国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
木造地蔵菩薩坐像院誉作
ふりがな
:
もくぞうじぞうぼさつざぞういんよさく
木造地蔵菩薩坐像院誉作1
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員数
:
1躯
種別
:
彫刻
国
:
時代
:
鎌倉
年代
:
元亨4年
西暦
:
1324
作者
:
院誉
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
像内に元亨四年二月、慈仙、仏子院誉等の銘がある
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
3596
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2013.06.19(平成25.06.19)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
福島県
所在地
:
保管施設の名称
:
所有者名
:
長福寺
管理団体・管理責任者名
:
木造地蔵菩薩坐像院誉作1
解説文:
詳細解説
鎌倉極楽寺の末寺として創建された長福寺の本尊。東日本大震災で破損、修理中に銘記と納入品が確認され、元亨4年(1324)に比丘尼慈仙を願主として仏師院誉により造立されたことが判明した。着衣の裾が蓮華座に掛かる形式や土紋などに関東の鎌倉彫刻の特色を示す。納入品は地蔵菩薩印仏、法華経、真言陀羅尼類、結縁交名、結縁者の爪などからなる。経の奥書や紙背文書から鎌倉諸宗派とのつながりを介した在地領主による造像の様相がうかがえる資料として注目される。
関連情報
(情報の有無)
附指定
一つ書
添付ファイル
なし
写真一覧
木造地蔵菩薩坐像院誉作1
木造地蔵菩薩坐像院誉作2
写真一覧
木造地蔵菩薩坐像院誉作1
写真一覧
木造地蔵菩薩坐像院誉作2
解説文
鎌倉極楽寺の末寺として創建された長福寺の本尊。東日本大震災で破損、修理中に銘記と納入品が確認され、元亨4年(1324)に比丘尼慈仙を願主として仏師院誉により造立されたことが判明した。着衣の裾が蓮華座に掛かる形式や土紋などに関東の鎌倉彫刻の特色を示す。納入品は地蔵菩薩印仏、法華経、真言陀羅尼類、結縁交名、結縁者の爪などからなる。経の奥書や紙背文書から鎌倉諸宗派とのつながりを介した在地領主による造像の様相がうかがえる資料として注目される。
詳細解説▶
詳細解説
本像は平成二十三年三月十一日の東日本大震災で台座より転落し損傷したため実施された保存修理で像内墨書銘および納入品が発見され、元亨四年(一三二四)に比丘尼慈仙を願主とし、仏子(師)院誉により造立されたことが明らかになった。長福寺は縁起によれば常陸佐竹氏の嫡流、義胤【よしたね】の子で母方である岩崎氏の領地の小河郷に居を構えた小河(小川)入道義綱により極楽寺の僧慈雲【じうん】を開山として元亨二年に創建されたという。 頭部が大きめで撫で肩の躰型や、頬が長く鼻梁の太い面貌は宋仏画を立体化したごとき趣を示している。松葉状の単位を組み合わせ、凹部を深く抉る衣文【えもん】の刀法には運慶風がうかがえる。このような運慶様式と宋風が結びついた作風は一三世紀半ばころより鎌倉地方で流行した。衣の裾が蓮華座を覆う形式も宋画より取り入れたと目されるもので、東国の造像で盛んに用いられている。 榧【かや】材製で頭躰を通して前後矧【はぎ】とする。像内に棚板を彫残すいわゆる上底式の構造は運慶に始まるもので、鎌倉後期以降はとりわけ東国においてよく用いられている。肉身部は金泥(後補)、衣部は彩色仕上げで、衣に型抜きした土製の文様単位を貼り付ける、いわゆる土紋を用いるのも鎌倉地方独特の技法である。 像内納入品は慈仙ほかの書写になる法華経などの経典や偈頌【げじゅ】、真言陀羅尼、地蔵菩薩像印仏、僧俗の結縁公名、結縁者の毛髪と切爪を包んだ紙片などからなる。慈仙の書写になる金剛般若経の奥書に「心さしは仏とうこくし(仏燈国師)の御ため」とあり、同人と約翁徳倹【やくおうとっけん】(一二四四~一三二〇)とのかかわりがうかがえる。ほとんどが半切した書状の紙背を用いて作成されており、書状は約五〇通分が復元される。その大半が「ゑかい」という老尼が「伊予殿」に宛てたもので、その居処と鎌倉の間を頻繁に行き来する様子や所領についての訴訟を抱えていたこと等が読み取れる。書状中の人名のうち数名分は結縁交名にもみえる。その一人、元珎【げんちん】の書状に言及される「山内二長勝寺と申候小てら」は「ゑかい」書状にもみえ、約翁徳倹が開創にあたり住持となった鎌倉長勝寺(廃絶)にあてられる。宛所に小河殿と伊予殿を並べ記するものがあること、「伊予殿御局」という表記がみえることから伊予殿は小河義綱婦人かと想像され、慈仙と同一人物である可能性もあるが、これらの書状についてはなお今後の研究に俟つところが多い。 院誉は従来二件の遺品が知られ、名前から院派の流れを汲む仏師かとみられるが、その作風ならびに造法にはあくまで鎌倉地方彫刻としての特色が顕著である。正安元年(一二九九)に神奈川金剛寺地蔵菩薩像を造った院慶に始まり院恵(院誉の父)、院祥、院向、院応など鎌倉末ないし南北朝時代に関東で活動した仏師たちは国名を冠した名のりや、坐像での像底を彫り残す構造など、京都の院派仏師と異なる特徴を共有しており、東国における一系譜を形成していたとみるべきであろう。この一派は禅宗とかかわりが深く、本像の造立に携わったのも約翁徳倹や長勝寺との縁による可能性を考慮する必要がある。 東国院派を代表する作例として注目され、また在地領主による造像が鎌倉の諸宗派との繋がりを介して行われる様子をうかがわせる点でも貴重である。
関連情報
附指定
附 像内納入品
関連情報
一つ書
一、地蔵菩薩印仏
一、金剛般若経(二部)
一、法華経
一、法華経提婆達多品
一、薬師経・宝楼閣経・般若心経
一、宝楼閣経
一、略法華経
一、金剛般若経偈
一、法華経偈・雑阿含経偈
一、光明真言
一、錫杖(三部)
一、願文・結縁交名等
一、毛髪・切爪包
関連情報
附指定
附名称
:
附 像内納入品
附員数
:
附ト書
:
関連情報
一つ書
一つ書主名称
:
一、地蔵菩薩印仏
一つ書員数
:
11通
ト書
:
関連情報
一つ書
一つ書主名称
:
一、金剛般若経(二部)
一つ書員数
:
2巻
ト書
:
各の奥に元亨四年二月の記がある
関連情報
一つ書
一つ書主名称
:
一、法華経
一つ書員数
:
8巻
ト書
:
奥に元亨四年正月、同二月、慈仙、小河寺等の記がある
関連情報
一つ書
一つ書主名称
:
一、法華経提婆達多品
一つ書員数
:
1巻
ト書
:
関連情報
一つ書
一つ書主名称
:
一、薬師経・宝楼閣経・般若心経
一つ書員数
:
1巻
ト書
:
元亨四年正月の記がある
関連情報
一つ書
一つ書主名称
:
一、宝楼閣経
一つ書員数
:
1巻
ト書
:
関連情報
一つ書
一つ書主名称
:
一、略法華経
一つ書員数
:
1巻
ト書
:
関連情報
一つ書
一つ書主名称
:
一、金剛般若経偈
一つ書員数
:
3通
ト書
:
内一通に元亨四年七月等の記がある
関連情報
一つ書
一つ書主名称
:
一、法華経偈・雑阿含経偈
一つ書員数
:
1通
ト書
:
関連情報
一つ書
一つ書主名称
:
一、光明真言
一つ書員数
:
1巻、1通
ト書
:
内一通に元亨四年六月、慈仙の記がある
関連情報
一つ書
一つ書主名称
:
一、錫杖(三部)
一つ書員数
:
3巻
ト書
:
関連情報
一つ書
一つ書主名称
:
一、願文・結縁交名等
一つ書員数
:
18点
ト書
:
元亨四年六月、同七月等の記がある
関連情報
一つ書
一つ書主名称
:
一、毛髪・切爪包
一つ書員数
:
15褁
ト書
: