国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
築地明石町・新富町・浜町河岸〈鏑木清方筆/絹本著色〉
ふりがな
:
つきじあかしちょう・しんとみちょう・はまちょうがし〈かぶらききよかたひつ/けんぽんちゃくしょく〉
解説表示▶
員数
:
3幅
種別
:
絵画
国
:
時代
:
近代
年代
:
築地明石町:昭和二年
新富町・浜町河岸:昭和五年
西暦
:
1927/1930
作者
:
鏑木清方
寸法・重量
:
(各)縦173.5センチ 横74.0センチ
品質・形状
:
絹本著色 掛幅装
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
築地明石町 「健」(陽刻金方印)
新富町 「健」(朱文方印)
浜町河岸)「健」(朱文方印)
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
2121
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2023.06.27(令和5.06.27)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
東京都
所在地
:
保管施設の名称
:
所有者名
:
独立行政法人国立美術館
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
鏑木清方(1878~1972)は近代を代表する日本画家で、東京神田に生まれた。本作は昭和2年(1927)の帝国美術院展覧会で帝国美術院賞を受賞した「築地明石町」に、姉妹作として「新富町」と「浜町河岸」を同5年(1930)に加えた連作。清方は自身にゆかりの深い土地を舞台に、既に過去のものとなっていた明治末年の景観や女性の装いを精緻に描く。洗練を極めた本作の表現は、徹底した風俗描写を基礎に繊細で豊かな情趣を示す清方の作風を代表するものである。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
解説文
鏑木清方(1878~1972)は近代を代表する日本画家で、東京神田に生まれた。本作は昭和2年(1927)の帝国美術院展覧会で帝国美術院賞を受賞した「築地明石町」に、姉妹作として「新富町」と「浜町河岸」を同5年(1930)に加えた連作。清方は自身にゆかりの深い土地を舞台に、既に過去のものとなっていた明治末年の景観や女性の装いを精緻に描く。洗練を極めた本作の表現は、徹底した風俗描写を基礎に繊細で豊かな情趣を示す清方の作風を代表するものである。
詳細解説▶
詳細解説
鏑木清方(1878~1972)は近代を代表する日本画家である。東京神田に生まれ、水野年方に師事し、明治34年(1901)には挿絵画家らによる烏合会を結成して注目を集めた。官展や金鈴社展を舞台に活躍した大家であり、批評や随筆にも優れ、浮世絵や歴史風俗に通じたことから編著も多い。 本作は昭和2年の第8回帝国美術院展覧会で帝国美術院賞を受賞した「築地明石町」に、「新富町」と「浜町河岸」を昭和5年に加えた連作である。「築地明石町」は明治32・33年頃に流行した装いの女性が外国人居留地に立つ姿を描く。「新富町」は傘をさして新富座の前を歩む女性を、「浜町河岸」は舞踊の師のもとに通う道中、所作を確認する女性を描く。 清方は女性の容貌や表情、佇まいを精緻に描出することで年齢や心情などを巧みに示すとともに、明治末年の景物や女性の装いにより、画面全体として季節や人物の社会的立場、心性を暗示する。また、自ら「築地明石町」について必要なものだけ摘出して他は省いたと語るように、いずれも簡潔で品位のある構図にまとめている。丁寧な筆線や静謐な色彩を駆使し、洗練を極めた本作の表現は、徹底した風俗描写を基礎に繊細で豊かな情趣を示す清方の作風を代表するものである。 「築地明石町」は当時の東京の先進的な側面に、「新富町」「浜町河岸」は明治末にまで留められていた江戸時代以来の風情に主眼を置く。清方は明石町と新富町を比べ油絵と浮世絵との隣合せの世界と表現するが、これらを対照的に描く構成は、時代や社会を捉えることを重んじた清方の姿勢をよく示すものといえる。 描かれるのは清方にとって愛着の深い土地の、関東大震災を経て失われた過去の風物であり、自身の来歴に深く関わる構想はその画業全体を考える上で欠かせない位置を占める。また本作は当時において盛んとなっていた明治回顧の動向のなかに位置付けられており、清方自身も「築地明石町」を構想した時期について、昭和改元など時代の区切り目として回想している。 以上のように本作は、鏑木清方の代表作であるとともに、女性と都市景観の情趣を繊細に描出した傑作として高く評価される。その画業全体における重要性はもとより、関東大震災や昭和改元を経て明治回顧の風潮が高まる中にあって社会的評価を確立した文化史的な意義も大きく、昭和初期を代表する日本画として重視されるものである。