国宝・重要文化財(美術工芸品)
 主情報
名称 花鳥蒔絵螺鈿酒器
ふりがな かちょうまきえらでんしゅき
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員数 6本
種別 工芸品
日本
時代 安土桃山
年代 17世紀
西暦
作者
寸法・重量 (酒器)高30.0~30.8  縦11.5  横11.8
(箱)高33.5  縦28.2  横41.1 (cm)
品質・形状 (酒器)
 木製で、大型の酒器である。柾材を用いて角柱形に組み上げ、肩は別材を組み合わせて大きく丸く作り出し、底は平板を嵌める。肩部と底部の継ぎ目にはそれぞれ帯状に布着せを施している。総体を黒漆地として、金平蒔絵と螺鈿を併用し、さらに付描や針描を加えて全面に装飾を施す。肩の上面、身の側面など、各面毎に周囲を南蛮唐草文によって区画し、その中に藤、橘、銀杏、葛、朝顔、牡丹、芙蓉、桐、枝垂れ桜などの花卉や樹木に、尾長鳥、鷹、鳩様の鳥、蝶など、花鳥の文様をそれぞれ組み合わせを変えて配置する。内面は全体に漆塗りを施している。
 また、撫で肩の頂部中央には、銅製鍍金の注口金具を嵌め込んでいる。注口部は、一段の区を設け、中央に円筒形の立ち上がりを据えて注口とし、丸形素鈕付きの円筒蓋を被せる。これらの注口と蓋は、鍛造した板を鑞付で接合し、成形したものである。さらに、注口の外側には螺旋を切り、蓋の内面には螺旋状に成形した板を嵌め込んで捻子式とする。蓋の丸形鈕は、鈕の側面に鐶付け(貫通せず)の孔を設けており、割り足を出して蓋の上面に留めている

(箱)
 木製で、蓋付きの箱である。内部を三枚の仕切り板によって六区画とし、六本の酒器を収納する。
 外面は、四隅と底部の各辺に布着せを施して、総体を黒漆とし、平蒔絵と螺鈿を併用し、付描と針描を加えて、全面を装飾する。各面は、周囲に南蛮唐草文と螺鈿帯を廻らして区画し、その中に藤、橘、楓、葛などの花卉文に鶏、尾長鳥、虎、牛、鹿などの鳥獣文をそれぞれに組み合わせて配置する。
 身の正面には、花先形の錠金具を据え、短側面には、菊形の鐶座にC字形素鐶の把握手を設けた把手を備える。また、各隅に花先形金具を据える。飾り金具はいずれも銅製鍍金で、魚々子地に桜枝文を線刻で表している。底の四隅には鉄製の半球型の脚を据える。
 内部は、仕切り板によって区画し、各内面に藍染による雲紙を貼って内貼りとしている。仕切り板の上面には、南蛮唐草文を廻らしている。
 蓋葛の一部を大きく欠失して補材されているほか、外面の意匠はそれぞれ損傷が大きく、後代の補修、加筆が見られる。また、蓋と身の合口部近くの側板上下には鋲の孔が数か所穿たれ、蝶番金具を備えた痕跡が残る。
ト書
画賛・奥書・銘文等
伝来・その他参考となるべき事項
指定番号(登録番号) 2688
枝番
国宝・重文区分 重要文化財
重文指定年月日 2017.09.15(平成29.09.15)
国宝指定年月日
追加年月日
所在都道府県 京都府
所在地 京都府東山区茶屋町527
保管施設の名称 京都国立博物館
所有者名 独立行政法人 国立文化財機構
管理団体・管理責任者名

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解説文:
輸出用漆器として桃山期に盛行した南 蛮様式の酒器である。平蒔絵と螺鈿を用 いて、華麗な花鳥文様を全面に施した 角形容器で、六本を組として伝来する貴重な遺例である。鳥獣蒔絵螺鈿の収納箱 に収められる。
関連情報
    (情報の有無)
  附指定
  一つ書 なし
  添付ファイル なし