国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
紙本墨画淡彩山水図〈藝愛筆〉
ふりがな
:
しほんぼくがたんさいさんすいず
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員数
:
1巻
種別
:
絵画
国
:
日本
時代
:
室町
年代
:
西暦
:
作者
:
藝愛
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
2032
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2009.07.10(平成21.07.10)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
京都府
所在地
:
京都府京都市上京区下長者町通新町西入藪之内町85番4
保管施設の名称
:
国(文化庁)
所有者名
:
国(文化庁)
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
縦が40センチ近い大型の巻物に山水景観を描く。筆勢ある墨線や多様な淡彩によって山水を表現している。各所に捺される印から作者が藝愛であることが判明する。藝愛の生没年は不明であるが、おおよその活躍期は16世紀前半頃と考えられる。近年、藝愛は大画面の構成力にも優れ、卓越した技量をもつ画家であることがわかってきた。本図はその山水図の代表作である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
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解説文
縦が40センチ近い大型の巻物に山水景観を描く。筆勢ある墨線や多様な淡彩によって山水を表現している。各所に捺される印から作者が藝愛であることが判明する。藝愛の生没年は不明であるが、おおよその活躍期は16世紀前半頃と考えられる。近年、藝愛は大画面の構成力にも優れ、卓越した技量をもつ画家であることがわかってきた。本図はその山水図の代表作である。
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詳細解説
本図は、縦が四〇センチメートル近い大型の巻子装であり、藝愛(活躍時期は一六世紀前半ころ)の印を有する室町時代の山水図巻の優品として著名な作例である。図様展開は、はじめに峨々たる岩山の連続する山中の景観、次に山中の寺院を介して広い水景に浮かぶ舟の眺め、最後に水辺の漁村と水田の風景という三部構成であり、巻頭、巻末と、各部の境界の二か所、計四か所に「頓首」朱文方印(天地逆)と「藝愛」朱文方印が上下に並んで捺されている。料紙は粗い紙質で、縦が三九・三センチメートルに対して、紙継ぎ幅が約二六・五センチメートルと短い。また、ほぼ一八センチメートルごとに規則的に折れと手摺れの跡があることから、巻子装となる前は法帖形式であったことがうかがえる。第二一紙の印影には、谷折れを介して反対側に印の朱が付着しており、捺印して間もなく頁を閉じたために朱が付着したものと思われる。両印が画家によって作品完成時に捺されたのであれば、法帖仕立ては当初の形式であったことになり、従来類例が知られない形式の山水図であったことになる。 実際に、本図巻を法帖の見開きごとの長さに分割して見てゆくと、見開き一丁に主たる景物が配され、景観としてのまとまりをもっていることがわかる。二丁分を広げてみてもより広い景観のまとまりが現れる。長い山水図巻のどこを開いてみても、まとまりのある景観が長短自在に繰り出される見方は、法帖形式ならではであろう。本図が具体的にどのような用途に供されたのかは、類例が見出されていないため、断定し難い。ただし、紙質が粗く上質でないので、注文製作のために用意された料紙ではない可能性が考えられる。通例画家の捺印は巻末のみであるが、巻頭にも捺印があり、都合四か所にもわたっていること、さらに、第一紙と末尾の第四〇紙に切り取られた部分があることからも、本図は画家が手元におくものとして製作され、たとえば構想段階で将軍家や五山僧など高貴な施主に示して、製作可能な図様を提案するために用いる等が想像できよう。ところで、正宗龍統(一四二九~九八)による「屏風画記」は、芸阿弥(一四三一~五八)が正宗のために「夏珪の国本」を模して製作した山水図屏風を、絵が滅んだ後も文字に遺すべく著した文章である。この文によって、本図が「国本」と呼ばれた夏珪画に近い図様を含んでいるらしいことが報告されている。さらに、本図の題箋は狩野永納(一六三一~九七)によるもので、「山水画軸 小栗宗栗筆 倣宋夏珪筆意」とある。藝愛を小栗宗栗と記載する「本朝画史」を撰述した永納は、本図巻を「藝愛」印を用いた小栗宗栗が夏珪を学んで描いたものと理解していたことがわかる。小栗派は確かな作品がないだけに、優れた表現をもつ本図と四季花鳥図は、今後の小栗派研究の進展にも欠くことのできない重要な資料である。