国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
絹本著色孔雀明王像
ふりがな
:
けんぽんちゃくしょくくじゃくみょうおうぞう
絹本著色孔雀明王像
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員数
:
1幅
種別
:
絵画
国
:
日本
時代
:
平安
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
2020
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2006.06.09(平成18.06.09)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
京都府
所在地
:
京都府京都市上京区下長者町通新町西入藪之内町85番4
保管施設の名称
:
国(文化庁)
所有者名
:
国(文化庁)
管理団体・管理責任者名
:
絹本著色孔雀明王像
解説文:
詳細解説
孔雀明王像は、あらゆる災いを除くために修される孔雀経法の本尊である。本像は、大円相内に坐す孔雀明王の上方に阿字をあらわす。醍醐寺観賢ゆかりの白描図像(醍醐寺所有)と像容がほぼ一致する。平安時代に遡り得る作例としてきわめて貴重である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
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絹本著色孔雀明王像
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絹本著色孔雀明王像
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解説文
孔雀明王像は、あらゆる災いを除くために修される孔雀経法の本尊である。本像は、大円相内に坐す孔雀明王の上方に阿字をあらわす。醍醐寺観賢ゆかりの白描図像(醍醐寺所有)と像容がほぼ一致する。平安時代に遡り得る作例としてきわめて貴重である。
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詳細解説
孔雀明王は毒蛇を食べる孔雀を神格化したものであり、不空【ふくう】訳『仏母【ぶつも】大孔雀明王経』によれば、一切の諸毒、災悩を滅して、安楽を得させるという。わが国においては、奈良時代から信仰され、平安時代に入り、空海は同経および不空訳『仏説【ぶっせつ】大孔雀明王画像壇場儀軌【だんじょうぎき】』を請来している。後者には一面四臂【しひ】の図像が説かれる。弘仁十二年(八二一)に空海が供養した仏母明王の画像はこの儀軌に依拠したものとみられ、後世の大師本の基【もとい】となったと推察される。 同儀軌に基づく一面四臂像は、東京国立博物館本(昭和二十六年六月九日指定国宝)以下、重要文化財の安楽寿院本(明治三十年十二月二十八日指定)や智積院本(明治四十年五月二十七日指定)等が図像をほぼ同じくし、大師本に基づくとみられるのに対し、本像は一面四臂像ながら法隆寺本(明治三十五年四月十七日指定)とともに特異な像容を示す。本像と図像上の特徴が合致する白描図像が醍醐寺に伝存する。醍醐寺本図像(明治三十五年四月十七日指定)には「般若寺観賢僧正本【はんにゃじかんげんそうじょうぼん】」との外題墨書があり、醍醐寺初代座主・観賢(八五二~九二五)本という伝承を有する。成賢【せいげん】(一一六二~一二三一)の口訣【ぐけつ】をまとめた『遍口鈔【へんくしょう】』は観賢本尊像には孔雀尾の後ろに日輪が描かれていたとしており、醍醐寺本図像や本像のように大円相を配したものであったと推測され、伝承を裏づける。なお『別尊【べっそん】雑記』巻十五の同様の図像には明王の頭上に雲上の月輪【がちりん】が描かれており、本像ではさらに月輪中に阿字(「〓」)とみられる種子【しゅじ】が記されている。これについては、『別尊雑記』等において孔雀明王曼荼羅の八葉上の七仏を阿字であらわしていることに関わると解釈されているが、いずれにせよこのような遺例は本像が唯一のものであり特筆される。 明王の形態は、奈良国立博物館の「絹本著色大仏頂【だいぶっちょう】曼荼羅図」(昭和五十三年六月十五日指定重文)や「絹本著色一字金輪【いちじきんりん】曼荼羅図」(昭和五十三年六月十五日指定重文)の諸尊に近く、特に後者では主尊に截金を施さない点、技法上でも本像と共通する。これらの面貌も本像のそれを思わせるが、より細い眉目は、平安時代末の「絹本著色普賢十羅刹女【ふげんじゅうらせつにょ】像」(昭和三十五年六月九日指定重文、京都・廬山寺)の面貌に近い。これらから制作時期は平安時代後期、一二世紀後半と推定される。本像は平安時代に遡る孔雀明王像の遺品として貴重であり、広く流布した大師本と異なる図像は醍醐寺ゆかりのものとみられ、その存在意義はきわめて高い。