国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(建造物)
各棟情報
名称
:
戸田家住宅
ふりがな
:
とだけじゅうたく
棟名
:
主屋
棟名ふりがな
:
おもや
戸田家住宅 全景(航空写真)(南西から見る)
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員数
:
1棟
種別
:
近代/住居
時代
:
明治
年代
:
明治19
西暦
:
1886
構造及び形式等
:
木造、建築面積243.96㎡、二階建、本瓦葺
創建及び沿革
:
棟礼、墨書、その他参考となるべき事項
:
指定番号
:
2640
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2016.02.09(平成28.02.09)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
重文指定基準1
:
(五)流派的又は地方的特色において顕著なもの
重文指定基準2
:
所在都道府県
:
徳島県
所在地
:
徳島県板野郡上板町佐藤塚三三五番地
保管施設の名称
:
所有者名
:
所有者種別
:
管理団体・管理責任者名
:
戸田家住宅 全景(航空写真)(南西から見る)
解説文:
詳細解説
戸田家住宅は,吉野川の北側に屋敷地を構える。戸田家は近世以来当地で藍作を営んできたが,明治19年頃に敷地を拡張し,主屋を建て替えるなど屋敷地の更新を行い,その後昭和12年に東座敷を建築した。
石垣で高めた屋敷地と中心に建つ主屋,周囲を取り囲む土蔵群,広い前庭や藍寝床,撥釣瓶井戸など,当地域の近世以来の伝統的な藍屋敷の全体構成を踏襲しながら,二階を居室化して高さを高めた主屋や,別棟の接客空間として上質なしつらえを見せる東座敷などに近代的な特徴を示している。明治中期に最盛期を迎えた吉野川下流域の近代の藍屋敷を代表するものとして価値が高く,土地と併せて保存を図る。
関連情報
(情報の有無)
附指定
添付ファイル
なし
写真一覧
戸田家住宅 全景(航空写真)(南西から見る)
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戸田家住宅 全景(航空写真)(南西から見る)
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解説文
戸田家住宅は,吉野川の北側に屋敷地を構える。戸田家は近世以来当地で藍作を営んできたが,明治19年頃に敷地を拡張し,主屋を建て替えるなど屋敷地の更新を行い,その後昭和12年に東座敷を建築した。 石垣で高めた屋敷地と中心に建つ主屋,周囲を取り囲む土蔵群,広い前庭や藍寝床,撥釣瓶井戸など,当地域の近世以来の伝統的な藍屋敷の全体構成を踏襲しながら,二階を居室化して高さを高めた主屋や,別棟の接客空間として上質なしつらえを見せる東座敷などに近代的な特徴を示している。明治中期に最盛期を迎えた吉野川下流域の近代の藍屋敷を代表するものとして価値が高く,土地と併せて保存を図る。
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詳細解説
戸田家住宅 八棟 主屋、東座敷、土蔵、長屋門、藍寝床、西蔵、乾蔵、灰屋、土地 徳島県板野郡上板町 個人 戸田家住宅は、吉野川下流域左岸の上板町佐藤塚に屋敷地を構える。当地域は吉野川からもたらされる肥沃な土壌を背景に、近世以来藍の産地として栄えてきたが、明治に入り益々隆盛し、明治中期に最盛期を迎えた。 戸田家は近世から当地で藍の製造や販売を営んできたが、明治中期には当地有数の藍商として繁栄した。明治一九年頃に敷地を拡張し、主屋や長屋門などを新築し現在の屋敷地を整えた。その後昭和一二年に東座敷を建て、昭和一九年まで藍作を続けた。 屋敷地は南北約五一メートル、東西約四五メートルの概ね方形で、全体を石垣で高め、中央に主屋が南面して建つ。主屋の南東に東座敷を置き、主屋南東を中門及び塀で囲む。主屋背面東寄りに土蔵、東に風呂及び便所が建つ。主屋前庭を挟んで南には長屋門、その西に藍寝床が建ち、ともに前庭側に幅広の下屋を設ける。藍寝床の北には南から西蔵、乾蔵が並び、南面屋敷地外の道を隔てて畑地があり、道に面して灰屋がある。長屋門の東と主屋の北に撥釣瓶井戸がある。 主屋は、棟札より明治一九年に上棟したことがわかる。桁行一七・七メートル、梁間一〇・八メートル、二階建で、高さ約五〇センチの布石積基礎上に建つ。外壁は一階上部を真壁漆喰塗とする他は下見板張とし、窓は繊細な竪格子を嵌める。屋根は入母屋造、本瓦葺で四周に下屋を廻らし、照屋根で隅に軒反りを付け、妻面は破風に懸魚を吊り、木連格子とする。 平面は棟通りで前後に区画され、西三間分の南をドマ、北をダイドコロとし、一間分北へ張り出す。ダイドコロの南には中二階でヒロシキを設ける。床上部は前後二列各三室に分かれ、南列は西からチョウバ、ナカノマ、オモテノマとし、北列はイマ、ナカノマ及びブツマ、オクとする。オモテノマ北には床と違棚、付書院を設け、東には半間幅の畳廊下を付し、オモテノマ正面から矩折でオク東面まで幅の広いケヤキ板を用いた切目縁を廻らす。二階は西半三室と床高を高めた東半四室からなり、それぞれ土間とナカノマ北の階段から上がる。東半のうち北東隅の八畳は北面に床と天袋付の床脇を付すなど上質な居室とする。平面は概ね当地域の近世以来の伝統形式に倣うが、総二階として居室を設け、また土間や床、縁廻りのケヤキ材、座敷廻りのツガ柱、オモテノマ棹縁天井の屋久杉など総じて良材を用いており、部屋境の梅をあしらった彫刻透彫欄間や違棚廻りなど精緻で上質な造作を見せる。風呂及び便所は主屋と同時期の客用風呂便所とみられ、西を風呂、東を便所とし、屋根は切妻造本瓦葺である。 東座敷は、棟札より昭和一二年の上棟とわかる。桁行一一・三メートル、梁間六・五メートルで、屋根は入母屋造、本瓦葺で、東面を除く三方に桟瓦葺の下屋を廻らし、西に玄関の入母屋造、本瓦葺屋根を突出させる。平面は一〇畳を南北に並べ、西面南寄りに玄関を付し、その南に洗面所と便所を置く。北一〇畳は北から西に廊下を廻らし、主屋南西隅と渡廊下で接続する。平屋建だが、小屋裏に物置を設ける。北一〇畳は東に床と、天袋と地袋を持つ違棚、付書院を付し、柱はツガ、天井は屋久杉、床柱にはタガヤサンなど良材をふんだんに用い、竹の落とし掛、竹格子の明かり窓、部屋境や違棚の透彫り彫刻など各所に技巧を凝らす。部屋境の襖には淡彩画が描かれ、天袋、地袋の襖絵は松と富士など表裏に異なる画題を描き、季節に合わせて入替可能とする。 土蔵は、棟札より明治五年上棟とわかり、家財道具を収める。土蔵造、切妻造、本瓦葺で内部は板敷で壁は竪板張で牛梁を架け渡して中央の柱とともに屋根を支える。二階建だが、二階上部にい板を張り小屋裏も収納に使う。 長屋門は、棟札より明治一九年上棟とわかる。桁行二〇・七メートル、梁間四・九メートル、土蔵造、二階建で、東寄りに門口を開く大規模な長屋門である。高さ約六〇センチメートルの砂岩布基礎上に建ち、通路には青石を敷き詰める。外壁は大壁漆喰塗で要所に窓を設け腰壁を下見板張とし、屋根は入母屋造、本瓦葺で、北面全面に片流れ屋根で丸柱を用いた幅二間の下屋「オブタ」を設け作業場とした。内部一階は東を牛小屋、西を三室に分けた倉庫とし二階は五室の倉庫とする。東に使用人部屋と風呂便所が附属する。 藍寝床は、明治中期の建築とみられる。桁行一五・八メートル、梁間五・〇メートル、土蔵造、二階建、切妻造、本瓦葺で東面に長屋門同様幅二間のオブタを設ける。藍の原料となる蒅を製造する場所で、発酵のために内部一階は土間、二階は竹簀子の上に土を載せた土間床とし、西面に窓を各四箇所設け温湿度調整を行う。 西蔵は、江戸末期の建築とみられ、明治中期に隣地の建物を屋敷に取り込んだと考えられる。南北棟の切妻造、本瓦葺で北三間の土蔵部と南四間の隠居部屋部からなり、北に片流屋根の物置を付し、南に西門を附属する。土蔵部は北を土間の味噌蔵、南を板間とし隠居部屋に接続する。隠居部屋部は六畳を二室並べる。平屋建だが、小屋裏を物置とする。 乾蔵は、明治中期の建築とみられ、かつて藍寝床であった。布石積基壇上に立つ土蔵造、二階建で、桁行南面一一・八メートル、北面一一・二メートル、梁間七・九メートルの台形平面とし、屋根は切妻造、本瓦葺である。内部は藍寝床同様一階は土間、二階は竹簀子の上に土を載せた土間床とし、西面、北面に窓を設ける。 灰屋は、明治中期の建築とみられ、畑の肥料や藍染めに使う灰を溜めておく煉瓦造の小規模な建物である。躯体を一枚半厚の煉瓦積とし、木造、切妻造、本瓦葺の屋根を載せ、内部は土間とし、北に開口を開ける。 中門及び塀は昭和前期とみられ、一間棟門、本瓦葺の中門と桟瓦葺の板塀からなる。中門の欄間に丸に三の家紋や亀、板塀の欄間に波に鳥の透彫りを施す。 撥釣瓶井戸は、砂岩製の井戸枠と青石製の洗い場、撥釣瓶よりなる。主屋北は生活用、長屋門東は藍製造に用いられていた。 戸田家住宅は、石垣で高めた屋敷地と中心に建つ主屋、周囲を取り囲む土蔵群、広い前庭やオブタを持つ藍寝床や撥釣瓶井戸など、当地域の伝統的な藍屋敷の全体構成を踏襲しながら、二階を居室化して高さを高めた主屋の平面構成や外観、別棟の接客空間として上質なしつらえを見せる東座敷などに近代的な特徴を示しており、いずれも質が高い。大規模で年代も明らかで、一連の藍製造に係る施設をよく留めており、明治中期に最盛期を迎えた吉野川下流域の近代の藍屋敷を代表するものとして価値が高く、土地と併せて保存を図る。 【参考文献】 『徳島県の近代和風建築』徳島県教育委員会、二〇一三年
関連情報
附指定
棟札
上棟言寿
風呂及び便所
中門及び塀
撥釣瓶井戸
家相図
関連情報
附指定
附名称
:
棟札
附員数
:
2枚
関連情報
附指定
附名称
:
上棟言寿
附員数
:
1枚
関連情報
附指定
附名称
:
風呂及び便所
附員数
:
1棟
関連情報
附指定
附名称
:
中門及び塀
附員数
:
1棟
関連情報
附指定
附名称
:
撥釣瓶井戸
附員数
:
2所
関連情報
附指定
附名称
:
家相図
附員数
:
3枚