国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
紙本著色厩図〈/六曲屛風〉
ふりがな
:
しほんちゃくしょくうまやず(/ろっきょくびょうぶ)
解説表示▶
員数
:
一双
種別
:
絵画
国
:
時代
:
室町時代
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
各 縦148.1センチ 横308.2センチ
品質・形状
:
各 紙本著色 屛風装
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
(伝来)徳川家茂‐孝明天王(安政5年献上)‐皇室‐国(宮内庁三の丸尚蔵館保管、平成元年寄贈)‐国(文化庁、皇居三の丸尚蔵館収蔵、令和5年移管)
指定番号(登録番号)
:
2129
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2024.08.27(令和6.08.27)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
東京都
所在地
:
保管施設の名称
:
所有者名
:
国(文化庁)
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
古来駿馬は神の乗り物とされ、刀とならんで一種のステータス・シンボルとして盛んにやりとりされた。本作は厩舎に繋がれた12頭の駿馬を描いた屏風絵で、いくつか現存する類作のなかでは最古級との定評がある。馬の描き分けが絵師の腕の見せどころとなるが、本作の描写には定型化した硬さがみられ、何らかの先行作があったことがうかがわれる。一方で、あくまでも静粛な雰囲気が本作の特徴で、この静粛さは、人物を省略した簡素な構成と渋めの彩色、そして画面全体の控えめな輝きによってもたらされている。雲母の輝きを明確に意識して作られた雲母地障屏画は15世紀に成熟し、16世紀末までにほぼ作られなくなったとみられ、現存作例は10点にも満たない。その中で、金を交えながらも雲母と銀の白く柔らかな輝きに重きを置き、洗練された雲霞表現を示す点で、本作は「四季花木図」(重要文化財、出光美術館蔵)に近く、室町時代のやまと絵屏風の優品のひとつに数えることができる。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
解説文
古来駿馬は神の乗り物とされ、刀とならんで一種のステータス・シンボルとして盛んにやりとりされた。本作は厩舎に繋がれた12頭の駿馬を描いた屏風絵で、いくつか現存する類作のなかでは最古級との定評がある。馬の描き分けが絵師の腕の見せどころとなるが、本作の描写には定型化した硬さがみられ、何らかの先行作があったことがうかがわれる。一方で、あくまでも静粛な雰囲気が本作の特徴で、この静粛さは、人物を省略した簡素な構成と渋めの彩色、そして画面全体の控えめな輝きによってもたらされている。雲母の輝きを明確に意識して作られた雲母地障屏画は15世紀に成熟し、16世紀末までにほぼ作られなくなったとみられ、現存作例は10点にも満たない。その中で、金を交えながらも雲母と銀の白く柔らかな輝きに重きを置き、洗練された雲霞表現を示す点で、本作は「四季花木図」(重要文化財、出光美術館蔵)に近く、室町時代のやまと絵屏風の優品のひとつに数えることができる。
詳細解説▶
詳細解説
厩に繋がれた12頭の駿馬を描いた屏風絵である。馬は一扇に一頭ずつ、毛色や体勢に変化をもたせて描き分けられる。厩舎は桁行12間、檜皮葺で板敷。縁の外寄りに畳を敷き詰め、そこに人が座ることが想定されているものの、人や厩の守り神である猿は描かない。厩舎の手前は白砂、背後は竹林で、四季は表現されない。 室町時代から江戸時代にかけての類例があり、画馬の歴史の中で何らかの先行例があったことも想定されているが、本作は現存最古級の厩図屏風との定評がある。「古格」とも評される静粛な雰囲気が本作の特徴で、この静粛さは簡素な構成と色彩、そして控えめな輝きによってもたらされている。 雲母の輝きを明確に意識して作られた雲母地障屏画は15世紀に成熟し、16世紀末までにほぼ作られなくなったとみられ、現存作例は10点にも満たない。その中で、金を交えながらも雲母と銀の白く柔らかな輝きに重きを置き、多彩で洗練された雲霞表現を示す点で、本作は「四季花木図」(重要文化財、出光美術館蔵)に近く、室町時代のやまと絵屏風の優品ということができる。 このように本作は希少な室町時代のやまと絵屏風の優品として、また厩図屏風の古例として高く評価されるものである。