国指定文化財等
データベース
・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
青方文書
ふりがな
:
あおかたもんじょ
地図表示▶
解説表示▶
員数
:
385通(73巻、70通)
種別
:
古文書
国
:
日本
時代
:
鎌倉~江戸時代
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
法量等省略
品質・形状
:
紙本墨書
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
749
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2024.08.27(令和6.08.27)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
長崎県
所在地
:
長崎県長崎市立山1-1-1
保管施設の名称
:
長崎歴史文化博物館
所有者名
:
長崎県
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
青方文書は、長崎県の上五島地方に平安時代以来居住した青方氏のもとに伝来した文書である。青方氏は、鎌倉時代初期に幕府御家人となった一族であり、江戸時代には五島藩の家老職を務めている。
本文書の内容は、青方氏一族の所領をめぐる訴訟に関するもの、異国警固番役に関するもの、対外交易に関するもの、国人一揆に関するもの、漁業や牧など生業に関するものなど多岐にわたる。この内、青方一族の訴訟に関わる文書には同時代の西国の武家文書には残存数が少ない訴陳状(訴訟の当事者各人の主張をまとめた文書)が多く含まれている点に特徴がある。また、対外交易に関するものとして、日本から中国大陸に向けて出発した貿易船が五島近海で遭難した際に略奪を受けた記録が存在し、ここから当時の主要な輸出品が判明する。
本文書は、青方氏一族の史料が鎌倉時代以降まとまって伝存し、豊富な内容を持つという点で価値が高く、西国武士研究や対外交易史研究上、たいへん重要なものである。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
Loading
Zeom Level
Zoom Mode
解説文
青方文書は、長崎県の上五島地方に平安時代以来居住した青方氏のもとに伝来した文書である。青方氏は、鎌倉時代初期に幕府御家人となった一族であり、江戸時代には五島藩の家老職を務めている。 本文書の内容は、青方氏一族の所領をめぐる訴訟に関するもの、異国警固番役に関するもの、対外交易に関するもの、国人一揆に関するもの、漁業や牧など生業に関するものなど多岐にわたる。この内、青方一族の訴訟に関わる文書には同時代の西国の武家文書には残存数が少ない訴陳状(訴訟の当事者各人の主張をまとめた文書)が多く含まれている点に特徴がある。また、対外交易に関するものとして、日本から中国大陸に向けて出発した貿易船が五島近海で遭難した際に略奪を受けた記録が存在し、ここから当時の主要な輸出品が判明する。 本文書は、青方氏一族の史料が鎌倉時代以降まとまって伝存し、豊富な内容を持つという点で価値が高く、西国武士研究や対外交易史研究上、たいへん重要なものである。
詳細解説▶
詳細解説
青方文書は、肥前国宇野御厨内浦部島青方(現長崎県南松浦郡新上五島町青方)を中心とする上五島地方に平安時代以来居住した青方氏に伝来した文書である。青方氏は、鎌倉時代初期に幕府の御家人となった一族で、南北朝期以降は松浦党の一員となり、江戸時代には五島藩の家老職を務めた。天保十五年(一八四四)に青方氏が作成した「青方氏家譜」には本文書が多く書写されている。 本文書は、鎌倉時代から室町時代に作成された文書が中心を占めるが、安土桃山時代や江戸時代の文書も一部含まれる。内容は、所領をめぐる訴訟文書、異国警固番役に関する文書、対外交易に関する文書、国人一揆に関する文書など多岐にわたる。 所領をめぐる訴訟文書としては、鎌倉後期に断続的に行われた宇野御厨地頭職の相論に関わる文書が中心であり、西国の武家文書では残存数が少ないとされる訴陳状が多い点に特徴がある。なお、鎮西探題から発給された前欠の裁許状とそれを仮名で読み下した文書が存在し、当時の文書の読みを知る上でも貴重である。 異国警固番役に関する文書として、守護が発給した覆勘状がある。覆勘状は番役勤務の完了を証明するために発給された文書であり、青方氏の一族である白魚氏は、この文書の受給を以て自身が御家人であることを主張した。また、南北朝期に九州探題一色範氏の侍所正栄(小俣道剰)が青方氏に対して発給した覆勘状も存在し、初期の室町幕府が鎌倉幕府の制度を踏襲していた根拠の一つと評価されている。 対外交易に関する文書としては、「関東使者義首座注進状案」がある。本文書は、鎌倉時代後期に日本から元に向けて出航した「唐舟」が「樋島」(現長崎県南松浦郡新上五島町日島ヵ)で遭難した際に近隣の在津人・百姓等がその積荷を掠取したことを報告するものであり、当時の日中交易の航路や当地での海賊行為の一端をうかがうことができる。また、この際に掠取された交易品の注文には砂金・水銀・太刀などが書き上げられ、当時の我が国の主要な輸出品も判明する。 国人一揆に関する文書としては、室町時代に作成された一揆契状がある。これらの契状では青方氏が所在した五島や対岸の松浦地域の国人が百姓支配などに関して協力して対処することが誓約されており、当時の一揆結合を検討する重要史料と位置づけられている。 以上のように、本文書は、青方氏の史料が鎌倉時代以降まとまって伝存し、豊富な内容を持つという点で学術的価値が高く、西国武士研究や対外交易史上、たいへん重要である。