国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
承暦二年四月廿八日内裏歌合(二十巻本)
ふりがな
:
じょうりゃくよねんしがつにじゅうはちにちだいりうたあわせ(にじゅっかんぼん)
地図表示▶
解説表示▶
員数
:
1巻
種別
:
書跡・典籍
国
:
日本
時代
:
平安時代
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
縦26.8 横598.8
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
2609
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2023.06.27(令和5.06.27)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
東京都
所在地
:
東京都板橋区常盤台1-3-1
保管施設の名称
:
日本書道美術館
所有者名
:
公益財団法人日本書道美術館
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
歌合とは歌の優劣を競う行事、または、その記録や集成を指す。集成としての歌合は、藤原頼通(九九二~一〇七四)の命によって編纂された、いわゆる「十巻本歌合」(天喜四年=一〇五六年頃成立)がその先駆けである。
堀河天皇(在位一〇八六~一一〇七)は、源雅実(一〇五九~一一二七)らに新たな歌合編纂を命じたが、崩御によって一時停滞した。藤原忠通(一〇九七~一一六四)は、雅実と共に編纂を再開し、収録範囲を内裏以外に広げ、約二〇〇度の歌合を集成したが、編纂中止により草稿のまま伝来してきた。これが後に「二十巻本歌合」と呼ばれるようになった。
本書は、承暦二年(一〇七八)四月二十八日に内裏で行われた歌合で、「二十巻本歌合」の一部である。承暦歌合は詳細な難陳や判詞が特徴であるが、本書によって初めて精確な内容が明らかとなった。
承暦歌合は古来高い評価を受けてきた歌合であり、その精確な内容を伝える本書は和歌文学史研究上、極めて価値が高い。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
Loading
Zeom Level
Zoom Mode
解説文
歌合とは歌の優劣を競う行事、または、その記録や集成を指す。集成としての歌合は、藤原頼通(九九二~一〇七四)の命によって編纂された、いわゆる「十巻本歌合」(天喜四年=一〇五六年頃成立)がその先駆けである。 堀河天皇(在位一〇八六~一一〇七)は、源雅実(一〇五九~一一二七)らに新たな歌合編纂を命じたが、崩御によって一時停滞した。藤原忠通(一〇九七~一一六四)は、雅実と共に編纂を再開し、収録範囲を内裏以外に広げ、約二〇〇度の歌合を集成したが、編纂中止により草稿のまま伝来してきた。これが後に「二十巻本歌合」と呼ばれるようになった。 本書は、承暦二年(一〇七八)四月二十八日に内裏で行われた歌合で、「二十巻本歌合」の一部である。承暦歌合は詳細な難陳や判詞が特徴であるが、本書によって初めて精確な内容が明らかとなった。 承暦歌合は古来高い評価を受けてきた歌合であり、その精確な内容を伝える本書は和歌文学史研究上、極めて価値が高い。
詳細解説▶
詳細解説
歌合とは歌の優劣を競う行事、または、その記録や集成を指す。行事としての歌合は九世紀以降、朝廷でも開催されるようになった。集成としての歌合は、藤原頼通(九九二~一〇七四)の命によって、内裏での歌合の分類・集成が行われた、いわゆる「十巻本歌合」(天喜四年=一〇五六年頃成立)がその先駆けである。 院政期に入ると、堀河天皇(在位一〇八六~一一〇七)は、源雅実(一〇五九~一一二七)らに『和歌合抄』の編纂を命じたが、嘉承二年(一一〇七)に崩御すると、『和歌合抄』編纂は一時停滞することとなった。この状況に、藤原忠通(一〇九七~一一六四)が関心を持ち、雅実は『古今歌合』、忠通は『類聚歌合』として、それぞれ資料の収集を図った。雅実の死後は忠通に引き継がれ、『類聚歌合』への統合が図られたと見られるが、忠通も政務多忙化によって中止された。なお、両者とも編纂方針を改め、収録する歌合を内裏以外に広げ、約二百度の歌合を収載した。これにより、巻数は二十巻を超えるようになったとみられることから、「二十巻本歌合」とも呼ばれるようになった。「二十巻本歌合」は将来的には清書を行う予定であったが、編纂自体が中止されてしまったため、草稿のまま伝来してきた。 本書は、承暦二年(一〇七八)四月二十八日に清涼殿で行われた白河天皇(在位一〇七二~一〇八六)主催の歌合で、陽明文庫所蔵『類聚歌合(二十巻本)』(国宝)のうち、『古今歌合』巻第二に収められていたものとみられる。本書の料紙は、界線や樹皮等の混入等の特徴が『類聚歌合』と共通する。また、承暦歌合は詳細な難陳や判詞がそれまでの歌合に比較して詳細に述べられている。この難陳や判詞は、近世の写本である妙法院本、群書類従本にも記録されているが、写本では判(勝ち負けの判定)とそこに至る経緯の記述に矛盾が見られるが、本書によってこの矛盾は誤写によるものであることが明らかとなった。 承暦歌合は古来高く評価され、しばしば参照されてきた。文学史的に高い評価を受けてきた歌合であるにも関わらず、その本文は近世の写本でしか知ることができなかったが、本書は写本上の矛盾を解決し、本文の精確な内容を明らかにするなど、和歌文学史研究上、極めて価値が高い。