国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
紙本金地著色源氏物語図〈土佐光吉筆/(光源氏手鑑)〉
ふりがな
:
しほんきんじちゃくしょくげんじものがたりず〈とさみつよし/(ひかるげんじてかがみ)〉
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員数
:
80面
種別
:
絵画
国
:
日本
時代
:
桃山
年代
:
慶長17
西暦
:
1612
作者
:
土佐光吉
寸法・重量
:
各縦20.0cm 横26.0cm
品質・形状
:
紙本金地著色
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
2058
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2013.06.19(平成25.06.19)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
大阪府
所在地
:
大阪府和泉市内田町3−6−12
保管施設の名称
:
和泉市久保惣記念美術館
所有者名
:
和泉市
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
「土佐久翌」墨印を伴う源氏絵で、近世初期に堺で活躍した土佐派の絵師・光吉の作品。絵と詞が一対の全80面からなる。詞書は中院通村、烏丸光広等18人の公家による寄合書き。『言緒卿記』の記載等から慶長17年(1612)に石川忠総の要請により製作されたことがわかる基準作である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
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解説文
「土佐久翌」墨印を伴う源氏絵で、近世初期に堺で活躍した土佐派の絵師・光吉の作品。絵と詞が一対の全80面からなる。詞書は中院通村、烏丸光広等18人の公家による寄合書き。『言緒卿記』の記載等から慶長17年(1612)に石川忠総の要請により製作されたことがわかる基準作である。
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詳細解説
全八〇枚の各台紙上半に詞書、下半に絵の色紙を貼り、台紙上部に各段名称と詞書筆者名を、下部に通し番号を記す書付を貼付する。『源氏物語』全五四帖の各段から一場面ないしは数場面を選んで構成される。第一、二一、四一、六一面の台紙には「土佐久翌」の墨印が捺された紙片を貼付し、絵師が土佐光吉(一五三九~一六一三)であることが確かめられる。 絵の料紙は全段にわたり横長のほぼ同一の大きさだが、詞書料紙は個々まちまちである点に特徴がある。絵は各場面とも金雲を配し、場面舞台を設定する建物や自然景を描き、その中に登場人物を配置する。公達や女君など高貴な男女を描く手法と、随身や僧侶など非貴人層の男性を描く場合とで表現に区別がなされ、貴人層は引目鉤鼻が基本であり抑制された表情を示すが、非貴人層の男性には打ち込みのある描線を用い目鼻に抑揚が認められる。また樹木や草花の景物が画面に充満し、それらが物語の構成要素となり、また季節感を表現する。それらは室内の襖や屏風などの画中画として表されることも多い。 詞書は一八人の公家、すなわち三条西実条、飛鳥井雅庸、四辻季継、中院通村、烏丸光広、冷泉為満、高倉永慶、船橋秀賢、庭田重定、阿野実顕、持明院基久、冷泉為頼、西洞院時直、山科言緒、今出川経季、四条隆昌、日野資勝、徳大寺実久による。料紙はさまざまな大きさのものが用いられ地色も多様である。それらに金銀の切箔や野毛を散らして雲や土坡や汀を形づくり、葦、撫子、薄、柳、桜などの景物や楼閣や富士山などを絵画的に表し、また直線や複雑な曲線で画面を区切る工芸的な手法も併用し、近世初期における高度な料紙装飾の技法と美意識をうかがうことができる。 本作品の制作事情に関しては、山科言緒の日記『言緒卿記』慶長十七年(一六一二)七月三十日条より、石川忠総の要請で中院通村が調整役となって各公家に詞書執筆を依頼して完成したことが判明し、翌年五月に没する土佐光吉の最晩年の大作である。現存する光吉様式の細密画として最も繊細で、近世初期源氏絵としても最大の規模をもち、完結して伝存する点で貴重である。作画手法や場面選択、構図等の点では、これ以降近世を通じて展開する数多くの源氏絵群にとって先駆的、規範的作例といえる。 なお修理前の旧表紙一組が残され、金銀で装飾された題箋に「光源氏手鑑」「光源氏手加々美」と記される。