国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
養源院
ふりがな
:
ようげんいん
棟名
:
客殿
棟名ふりがな
:
きゃくでん
養源院 客殿 外陣
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員数
:
1棟
種別
:
近世以前/寺院
時代
:
江戸前期
年代
:
元和7
西暦
:
1621
構造及び形式等
:
桁行22.8m、梁間18.9m、一重、入母屋造、本瓦葺、西面奥玄関、北面奏者所附属、本瓦葺、北東隅内仏壇及び廊下附属、桟瓦葺
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
2639
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2016.02.09(平成28.02.09)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(一)意匠的に優秀なもの
重文指定基準2
:
(三)歴史的価値の高いもの
所在都道府県
:
京都府
所在地
:
京都府京都市東山区大和大路通七条下る三十三間堂廻り六五六番地
保管施設の名称
:
所有者名
:
宗教法人養源院
所有者種別
:
寺院
管理団体・管理責任者名
:
養源院 客殿 外陣
解説文:
詳細解説
養源院は,淀殿が父浅井長政の菩提を弔うために文禄3年(1594)に創建した寺院で,元和7年(1621)に徳川秀忠夫人お江により境内が再興された。伽藍の中心となる客殿は六間取方丈形式の平面をもち,西面に入母屋造,軒唐破風付の奥玄関を附属し,内部は俵屋宗達の筆と伝える襖絵や杉戸絵などで飾られる。
養源院客殿は,木柄が大きく豪壮な方丈建築で,重厚な玄関と上段の間を構え,各室内を障壁画で飾るなど上質な接客空間を備えており,意匠的に優れている。建立年代が明らかで保存も良好であり,江戸時代初期における方丈建築の展開を示す点において,高い歴史的価値を有している。また護摩堂や鐘楼堂,中門もいずれも質が高く,伽藍再興期の様相を良好に伝えるものとして重要である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
添付ファイル
なし
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養源院 客殿 外陣
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養源院 客殿 外陣
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解説文
養源院は,淀殿が父浅井長政の菩提を弔うために文禄3年(1594)に創建した寺院で,元和7年(1621)に徳川秀忠夫人お江により境内が再興された。伽藍の中心となる客殿は六間取方丈形式の平面をもち,西面に入母屋造,軒唐破風付の奥玄関を附属し,内部は俵屋宗達の筆と伝える襖絵や杉戸絵などで飾られる。 養源院客殿は,木柄が大きく豪壮な方丈建築で,重厚な玄関と上段の間を構え,各室内を障壁画で飾るなど上質な接客空間を備えており,意匠的に優れている。建立年代が明らかで保存も良好であり,江戸時代初期における方丈建築の展開を示す点において,高い歴史的価値を有している。また護摩堂や鐘楼堂,中門もいずれも質が高く,伽藍再興期の様相を良好に伝えるものとして重要である。
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詳細解説
養源院 四棟 客殿、護摩堂、鐘楼堂、中門 京都府京都市東山区 宗教法人 養源院 養源院は南叡山と号し、蓮華王院の東に寺地を構える浄土真宗遣迎院派寺院で、昭和三〇年までは天台宗に属した。浅井長政の長女、豊臣秀吉側室淀殿により、父の菩提を弔うため、文禄三年(一五九四)に創建された。元和五年(一六一九)に諸堂を焼亡し、同七年、長政の三女、徳川秀忠室崇源院によって再建され、その造営には江戸幕府の関与が認められる。慶安四年(一六五一)には秀忠の五女、後水尾天皇中宮東福門院により、家光の位牌が安置され、以後、徳川歴代将軍の位牌所ともなった。 境内は西向きに開き、西辺には北の表門と南の裏門を構える。客殿を境内東寄りに南面して建て、北東に庭園を設ける。護摩堂が客殿の南東に西面して建ち、矩折れの廊下で客殿と繋ぐ。また客殿の南西方に鐘楼堂を建てる。客殿奏者所の西には中門を構え、さらに西へ参道が続き表門に達する。養源院客殿、護摩堂、鐘楼堂、中門、表門、裏門は昭和六一年六月二日付け(奏者所、内仏の間は平成三年四月一日追加)で京都市指定有形文化財に、また客殿障壁画のうち、金地著色松図(伝宗達筆/襖貼付八面/戸襖貼付四面)、著色絵杉戸(伝宗達筆/表獅子裏波に麒麟図二面/表獅子裏白象図二面)が大正八年四月一二日付けで重要文化財(美術工芸品)となっている。養源院庭園が平成元年四月一日付けで京都市指定名勝となっている。 客殿は元和七年再興時の建物で、桁行二二・八メートル、梁間一八・九メートル、入母屋造、本瓦葺である。西面南端間に東西棟、入母屋造、本瓦葺、軒唐破風付の「奥玄関」を、北面西寄りに南北棟、本瓦葺の「奏者所」を、東北隅に東西棟、入母屋造、桟瓦葺の「内仏壇及び廊下」を接続する。 平面は前後二列の六間取方丈形式を基本として、四周に広縁、落縁を廻らせ、落縁の外に建具をたて、室内に取り込む。東に榑縁の濡縁を配し、北も落縁からさらに半間拡張して雨戸をたてる。後列中央間を南北に二分し、南は奥に間口幅に仏壇を構えた「内陣」、北は背面広縁まで取り込んだ「槇之間」とし、前列中央間を「外陣」とする。内陣、外陣は拭板敷とし、外陣の東西端に置畳とする。仏壇には本尊の釈迦如来像と浅井長政、徳川歴代将軍等の位牌を安置する。後列東室は、後方二間を上段框を設けた「上段」、前方一間を「下段」とし、上段には、床、違棚、付書院を備える。前列東室は「桃之間」で、現在は前一間通りを間仕切る。後列西室は床付の「葵之間」、前列西室は「棕櫚之間」とする。 軸部は礎石に面取角柱を立て、貫で固めて長押を廻し、落縁側まわりの柱上にのみ舟肘木を置く。天井は、仏壇上部と上段を折上小組格天井、内陣と下段を小組格天井とし、他の各室に猿頬天井、広縁に鏡天井を張って、落縁は化粧屋根裏とする。 柱間装置は、落縁側まわりを板戸二枚内明障子引違とする。入側通は正面中央を両折桟唐戸とするほか舞良戸二枚内明障子引違とし、室境を襖四枚引違とする。外陣の襖等には俵屋宗達の筆と伝える金地著色画を飾る。内外陣境を花狭間欄間、内陣の三面と槇之間まわりを漆喰壁とするほかは筬欄間とする。南広縁は東西面入側通り、西広縁は南入側通りから一間北の通り、東広縁は南入側通りを杉戸引違とし、それぞれ竹の節欄間とする。 妻飾りは木連格子とし、軒は二軒疎垂木とする。 奥玄関は、桁行四間、梁間三間、妻入、二軒疎垂木である。軸部は面取角柱を立て舟肘木を受ける。梁間には虹梁を架けて板蟇股で化粧棟木を受ける。床を瓦四半敷として南北両脇に腰掛を設け、東に階段二級で客殿落縁に上がる。柱間装置は、客殿側を開放とし、正面の中央間に両開桟唐戸を吊って弓欄間を入れ、南面に花頭窓を穿つほかは土壁漆喰塗とする。 奏者所は、当初、西に表玄関を構えて申次を行った部屋で、桁行五間、梁間四間半、一軒疎垂木とする。面取角柱を立て、平面は東西二列の四室からなり、東列南室を南面に床と押入を設ける。天井は猿頬天井とする。また東西に榑縁を付ける。 北東隅に張り出す内仏壇及び廊下は、西に床と押入を設けた八畳の内仏壇と、その南、東に折れ曲がりで取り付く一間幅の畳廊下からなり、西を除く三方に榑縁を付ける。 護摩堂は細部様式から江戸時代前期の建立とみられ、桁行三間、梁間三間、入母屋造、本瓦葺である。内部は拭板敷の一室とし、中央に護摩壇を置き、東半間に仏壇を構えて不動明王を祀り、天井は小組格天井で、中央を折上小組格天井とする。正側面三方に擬宝珠高欄付の切目縁を廻らし、正面に木階を架ける。軸部は亀腹上に礎石建の面取角柱とし、柱上に出三斗を組み、中備は各面中央間蟇股、両脇間は蓑束とする。柱間装置は、正面中央間を両折桟唐戸内明障子引違、両脇間を半蔀内明障子引違、両側面前二間を舞良戸二枚内明障子引違、背面と側面後端間を板壁とする。南北の縁東端に脇障子をたてる。二軒繁垂木で、妻飾りは虹梁大瓶束笈形付とし、中備を花肘木とする。 客殿と護摩堂を繋ぐ廊下は切妻造、桟瓦葺、一軒疎垂木で、北端部は客殿に付け、護摩堂の軒下に納める南端部を唐破風造とする。組物は用いず、南妻では板蟇股で化粧棟木を受ける。 鐘楼堂は旧梵鐘銘記録より、慶安三年頃の建立とみられる。低い野面積基壇上に建つ方一間吹放し形式で、南北棟、切妻造、本瓦葺である。土間に礎石を配し、丸柱を貫で固め、柱上に三斗を置いて桁を受け、中備を蟇股とする。妻虹梁上の大瓶束で棟木を受ける。一軒疎垂木で化粧屋根裏とする。 中門は細部様式から江戸時代前期の建立とみられる。南北棟の一間薬医門とし、切妻造、本瓦葺で、両開戸を吊る。軸部は角柱で、親柱は五平とする。両妻と中央男梁上には板蟇股を置き、大斗と絵様肘木で棟木を受ける。軒は二軒疎垂木とする。冠木両端を延ばして端部に角柱を立て、北を潜戸、南を板壁とする。北には本瓦葺の築地塀が矩折れに建ち、その東に切妻造本瓦葺の番所を付し、南には本瓦葺の築地塀が建つ。 表門は板蟇股の意匠などから文禄三年創建時に建設され、江戸時代中期に大きく改造されたと考えられる。一間薬医門、切妻造、本瓦葺で、軸部は親柱を角柱、控柱を丸柱とする。 養源院客殿は、木柄の大きな方丈建築で、高位の人物の招請を企図した重厚な玄関と、上段の間を構え、各室内を障壁画で飾るなど上質な接客空間を備えており、意匠的に優れている。建立年代が明らかで保存も良好であり、江戸時代初期における方丈建築の展開を示す点において、高い歴史的価値を有している。また客殿とほぼ同時期に建立された護摩堂や鐘楼堂、中門もいずれも質が高く、伽藍再興期の様相を良好に伝えるものとして重要であり、併せて保存を図る。 【参考文献】 『養源院建造物調査報告書』養源院、二〇一五年
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附指定
鬼瓦
表門
関連情報
附指定
附名称
:
鬼瓦
附員数
:
1個
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附指定
附名称
:
表門
附員数
:
1棟