国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
赤漆塗木鉢
ふりがな
:
あかうるしぬりもくはち
赤漆塗木鉢
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員数
:
1点
種別
:
考古資料
国
:
時代
:
縄文
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
総高二五・〇センチメートル、長径四六・〇センチメートル、短径三二・〇センチメートル、
品質・形状
:
木製赤漆塗り。上面観楕円形で、長軸方向の相対する位置に、台形の把手がつく、内外面全面に赤漆が塗られた大形の木鉢である。把手の上面、口縁部はいずれも平坦に作られ、胴部は緩やかな曲線を描いて下方に行くほどすぼまる。胴部の一部と底部を欠くが、器形の全形は窺える。外面はほぼ平坦で彫刻文様などはないが、口縁から約一センチメートルの位置に横方向に漆が剥落した部分が線状に周回している。内面には、把手の付け根部分にのみ、幅約〇・七センチメートルの低平な突帯が彫刻されている。
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
619
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2014.08.21(平成26.08.21)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
青森県
所在地
:
青森県上北郡野辺地町字野辺地1-3
保管施設の名称
:
野辺地町立歴史民俗資料館
所有者名
:
野辺地町
管理団体・管理責任者名
:
赤漆塗木鉢
解説文:
詳細解説
集落跡に隣接するた低地から出土した、赤漆塗の大形な木鉢。コナラ節の素材を楕円形に刳り抜き、長軸方向に一対の台形状の突起を造り出す。その上端面に、小型な巻貝の殻の蓋を連続して貼り付け、装飾していた痕跡がのこる。当時の高度な木工・漆工芸を良く示す。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
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赤漆塗木鉢
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赤漆塗木鉢
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解説文
集落跡に隣接するた低地から出土した、赤漆塗の大形な木鉢。コナラ節の素材を楕円形に刳り抜き、長軸方向に一対の台形状の突起を造り出す。その上端面に、小型な巻貝の殻の蓋を連続して貼り付け、装飾していた痕跡がのこる。当時の高度な木工・漆工芸を良く示す。
詳細解説▶
詳細解説
本件は、青森県向田18遺跡から出土した縄文時代前期末から中期前葉の赤漆塗木鉢である。 向田18遺跡は、野辺地町の市街地北東約十キロメートル、青森県上北郡野辺地町字向田に位置している。この地は、陸奥湾に流入する向田川の河口から、上流へ約一キロメートル遡った右岸の地で、標高十五~二十メートルの低位段丘及びそれに続く標高八メートルの低地にあたる。遺跡は、平成十二~十四年(二○○○~二〇〇二)、一般国道二七九号有戸バイパス建設に先立つ調査で、東西二百メートル、南北七十メートル、面積約一万五千平方メートルの規模であることが確認され、そのうち七千五百六十二平方メートルが発掘調査された(第一次~第三次調査)。その結果、当初から遺跡の存在が把握されていた段丘に隣接する沖積地の旧水田からも遺物が出土することがわかり、急遽この低地部分にも試掘調査が行われた。この低地には、地表下一~二メートルの深度で、旧水田面の下層に堆積した砂層が検出され、そこから段丘上からの流れ込みと考えられる多数の縄文時代前期末から中期前葉の土器片や石器に加えて、近隣に水さらし場の存在を推定させるような漆塗木製品や、ウルシノキなどの木材片も多数出土した。 漆塗木製品から採取した試料六点を年代測定した結果、いずれも暦年較正年代BC三七一〇~三二〇〇年という値が得られ、この年代観もほぼ縄文時代前期末から中期前葉に相当する。 赤漆塗木鉢は、この砂層中から口縁部を下にして、倒伏した状態で出土した。素材はコナラ節であり、一木を刳り抜いて楕円形の胴部を成形し、外面全体を赤漆で覆い、バスケット形に仕上げている。その口縁部の長軸上の相対する位置に、台形につくり出された把手がある。その台形の把手上端に設けられた幅〇・九センチメートルほどの平坦面に、赤漆塗り工程の途中で巻貝の蓋を複数、連続して下塗りの漆地に貼り込んでいる。その結果、巻貝の蓋内面の突起が、把手上端にボタン状の連続する突起を形成し、立体的な装飾となっていたものと考えられる。貼付されていた巻貝の蓋自体は残念ながら消滅しているが、それが貼り付けられていた把手の上端には、下地漆の上に渦巻き状の文様が明瞭に残されている。このような漆製品の装飾技法は、縄文時代では他に例をみない。本例は、当時の木工及び漆工技術を復元するうえで、きわめて貴重な資料であり、その学術性にはきわめて高いものがある。 なお、上面観が楕円形の黒漆塗木椀一点、及び同様の巻貝の蓋による装飾技法を持つ赤漆塗木鉢残欠二点もあり、これらも、当遺跡における木工及び漆工芸の実態を理解するために参考となる資料である。