国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
紙本金地著色唐獅子図〈/四曲屏風〉
ふりがな
:
しほんきんじちゃくしょくからじしず よんきょくびょうぶ
解説表示▶
員数
:
1隻
種別
:
絵画
国
:
日本
時代
:
桃山
年代
:
16世紀
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
縦174.9 横362.9
品質・形状
:
紙本金地著色・屏風装
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
2102
枝番
:
0
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2019.07.23(令和1.07.23)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
京都府
所在地
:
保管施設の名称
:
所有者名
:
宗教法人本法寺
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
金雲たなびく金の空間を一頭の唐獅子が悠然と歩く。右下隅にもう一頭の獅子を抹消した痕跡があり、制作当初の形状と筆者は必ずしも明確ではないが、天下人を荘厳するために発達した狩野永徳一門による絢爛豪華な金碧障壁画の実態をよく伝える優品である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
解説文
金雲たなびく金の空間を一頭の唐獅子が悠然と歩く。右下隅にもう一頭の獅子を抹消した痕跡があり、制作当初の形状と筆者は必ずしも明確ではないが、天下人を荘厳するために発達した狩野永徳一門による絢爛豪華な金碧障壁画の実態をよく伝える優品である。
詳細解説▶
詳細解説
金雲たなびく金の空間に悠々と歩く唐獅子を描く。唐獅子は力強い墨線と鮮やかな賦彩で大きく堂々と描かれ、圧巻である。現状でも大振りな四曲屏風であるが、画面右下に獅子等をかき消した痕跡があり、本来は縦方向にも横方向にも相当に画面が続いていたことがわかる。襖の引手の痕跡はなく、屏風としても異例の規格なので、もとは大きな壁貼付であったとでも考えるほかない。本来の設置場所や明治年間に本法寺内で使われていた以前の伝来については未詳であるが、本図の大振りな表現は、少し引いた位置から眺められることを意識した、大画面障壁画としての表現であると考えられよう。 類品としては狩野永徳筆「唐獅子図」(宮内庁三の丸尚蔵館)が著名であるが、本図の図様や描法にその影響が濃厚で、永徳作の表現を見知った絵師の作であることが示唆される。永徳画の豪壮な雰囲気を引き継いだ現存作例は意外に少ない。本図の唐獅子は頭部が比較的小ぶりであることが特徴的で、また宙に浮いたような唐獅子の動勢は江戸時代の諸作例につながる要素ではあるものの、桃山時代ならではと言うべき勇壮な気分にあふれる遺品となると、金地濃彩の大画面唐獅子図ではわずかに本図が知られるのみである。 作者については、永徳の弟子・狩野山楽を想定することが定説化している。しかし、画隅に認められる印は、現在の形状に改装された後に捺されたもので、印影も山楽の基準印とは異なる。山楽のみならず永徳の長男・光信、次男・孝信らによる走獣画の類品とは類似点と相違点があり、工房制作まで勘案すると(山楽筆の可能性は否定できないものの)現時点で狩野山楽筆と断定することは躊躇される。それでも本図が狩野派一流の絵師の作であることは間違いなく、永徳の唐獅子図に次ぐ、狩野派金碧障屏画の優品として極めて貴重であることは変わらない。 なお、本図は現状で薔薇図と一双をなしている。しかし、薔薇図には改装痕と補加筆が唐獅子図以上に著しく、料紙の規格も一致しない。