国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
木造観音菩薩立像
ふりがな
:
もくぞうかんのんぼさつりゅうぞう
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員数
:
1躯
種別
:
彫刻
国
:
時代
:
平安
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
3597
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2013.06.19(平成25.06.19)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
福井県
所在地
:
福井県小浜市遠敷2-104
保管施設の名称
:
福井県立若狭歴史民俗資料館
所有者名
:
青蓮寺
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
化仏を配した花形冠を戴く観音像。針葉樹の一木造、漆箔。胸腹の充実した肉取りや切れ味の良い翻波式衣文に平安初期風をとどめながら、彫り口が整理され、穏やかさが漂う点に次代様式の萌芽がうかがえ、9世紀末から10世紀初めの製作とみられる。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
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解説文
化仏を配した花形冠を戴く観音像。針葉樹の一木造、漆箔。胸腹の充実した肉取りや切れ味の良い翻波式衣文に平安初期風をとどめながら、彫り口が整理され、穏やかさが漂う点に次代様式の萌芽がうかがえ、9世紀末から10世紀初めの製作とみられる。
詳細解説▶
詳細解説
化仏を付けた花形の大きな宝冠を戴く観音像で、針葉樹材を用いて像容の大半を彫出【ちょうしゅつ】し、内刳は施さない。髪際で四五・六センチメートルを測る大きさは醍醐寺聖観音像(重要文化財、九世紀前半)に代表される、榧などを代用材として造られた檀像【だんぞう】に類するが、漆箔仕上りになり、条帛【じょうはく】末端を別材貼付とし、右上膊から肘溝にかけての正面など一部の形状修整に乾漆を使用すること、足枘で立たせることなど、造法や構造は檀像と異なる。 頭部が大きめでやや肥満した姿に表され、吊り上がった眉、切れ長で見開きの大きい目、やや突出した上唇をもつ面貌や、胸から腹にかけて充実した肉付が施される躰軀には平安前期彫像の特色がうかがえる。背中の中央を縦にくぼませるのは九世紀の檀像系作例にままみられる特徴である。著衣には各条を等間隔に揃え、鎬【しのぎ】を立てた翻波式【ほんばしき】衣文が刻まれる。衣が躰に密着した様子を表しながら衣縁をやや立ち上がらせるあたりも古様な表現といえる。ただし衣縁の描く線にいくぶん粘りを欠いた趣が感じられるなど、全体に彫り口はやや淡泊である。目鼻立ちの特徴は寛平八年(八九六)の清涼寺阿弥陀如来及両脇侍坐像(国宝)に通じ、丈高で幅の狭い螺髻【らけい】も同像に類する。正面右上膊に掛かる天衣の縁にあしらわれる大きな旋転文は、意匠化されながらさほど不自然さを感じさせない点において醍醐寺薬師如来左脇侍像(国宝、延喜十三年〈九一三〉完成)よりも法華寺十一面観音像(国宝、九世紀前半)に近い。こうした点より製作年代は醍醐寺像よりは降らず、九世紀末から一〇世紀初めころにおいて大過ないであろう。下半身が動きに乏しいのもそのころの特色を示している。彫り口の切れ味のよい美しさをみせる造形は承平四年(九三四)ころの作とみられる法性寺千手観音像(国宝)に繋がっていくととらえられる。この時期の彫像の中で、できばえにおいてこれを代表する水準を示す一作として注目される。