国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
木造善導大師立像
ふりがな
:
もくぞうぜんどうだいしりゅうぞう
解説表示▶
員数
:
1躯
種別
:
彫刻
国
:
時代
:
鎌倉
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
3575
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2011.06.27(平成23.06.27)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
新潟県
所在地
:
保管施設の名称
:
所有者名
:
善導寺
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
中国浄土教の高僧、善導(613~81)の肖像彫刻。口を開いて念仏する様子を表す。深く自由な流れを示す衣文や厚みのある体軀など、力強く写実的な作風から鎌倉中期に運慶派の仏師により造られたとみられる。檜材の寄木造、彩色仕上。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
解説文
中国浄土教の高僧、善導(613~81)の肖像彫刻。口を開いて念仏する様子を表す。深く自由な流れを示す衣文や厚みのある体軀など、力強く写実的な作風から鎌倉中期に運慶派の仏師により造られたとみられる。檜材の寄木造、彩色仕上。
詳細解説▶
詳細解説
唐の浄土教の大成者であり、その思想と口称念仏をはじめとする実践が日本の浄土宗と浄土真宗に大きな影響を与えた善導(六一三~八一)の肖像彫刻である。 その像容は顔をやや左斜上方に向けて合掌して立ち、開口して念仏を唱える形姿に表される。口腔内に小孔が設けられることから、京都・六波羅蜜寺空也上人像(重要文化財)と同様に針金を差して化仏を表して、善導が念仏を唱えた際に仏が口の中から出たとの故事を表現したものと考えられる。善導大師の彫像の遺例中、本像と同じく立像形式とするものに、京都・知恩院像、京都・善導院像(以上重要文化財)等が知られる。これらはいずれも京都・知恩寺の画像(重要文化財)またはその原本とされたであろう南宋時代、紹興三十一年(一一六一)の画像を範として製作されたものと考えられているが、本像も二重瞼とし、左上方にわずかに上半身を捻っていること等で画像に忠実である。 檜とみられる針葉樹の寄木造で、頭躰通して前後左右四材矧【はぎ】、内刳【うちぐり】の上、襟際で割首する。玉眼嵌入。躰部は背面襟下の高さから裙裾まで背板状に後半材を割矧ぐ。両肩外側部各前後二材製か。躰幹前半材及両外側部前半材より両袖部を造出し幹部との境で割矧ぐかとみられる。両足部は像底足首周りに鑿を入れて割足とする。両手首先、右耳、背面右裙裾左右二材、左沓先ほかを矧ぐ。表面は錆下地黒漆塗白下地彩色で、彩色文様は法衣二枚目に花丸文散らし文、裙内区に盛上花丸文散らし文、外区に盛上唐草文、袈裟表条葉に盛上唐草文が認められる。 作風は両肩の張り、胸の厚みを十分にもたせ、深浅を大きく表した左右袖の衣文等に、奈良・興福寺無著世親【むちゃくせしん】菩薩像(国宝)から連なる特色が認められ、上半身を左に捻ることに伴い左裙裾を持ち上げる表現も巧みである。顔貌表現も精彩を放ち、頬骨と頬の起伏を的確に表し口を開いて念仏するさまをとらえた表現は六波羅蜜寺空也上人像を思わせることから、作者として運慶系統の仏師を想定することも可能で、製作年代は一三世紀前半から中ごろにかけてとみられる。 保存状態も一部に火を浴びたことによるかとみられる炭化の痕と彫直しはあるものの、おおむね良好である。現状黒色を呈している表面彩色は袈裟条葉等にみられる盛上文様の趣致から南北朝時代ころのものとみられるが、下層に当初とみられる堅地彩色があり、袈裟田相の梅鉢文が確認できる。 顔貌表現に鎌倉時代前期の写実性を示しながら、卑俗にならずに祖師像としての精神性を表現することに成功している点は特筆に値し、鎌倉時代肖像彫刻中でも優品として評価される。