国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
木造性空坐像(開山堂安置)
ふりがな
:
もくぞうしょうくうざぞう(かいさんどうあんち)
解説表示▶
員数
:
1躯
種別
:
彫刻
国
:
時代
:
鎌倉
年代
:
正応元年
西暦
:
1288
作者
:
慶快法眼
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
3566
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2009.07.10(平成21.07.10)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
兵庫県
所在地
:
保管施設の名称
:
所有者名
:
円教寺
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
正応元年(1288)に再興された当寺開創の性空(?~1007)の肖像。記録によれば性空没後間もなく造立された像は弘安9年(1286)に焼失、焼跡から性空の遺骨を納めた瑠璃壺が発見され、本像に再納入されたとされ、最近のX線調査で実証された。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
解説文
正応元年(1288)に再興された当寺開創の性空(?~1007)の肖像。記録によれば性空没後間もなく造立された像は弘安9年(1286)に焼失、焼跡から性空の遺骨を納めた瑠璃壺が発見され、本像に再納入されたとされ、最近のX線調査で実証された。
詳細解説▶
詳細解説
円教寺【えんきょうじ】開山堂に安置される等身の僧侶の肖像で、当寺開山性空の肖像と伝える。円頂、後頭部が尖り、老貌、閉口で鼻と上唇の間を長く表し、上唇を前方に突き出す。下衣二枚(右衽)に緒で袈裟を懸け、裙を著ける。下衣二枚目の襟を強く立ち上げ、正面を向き、両手屈臂して腹前で合わせるか(両手は衣に隠れる)。 大きな頭部に伏し目の眼差しや突き出た唇の面貌、両手先を腹前で衣の中に入れる独特の形姿は画像にみられる性空像をよく襲っている。 榧と思われる針葉樹材の割矧造で、頭体幹部を通して一材から彫成し、後頭部を前後に割り矧ぎ、内刳のうえ割首【わりくび】する。現状表面は厚い錆漆地に茶褐色に塗られているが、作風は誇張的な表現があるものの総じて堅実で、衣文の表現も自然であり、ほぼ当初の彫刻が保たれているものとみなされ、製作は鎌倉時代に遡ろう。 本像造立の経緯については『遺続【いぞく】集』所収の「御廟堂護法所等炎上并造立事」に詳細に記されており、弘安九年(一二八六)八月二十日に御廟堂が火災に遭い、安鎮作の性空上人の木像が灰燼に帰したと記す。この木像は『播州書寫山縁起』に記す性空入寂後に延照が安鎮に依頼して造った性空の肖像とみなされ、廟堂も同時に建立された。焼け残った中から性空の遺骨の入った瑠璃壺が発見され、正応元年(一二八八)に教忍聖人が慶快【けいかい】法眼を請じて絵像をもとにして木造を製作、頭部内に納入したという。 昨年開催された奈良国立博物館の特別展に本像が出陳され、頭部のX線撮影が行われ、ガラス製とみられる舎利容器が木製(桐材)の箱に入れられ、舎利容器の中には骨と思われるものが納入されていることが判明した。『遺続集』の記述内容が正確であることが確かめられたのである。 したがって本像は、正応元年に製作された鎌倉時代肖像彫刻の基準作といえ、しかもほかに作例は知られないものの慶快を作者とみなし得る。造像の経緯が明瞭にわかる肖像彫刻は少なく、しかも当寺開創である性空の遺骨を納入するという特異な像として大変貴重である。