国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
大津唐崎図(岸竹堂筆)
ふりがな
:
おおつからさきず きしちくどうひつ
大津唐崎図(右隻)
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員数
:
八曲一双
種別
:
絵画
国
:
日本
時代
:
明治時代
年代
:
明治8年
西暦
:
1875
作者
:
岸竹堂
寸法・重量
:
(各)縦158.0センチ 横422.0センチ
品質・形状
:
絹本着色 屏風装
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
令和四~六年修理(岡墨光堂)
指定番号(登録番号)
:
2141
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2025.09.26(令和7.09.26)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
京都府
所在地
:
京都市中京区三条通烏丸西入御倉町80
保管施設の名称
:
株式会社千總ホールディングス
所有者名
:
株式会社千總ホールディングス
管理団体・管理責任者名
:
大津唐崎図(右隻)
解説文:
詳細解説
岸竹堂(1826~97)は彦根出身の画家で、明治時代の京都画壇を代表する大家である。本作は京都の呉服商・千總の西村總左衛門により、1876年のアメリカ・フィラデルフィア万国博覧会に出品された屛風。琵琶湖の景観を描くもので、西洋絵画や写真を連想させる空間表現に先駆性を示す岸竹堂の代表作である。明治時代の京都の日本画を代表する傑作として価値が高く、万博に出品されたことが確実な最初期の日本絵画としても貴重である。当初は屛風の裏側に描かれていた梅図を附とし、一体的な保護をはかる。
関連情報
(情報の有無)
附指定
一つ書
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
大津唐崎図(右隻)
大津唐崎図(左隻)
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大津唐崎図(右隻)
写真一覧
大津唐崎図(左隻)
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解説文
岸竹堂(1826~97)は彦根出身の画家で、明治時代の京都画壇を代表する大家である。本作は京都の呉服商・千總の西村總左衛門により、1876年のアメリカ・フィラデルフィア万国博覧会に出品された屛風。琵琶湖の景観を描くもので、西洋絵画や写真を連想させる空間表現に先駆性を示す岸竹堂の代表作である。明治時代の京都の日本画を代表する傑作として価値が高く、万博に出品されたことが確実な最初期の日本絵画としても貴重である。当初は屛風の裏側に描かれていた梅図を附とし、一体的な保護をはかる。
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詳細解説
岸竹堂(一八二六~九七)は幕末・明治の画家で、中島安泰、狩野永岳への師事を経て岸連山に入門し、安政六年(一八五九)には岸家を相承した。明治維新による画事の激減もあり困窮し、友禅の図案に携わるなどして生計を立てたが、画家の地位が安定すると京都の大家として重んじられた。明治時代の京都を代表する画家である。 本作は明治八年(一八七五)に制作され、呉服商の西村惣右衛門(後の十二代西村總左衛門)により明治九年(一八七六)のアメリカ・フィラデルフィア万国博覧会に出品された竹堂の代表作である。大津の港と唐崎の松を先鋭的といえるほど克明に描くもので、墨と白や金銀を主体に画面を構成し、筆の流れや勢いを的確に操作した水墨表現により多様な素材感や遠近などを巧みに描き分ける。構図や形態の把握は西洋絵画や写真を想起させるもので、空間の広がりや陰影、光線、水や空気の流れまでに意識を向けた画面構成は類例の稀な迫真性を示している。 竹堂は自ら「二十年先の絵」を描いているとしばしば語ったとされ、生前から「年に似合わず若い絵を描く」と評されていたように(『塔影』一〇―七)、自覚的に新たな絵画表現を模索する立場をとり、京都の日本画の近代化を牽引した。「実物に就て精察せざるべからず」(「読売新聞」明治三十年八月二十日)という立場を貫いており、本作の制作にあたっても、明治八年十月半ばには琵琶湖に赴き写生を行い、翌月には下絵をまとめている。西洋美術の学習にも積極的で、「よく噛こなせば、西洋の画法を取ても、画面に現はれた処は最早西洋臭くない筈だ」(『名家歴訪録上篇』)などと語り、本作も早くから「用墨濃淡及遠近法共洋画の趣味を混化せり」(『京都美術協会雑誌』八四)などと評されてきた。竹堂は明治四年の京都博覧会において「碧眼人の注目を惹く」ことを目標に作品を出品し、博覧会を見て自身を訪ねた西洋人に前例のない高価格で作品を販売したとも伝えており(「読売新聞」明治三十年八月十六日)、この際に助力した西村とともに西洋において日本絵画が評価を獲得できる実感を得たものと想定できる。近世以来の描法を駆使し、遠近や陰影などの表現を飛躍的に高めている本作の傑出した表現は、岸派を中心とする従来の絵画表現を基礎としつつ、西洋美術も意識しながら写生に立脚した絵画表現を先駆的に確立した竹堂の特質をよく示すものであり、明治時代の日本画の展開を理解するうえでの学術的価値が高い。 以上のように本作は、絵画の近代化を大きく進めた竹堂の代表作であり、明治時代の絵画表現の展開を考えるうえで重要な位置を占めている。西洋の動向を意識して描かれたことが明らかな最初期の万博出品作として歴史的価値も高く、時代を代表する絵画として貴重である。ともに伝来する梅図は屛風箱の墨書や写真により、当初は本作と表裏を構成していたものと解され、附として一体的な保護を図る。
関連情報
附指定
梅図(旧裏面貼付)
関連情報
附指定
附名称
:
梅図(旧裏面貼付)
附員数
:
八曲一双
附ト書
: