国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
絹本著色弘法大師像
ふりがな
:
けんぽんちゃくしょくこうぼうだいしぞう
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員数
:
1幅
種別
:
絵画
国
:
日本
時代
:
鎌倉時代
年代
:
13世紀
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
縦142.2㎝ 横112.5㎝
品質・形状
:
絹本著色 掛幅装 画絹三副一鋪
ト書
:
画中に泉涌寺等の墨書がある
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
2078
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2016.08.17(平成28.08.17)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
大阪府
所在地
:
大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1−82
保管施設の名称
:
大阪市立美術館
所有者名
:
宗教法人大宝院
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
本図は,弘法大師空海の姿を描く作品である。空海の画像は,亡くなる直前に描かれたと伝えられる御影(みえい)があるが,本図はその図様形式を踏襲する鎌倉時代の作例。鎌倉時代にさかのぼる空海画像の中でも特に保存状態の良好な一幅で,画中の墨書から,もとは京都の泉涌寺に伝わったことが判る。文化史的な背景に関しても重要な研究材料を提供する作品である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
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解説文
本図は,弘法大師空海の姿を描く作品である。空海の画像は,亡くなる直前に描かれたと伝えられる御影(みえい)があるが,本図はその図様形式を踏襲する鎌倉時代の作例。鎌倉時代にさかのぼる空海画像の中でも特に保存状態の良好な一幅で,画中の墨書から,もとは京都の泉涌寺に伝わったことが判る。文化史的な背景に関しても重要な研究材料を提供する作品である。
詳細解説▶
詳細解説
弘法大師空海(七七四~八三五)の画像は、空海が入定する直前に真如親王が描いたものが根本であったとされ、この画像は現在も高野山御影堂に秘蔵される。その像容を直接確認することは不可能だが、根本本の第三転写本とされる一幅が大阪・天野山金剛寺に伝えられ(承安二年〈一一七二〉制作)、その像容は顔をやや右に向け、右手に五鈷杵、左手に念珠を執り、茶色の衲衣を着て、椅子式の牀座上に結跏趺坐するもので、この図様が数多くの大師画像の一定型となっている。同図様を示す鎌倉時代に遡る作例には和歌山・龍泉院本、東京・大師会本、東京總持寺本などがあるが、大宝院所蔵の本図は中でも保存状態の良好な一幅である。肉身部の淡墨線、着衣の淡い朱線ともに均質で緊張感のある描線で引かれ、転写本ゆえの硬さは否めないものの、面相部や着衣にみる朱色の暈しの丁寧な表現、褥に認められる団花文の柔らかい色彩感覚など、鎌倉時代後期の制作とみられる特徴を示す。画面上部には「日々影向文」の四句が記される。 本図は画中墨書から泉涌寺真言院旧蔵と認められる。入宋帰朝後、四宗兼学の道場として泉涌寺を創建した俊芿は「泉涌寺観縁疏」や「泉涌寺殿堂房寮色目」を記し、同寺造営計画の中に当初より真言院を含めていた。泉涌寺当初伽藍は基本的には宋式伽藍の再現だが、ここに真言院を含める構想の意義については詳細不明ながら興味深い。本図は今後、泉涌寺真言院の活動についての研究を進める上でも貴重な資料となりうる。なお、幕末に編纂された『大宝院什物控帳』の記載により、本図が大宝院の什物となったのは長位上人が住職を勤めた寛永期(一六二四~四四)と認められる。