国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
木造諸尊仏龕
ふりがな
:
もくぞうしょそんぶつがん
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員数
:
1基
種別
:
彫刻
国
:
時代
:
北宋
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
3535
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2006.06.09(平成18.06.09)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
京都府
所在地
:
京都府京都市東山区茶屋町527
保管施設の名称
:
京都国立博物館
所有者名
:
報恩寺
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
三扇の中央に釈迦如来とそれを囲繞する多くの菩薩、上の区画に仏伝・本生譚、下の区画に音声菩薩をあらわし、各扇の前面に宝樹を当てる。いずれも白檀材で微小に彫刻し箱形の中に入れ、各区画の境に多種の珠玉を嵌める。このような小型の龕像は中国唐代に盛んに行われ、遺品も少なくないが、本品は三扇が完備し、失われやすい前面宝樹も残っているなど保存状態のよいことが賞される。多くの珠玉の使用などのことを考えると、この種の龕像がいっそう装飾的に展開した時代を反映する。我が国で行われた厨子入小檀像に与えた影響を示す好資料でもある。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
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解説文
三扇の中央に釈迦如来とそれを囲繞する多くの菩薩、上の区画に仏伝・本生譚、下の区画に音声菩薩をあらわし、各扇の前面に宝樹を当てる。いずれも白檀材で微小に彫刻し箱形の中に入れ、各区画の境に多種の珠玉を嵌める。このような小型の龕像は中国唐代に盛んに行われ、遺品も少なくないが、本品は三扇が完備し、失われやすい前面宝樹も残っているなど保存状態のよいことが賞される。多くの珠玉の使用などのことを考えると、この種の龕像がいっそう装飾的に展開した時代を反映する。我が国で行われた厨子入小檀像に与えた影響を示す好資料でもある。
詳細解説▶
詳細解説
長方形の箱形の仏龕で、三扇各中の間の諸尊像、中央扇左右の帯状区画、各扇上下の間の各区画をそれぞれビャクダンの一材から彫出する。携帯用龕像はインド・ガンダーラに起源すると考えられ、中央アジアや中国ではそれを受けてビャクダン製のものも行われた。ストゥーパの形(砲弾形)に基づくのが本来で、ほかに箱形のものがある。本例は箱形の一例で、中央扉の両側に観音開きとなる左右扉が蝶番で取り付けられる。三扉それぞれの箱形に、釈迦と推定される主尊とそれを囲繞する菩薩、比丘【びく】などの聖衆をあらわす中の間、本生譚、仏伝の諸場面および音声菩薩を配した上下の間の各区画を納め、前面に宝樹、化生菩薩、金剛力士、香炉形、獅子などをあらわす透彫板が嵌められる。箱形龕像の古例である普門院像(唐代、重文)は中央扉だけが残ったもので、主尊に二菩薩、二比丘が従い、前面に宝樹、音声菩薩、金剛力士、香炉形、供養者をあらわす透彫板が嵌められる。簡略ながら本例にある基本的な構成がすでにそろっている。少し下る時期とみられる厳島神社像(唐代、重文)は三扉が完備するが、前面の透彫板が失われている。これらに比べると、本例は左右扉が亡失することなくまた前面透彫がほぼ完備し、また小型の龕の中にあらわされた諸尊は一〇〇躰を超える多さで、その姿は多種多様で構成も複雑となっている。 部分的に彩色するのは他の龕像でも認められるが、素地に切金を置く龕像として稀なものであり、衣文線に沿って置かれるものだけでなく、如来の着衣にあらわされた切金文様が微細かつ正確なことにおいて一般の小檀像を入れても追従を許さない。諸尊の背景を透かして他の金色(鍍金、金箔)が覗くようにし、さらに各種の珠玉を入れるなど、きわめて精緻かつ華麗な浄土の相をつくりだしている。唐代の諸例よりも技法的に展開した様相を示し、また諸尊が面長な面相となることをも考えると、北宋時代のものと考えるのが穏当であろう。保存状態のよさもさることながら、精巧なつくりを示す北宋時代檀龕像の傑作といえる。