国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
重要伝統的建造物群保存地区
主情報
名称
:
養父市大屋町大杉
ふりがな
:
やぶしおおやちょうおおすぎ
養父市大屋町大杉
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種別1
:
山村集落
種別2
:
養蚕町・集落
面積
:
5.8 ha
その他参考となるべき事項
:
告示番号
:
選定年月日
:
2017.07.31(平成29.07.31)
追加年月日
:
選定基準1
:
(三)伝統的建造物群及びその周囲の環境が地域的特色を顕著に示しているもの
選定基準2
:
選定基準3
:
所在地
:
兵庫県養父市
養父市大屋町大杉
解説文:
詳細解説
養父市大屋町大杉は、市域を東流する大屋川の中流域左岸に所在し、16世紀半ばには集落が形成されていたとみられ、江戸時代に副業として営まれていた養蚕が、明治末期から昭和初期にかけて主産業となり、専業化が進んだ。近代における養蚕業の発展、専業化とともに、大正期頃には、保温性と通気性を備え、当地での養蚕に適した三階建、大壁造の特徴的な主屋の形式が成立した。伝統的な主屋と共に、土蔵等の附属屋、社寺建築、石垣、水路、水場(アライト)などが一体となって、但馬地域における山村集落の歴史的風致を良く伝える伝統的建造物群保存地区。
関連情報
(情報の有無)
添付ファイル
なし
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養父市大屋町大杉
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養父市大屋町大杉
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解説文
養父市大屋町大杉は、市域を東流する大屋川の中流域左岸に所在し、16世紀半ばには集落が形成されていたとみられ、江戸時代に副業として営まれていた養蚕が、明治末期から昭和初期にかけて主産業となり、専業化が進んだ。近代における養蚕業の発展、専業化とともに、大正期頃には、保温性と通気性を備え、当地での養蚕に適した三階建、大壁造の特徴的な主屋の形式が成立した。伝統的な主屋と共に、土蔵等の附属屋、社寺建築、石垣、水路、水場(アライト)などが一体となって、但馬地域における山村集落の歴史的風致を良く伝える伝統的建造物群保存地区。
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詳細解説
養父市大屋町大杉は、兵庫県の北部、但馬地域屈指の養蚕地帯であった大屋川流域の山村集落である。平地が少なく、冬は雪も多い大屋川流域では、古くから養蚕や家内製糸が副業として営まれた。18世紀後期には生糸の品質が向上して丹後ちりめんの原料糸となり、横浜港開港後は輸出用生糸としても売られた。群馬県内で考案された養蚕技法が、大屋川流域に広まる明治中期には、但馬地域でも器械製糸が発達して養蚕と製糸の分業が進んだため、大杉でも繭の生産量拡大に力を注ぎ、明治後期から昭和前期にかけて養蚕の最盛期を迎えた。 保存地区は、大杉の集落のうち、大屋川左岸に立地する約5.8ヘクタールの範囲である。大屋川に流れ込む谷川が成す狭小な扇状地に家を集め、その周辺には耕作地を設け、谷川沿いには棚田を築く。谷川からは水路を引いて、生活用水を配し、各所に洗い場を設ける。 主屋は二階建又は三階建の切妻造、桟瓦葺で、江戸後期の茅葺民家に、明治後期以降、蚕室とする二階や三階を増築したもの、または、その形式に倣って新築したものが多い。蚕室は蚕棚の規模に合わせて造るため、どの建物も、二階と三階の階高がほぼ同じとなる。屋根には越屋根を設け、壁四面に窓を並べて通気性を高める。窓は、蚕室を清潔に保つため、床面まで窓枠を下げた縦長の形状とする。外壁は二階以上を土で塗り籠める。このような特徴を持つ農家主屋の中でも、特に三階建がまとまって残り、独特の景観を成す。 養父市大屋町大杉伝統的建造物群保存地区は、但馬地域山間部の厳しい自然環境の中で養蚕を発展させるために成立した木造三階建の特色ある農家主屋が、谷川の水を生かした集落の構成を留めながら、社寺建築、石垣、水路等と共に地方色豊かな歴史的風致を良く伝える。