国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
木造阿弥陀如来立像
ふりがな
:
もくぞうあみだにょらいりゅうぞう
解説表示▶
員数
:
1躯
種別
:
彫刻
国
:
時代
:
鎌倉
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
3551
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2008.07.10(平成20.07.10)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
三重県
所在地
:
保管施設の名称
:
所有者名
:
専修寺
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
真宗高田派の本山専修寺如来堂の本尊。衣全体に繊細な切金文様が施された美作で、快慶の作風を濃厚に伝える。足裏に仏足文を表し、手足の指の爪や蓮華座の蕊に金属を用い、本体を銅柱で台座に固定するなど特色ある造法を示す。類似する阿弥陀像は13世紀から14世紀にかけてしばしば造立されたが、本像はその典型作として位置付けられる。光背、台座には一部後補が認められるが、保存状態は極めて良好である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
解説文
真宗高田派の本山専修寺如来堂の本尊。衣全体に繊細な切金文様が施された美作で、快慶の作風を濃厚に伝える。足裏に仏足文を表し、手足の指の爪や蓮華座の蕊に金属を用い、本体を銅柱で台座に固定するなど特色ある造法を示す。類似する阿弥陀像は13世紀から14世紀にかけてしばしば造立されたが、本像はその典型作として位置付けられる。光背、台座には一部後補が認められるが、保存状態は極めて良好である。
詳細解説▶
詳細解説
髪際【はつさい】高で周三尺を測る阿弥陀如来立像で、左右手とも第一・三指を捻じ、体を前傾させて左足を踏み出し、臨終の者の許に来迎する姿を表す。 針葉樹(檜か)を用い、頭体幹部を通して耳後で矧ぐ前後二材(もしくは一材を前後に割り矧ぐか)より彫出する。両足首以下は別につくり、裙底面に踵裏より銅釘を打ち固定する。台座上に立てた木製棒(銅板を巻く)を像底の両足首の各外側後ろ寄りに開けた孔に挿し込んで像を台座に固定する。手足の全指の爪は銅製鍍銀(か)のものを貼装する。表目は錆下地(布貼あり)黒漆塗金泥彩とし、衣部には斜格子文、立涌文、卍繁文、雷文、蓮唐草文、蓮華丸文などの切金文様を置く。足裏には朱線で仏足文を描く。光背は光条付きの頭光で中心蓮華は木製、光条は竹製、内外光輪と周縁部は銅製鍍金になり、周辺部は雲文を透彫し、各区中央に種子円相(内部に梵字キリークの形に金箔を貼った紙を切り抜いたものを入れ、雲母〈か〉板を嵌める)を付ける。現状は柄で台座に立てるが元来は後頭部に付けていたとみられる。台座は流雲に載る踏割【ふみわり】蓮華座で、蓮肉は上面に青緑色のガラス製蓮実二五箇を嵌め、側面には銅版を櫛状に切ったものを並べて蘂を表す。台座の敷茄子および框が後補になる以外、ほぼ製作当初の姿をとどめる。 その作風および著衣形式には仏師快慶の晩年、法眼時代の三尺阿弥陀像の特色が顕著に表れており、殊に和歌山・光台院像(重要文化財)に近い。同像に比べ衣文の条数が増え、衣縁のうねりが強く、袖と裾を引いて動勢が協調されるなどの点により進んだ要素を認めることができるが、これを快慶の最晩年における展開ととらえることも不可能ではなかろう。快慶自身の作と断定はできないものの、安阿弥様【あんなみよう】阿弥陀立像の表現の一つの到達点を示す作例と評価できる。神経の行き届いた彫技に加え、繊細な切金文様や巧緻な金工技術を示す光背など、作技は入念を極めており、台座の蓮実にガラス玉を嵌め、蘂を銅製とする工作が光台院像にもみられることは、本像が光台院像における道助法親王の如き高位の人物を願主とすることを示していよう。 本像で、最も注目されるのは足枘を造らず、足裏に仏足文を表すことと、手足の指に金属製の爪を貼装することである。仏足文を表す三尺阿弥陀像は一三世紀から一四世紀にかけておよそ二〇例が知られ、仏足文は確認されないものの本像と同じく裙の底面に挿した棒で像を立てる構造をもつ像を合わせれば三十数例に及ぶ。それらの多くは、ほかにも唇を開き異材製の歯をみせるなど特殊な造法や表現がみられ、中には本像の如く銅製鍍銀の爪を有するもの(山形・本山慈恩寺像)も存在する。これらの一群は生身【しょうじん】信仰に基づく来迎阿弥陀彫像の特殊な展開を示すものととらえられるが、本像はその起点に位置する作例としてきわめて重要である。また左右足がそれぞれ別の蓮華を踏むいわゆる踏割蓮華座の、三尺阿弥陀像における最も早い例かとみられることも見逃し得ない。