根を架ける。 表門は、一間腕木門で、南と北に桟瓦葺の煉瓦塀を設ける。門口は二・七メートル、八の字状に配した控柱と貫で結ぶ。本柱は五平で、内法の差物上の中備に蟇股を入れ、軒は一軒疎垂木、切妻造、銅板葺である。床には切石を敷き詰め、軸部から扉まで上質のケヤキを用いる。 南蔵と北蔵は同規模同形式で、東面を扉口とし、鉄板葺の下屋庇を連続して主屋側に前室をつくり、南面の各階に庇付の窓を設ける。各々桁行八・九メートル、梁間五・七メートル、煉瓦造の二階建で、屋根は妻壁を立ち上げた切妻造、桟瓦葺とする。内部は各階とも一室で、小屋組はキングポストトラスである。基礎は花崗岩三段積で、煉瓦造壁体の外面は人造石洗い出し、内面は漆喰塗で仕上げる。扉と窓には、厚い鉄板で覆う板戸を両開きとする。 米蔵は、桁行一一・五メートル、梁間五・七メートルの土蔵造、妻入で、置き屋根式の寄棟造、桟瓦葺とし、北面の扉口には鉄板葺の下屋庇を設ける。内部は低い板床の広い一室で、壁は内外とも漆喰塗とする。天井を張らず、小屋組は和小屋である。 造り蔵は、桁行三四・四メートル、梁間一一・五メートル、長大な東西棟の平屋建で、置き屋根式の鉄板葺である。内部は、東、中央、西の三室に分かれ、外への出入口は中央のみとし、ここに東と西の出入口を設ける。側廻りは半間ごとに柱を立てて貫で堅牢に固め、内部は棟通りに太い柱四本を立てて梁を架け、和小屋を組む。外壁は土壁の大壁造であるが、内部は真壁造で漆喰塗とする。 西蔵は、桁行七・七メートル、梁間四・八メートル、真壁造及び大壁造の二階建、切妻造の桟瓦葺で、南面に鉄板葺の下屋庇を架ける。内部は一階、二階とも一室で、小屋は和小屋とし、二階への出入口を東妻面に設ける。 木小屋は、桁行九・六メートル、梁間六・六メートル、南北棟の切妻造で、西面に庇を架け、鉄板葺とする。全面吹き放しで、軸部中段に床を組み、材木を貯蔵している。 南煉瓦塀は、延長二八・四メートル、高さ四・二メートルの規模で、敷地南辺の東側を区切る。石積基礎に建ち、南面はモルタル塗、北面は煉瓦を現し、約三・六メートル間隔で控えの柱形をつくり、桟瓦葺屋根を架ける。北煉瓦塀は、矩折れで敷地北東隅の庭を区切る。石積基礎に建つ煉瓦部は高さ三・〇メートル、桟瓦葺屋根を架ける。東辺は延長一四・八メートルで東面を化粧煉瓦張とし、北辺は煉瓦あらわしの延長二五・四メートルで西寄りに板扉付の潜口をつくる。 平井家住宅は、建築年代が明確で、東北地方を代表する近代の大規模商家のひとつといえる。とくに規模壮大で総二階建の主屋は、平面や構法に地方の伝統を継承しつつ、近代的な意匠と手法が随所に導入されており、優れた和風建築として高い価値がある。また伝統的な蔵と煉瓦造の蔵が共存し、防火を意識した煉瓦塀で敷地を囲うなど、近代の展開を示す建造物が一体的に残っており、土地と併せて保存を図る。 【参考文献】 『岩手県近代和風建築総合調査報告書』岩手県教育委員会、二〇〇七年 『平井家住宅調査報告書』紫波町教育委員会、二〇一五年
関連情報
附指定
西蔵
木小屋
南煉瓦塀
北煉瓦塀
関連情報
附指定
附名称
:
西蔵
附員数
:
1棟
関連情報
附指定
附名称
:
木小屋
附員数
:
1棟
関連情報
附指定
附名称
:
南煉瓦塀
附員数
:
1基
関連情報
附指定
附名称
:
北煉瓦塀
附員数
:
1基