国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
木造善導大師立像
ふりがな
:
もくぞうぜんどうだいしりゅうぞう
解説表示▶
員数
:
1躯
種別
:
彫刻
国
:
時代
:
鎌倉
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
3545
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2007.06.08(平成19.06.08)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
京都府
所在地
:
保管施設の名称
:
所有者名
:
善導院
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
割矧造、彩色仕上になる。中国浄土教の高僧、善導(六一三~六八一)の肖像で、鎌倉時代以降、浄土宗寺院を中心に盛んに造られた善導像の最古級の遺品。念仏を唱えながら歩む動きの一瞬を捉えた表現は見事で、鎌倉彫刻の写実性がよく表れた作品である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
解説文
割矧造、彩色仕上になる。中国浄土教の高僧、善導(六一三~六八一)の肖像で、鎌倉時代以降、浄土宗寺院を中心に盛んに造られた善導像の最古級の遺品。念仏を唱えながら歩む動きの一瞬を捉えた表現は見事で、鎌倉彫刻の写実性がよく表れた作品である。
詳細解説▶
詳細解説
中国・唐時代の僧善導(六一三~六八一)の肖像彫刻で、百万遍知恩寺の塔頭善導院の本尊として祀られる。善導は、曇鸞【どんらん】、道綽【どうしゃく】系の浄土教を大成し、わが国では浄土五祖の第三祖とされ、南無阿弥陀仏を唱える口称念仏は法然、親鸞に絶大な影響を及ぼした。 円頂、左上方に顔を向けてやや口を開き念仏を唱え、法衣の上に袈裟をかけ胸前で合掌し、裙を著し沓をはいて左足を踏み出して前傾して立つ。現状口腔右端が像内に貫通しているが、小さな仏形を連ねたものを差し込んだ工夫の痕跡かどうか明らかにしがたい。 当寺所蔵の「善導寺本尊縁起」(大永二年〈一五二二〉)によれば、本像は善導自刻と伝え、後白河法皇が宮中に安置し、その後後柏原院の御宇(一五〇〇~二六)に岡乃院に移し、さらに南御霊の厨子兼康町に精舎を建立して善導寺と称したという。伝説的な内容が多いものの、当寺の草創時期に関してはある程度信じてよかろう。 善導大師の彫像は既指定品の場合、坐像が多いが、一方、知恩寺蔵の画像(重要文化財)など絵画では立像が多く、知恩寺像に影響を受けた立像形式では本像は、知恩院像とならぶ古例である。痩身で頬骨が張り、眼をわずかに細めた面貌表現には生彩があり、衣の褶襞も繊細かつ変化に富んだ表現をなす。やや前傾する姿勢も巧みで動態の一瞬をとらえた動きのある姿態は六波羅蜜寺空也【くうや】像(重要文化財)に通ずる優れた造形表現で、鎌倉時代前期の写実性をよくあらわしている。 頭部から裙下端までの頭躰幹部を檜と思われる針葉樹の一材より彫出し前後に割り矧ぐ構造になる。胸部肉身を含む頭部を襟際で割り離し、ほかにも割矧の技法が多用されるかとみられる。面部を別材とし、背面材を膝高で水平に鋸挽してそれ以下を離し、右方が厚く左方が薄い襠【まち】材を挟み右足の引き幅を増す仕口や、足首以下も別に造り別材製の足枘をこれに貫通させて裙裏面に固定するなどの点が注目される。 表面彩色は現在かなり黒ずんでわかりづらいが、衣の文様はすべて金泥によって描かれている。これは知恩寺など画像においても衣に金彩が多用されているのに類似し、阿弥陀の化身すなわち阿弥陀と衆生の間をとりもつ善導の半人半仏の性格をあらわすものといえる。現状は黒ずんでいるが後補部は少なく、保存状態良好な鎌倉時代肖像彫刻中の美作と評価できよう。