国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
赤地牡丹唐草文錦直垂
ふりがな
:
あかじぼたんからくさもんにしきひたたれ
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員数
:
1領
種別
:
工芸品
国
:
日本
時代
:
南北朝~室町
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
(直垂)身丈77.0 裄91.0(袴)総丈99.0 腰幅51.0
品質・形状
:
上衣、袴ともに赤地に白、黄、薄紅、紫の緯糸で牡丹と蝶を、萌葱の緯糸で葉と茎の唐草文様を織り表した錦を表地に用いた直垂である。本直垂の形態は日常に着用する直垂に近い形をとっており、鎧直垂として体に沿う形態に変化する前の古様な例と見られる。赤地錦直垂には錦旗一旒がともに伝わっている。本旗は褪色が進んでいるが、もとは赤地に牡丹文を織り表した錦の旗であった。現状では折り畳んだ状態で紙に縫い付けられており、損傷が著しいため判然としないが、旗表面に「八幡大菩薩」の墨書があったとされる。本直垂と旗には日本で織られた準風通様緯錦が用いられている。多色の錦を織るために文様の段ごとに使用する色緯糸の組み合わせを変えており、色調が段替わりとなって現れる。極細の経糸と太くやわらかい緯糸でざっくりとした風合いに織りあげた錦である。
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
2712
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2024.08.27(令和6.08.27)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
東京都
所在地
:
東京都台東区上野公園13ー9
保管施設の名称
:
東京国立博物館
所有者名
:
独立行政法人国立文化財機構
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
詳細解説
関連情報
(情報の有無)
附指定
一つ書
なし
添付ファイル
なし
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詳細解説
上衣【じょうい】、袴ともに赤地に白、黄、薄紅、紫の緯糸【ぬきいと】で牡丹と蝶を、萌葱【もえぎ】の緯糸で葉と茎の唐草文様を織り表した錦を表地に用いた直垂【ひたたれ】である。室町時代以前の錦直垂としては、本直垂と永禄三年(一五六〇)に毛利元就が将軍足利義輝より拝領したと伝える紅地桐文散錦直垂【べにじきりもんちらしにしきひたたれ】(重要文化財、毛利博物館蔵)が遺るのみで希有な例である。本直垂の形態は日常に着用する直垂に近い形をとっており、鎧直垂【よろいひたたれ】として体に沿う形態に変化する前の古様な例とみられる。 上衣【じょうい】、袴ともに赤地に白、黄、薄紅、紫の緯糸【ぬきいと】で牡丹と蝶を、萌葱【もえぎ】の緯糸で葉と茎の唐草文様を織り表した錦を表地にした直垂【ひたたれ】である。室町時代以前の錦直垂としては、本直垂と永禄三年(一五六〇)に毛利元就が将軍足利義輝より拝領したと伝える紅地桐文散錦直垂【べにじきりもんちらしにしきひたたれ】(重要文化財、毛利博物館蔵)が遺るのみで希有な例である。本直垂の形態は日常に着用する直垂に近い形をとっており、鎧直垂【よろいひたたれ】として体に沿う形態に変化する前の古様な例とみられる。 赤地錦直垂は大将級の武将が鎧下【よろいした】に着用する衣服として知られる。錦直垂の着用は朝廷や将軍家等からの許可を必要とした特別な装束であり、家の格式や由緒を語る上で珍重された。本直垂には錦旗一旒【りゅう】がともに伝わっている。旗は褪色が進んでいるが、もとは赤地に牡丹文を織り表した錦の旗であった。現状では折り畳んだ状態で紙に縫い付けられており、損傷が著しいため判然としないが、旗表面に「八幡大菩薩」の墨書があったとされる。一般に、錦旗は朝敵の討伐に際して作られたといわれる。『山科家礼記』延徳三年(一四九一)九月十四日条によれば、錦旗には能書家【のうしょか】の公家衆により「天照大神」と書かれ、将軍が与える武家御旗には「八幡大菩薩」と書くとあり、室町時代の錦旗の文字の内容をうかがうことができる。中世に錦旗が製作された回数は記録上少なく、遺例も少ないため本旗は貴重な例の一つとなる。 本直垂と旗は、室町幕府第四代将軍足利義持の裏書安堵【うらがきあんど】を伴う譲状から、応永二二年(一四一五)に湯川宗光から嫡子の満春【みつはる】に譲られたことが知られる。足利義持の花押は疑いなく、裏書の筆跡は当該期の将軍御判御教書【ごはんのみぎょうしょ】と一致し、料紙も十五世紀前半の強杉原紙【こわすいばらし】の品質・形状と合致することから正文【しょうもん】とみなされる。 本直垂と旗には日本で織られた準風通様緯錦【じゅんふうつうようぬきにしき】が用いられている。多色の錦を織るために文様の段ごとに使用する色緯糸の組み合わせを変えており、色調が段替わりとなって現れる。極細の経糸【たていと】と太くやわらかい緯糸でざっくりとした風合いに織りあげた錦である。こうした錦は明徳元年(一三九〇)調進の熊野速玉大社の古神宝(国宝)の手箱の内貼りなどに見られ、近い時期の製作をうかがわせる。 本直垂と旗が湯川家に与えられた時期、経緯は明らかでないものの、この時代にさかのぼる遺例は貴重であり、中世の直垂、染織技法を知る上で重要な資料である。
関連情報
附指定
赤地牡丹文錦旗
湯川宗光譲状
関連情報
附指定
附名称
:
赤地牡丹文錦旗
附員数
:
1旒
附ト書
:
関連情報
附指定
附名称
:
湯川宗光譲状
附員数
:
1通
附ト書
:
応永廿二年十二月二日の年紀がある