国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
深鉢形土器
ふりがな
:
ふかばちがたどき
深鉢形土器(本指定)
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員数
:
一箇
種別
:
考古資料
国
:
日本
時代
:
縄文時代中期
年代
:
約5000年前
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
総高83.0cm,器高65.5cm,口径40.0cm,最大幅59.0cm,底径16.0cm
品質・形状
:
ト書
:
山梨県安道寺遺跡土坑出土
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
685
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2025.09.26(令和7.09.26)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
山梨県
所在地
:
山梨県甲府市下曽根町923
保管施設の名称
:
山梨県立考古博物館
所有者名
:
山梨県
管理団体・管理責任者名
:
深鉢形土器(本指定)
解説文:
詳細解説
安道寺遺跡は、甲府盆地北東部の台地上に立地する縄文時代中期の集落遺跡で、17号住居跡内の土坑から出土した深鉢形土器である。
きわめて大形の深鉢形土器で、底部は平底である。渦巻文や円形文・蛇行文などが複雑に施文される四単位の大仰な把手が最たる特徴で、こうした過剰な装飾が器面を埋めている。この特徴は、中部高地を中心に分布する縄文時代中期後半期の曽利式土器に特有で、把手装飾などの諸特徴から「水煙文土器」と呼称され、曽利式の初期段階に位置付けられている。大きさに対し、9割が残る遺存状態は特筆される。
また、他の深鉢形土器1箇と別個体の把手4点が、共に埋納された状態で発見されている。
本深鉢形土器は、曽利式土器の研究における基準資料であり、埋納という象徴的な出土状況は縄文土器の儀礼的利用の実態をよく表している。姿形の卓越性、複雑な文様の装飾性は、中部高地における縄文時代の造形技術の極致と言えよう。
関連情報
(情報の有無)
附指定
一つ書
なし
添付ファイル
なし
写真一覧
深鉢形土器(本指定)
深鉢形土器(附指定)
山梨県安道寺遺跡土坑出土
写真一覧
深鉢形土器(本指定)
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深鉢形土器(附指定)
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山梨県安道寺遺跡土坑出土
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解説文
安道寺遺跡は、甲府盆地北東部の台地上に立地する縄文時代中期の集落遺跡で、17号住居跡内の土坑から出土した深鉢形土器である。 きわめて大形の深鉢形土器で、底部は平底である。渦巻文や円形文・蛇行文などが複雑に施文される四単位の大仰な把手が最たる特徴で、こうした過剰な装飾が器面を埋めている。この特徴は、中部高地を中心に分布する縄文時代中期後半期の曽利式土器に特有で、把手装飾などの諸特徴から「水煙文土器」と呼称され、曽利式の初期段階に位置付けられている。大きさに対し、9割が残る遺存状態は特筆される。 また、他の深鉢形土器1箇と別個体の把手4点が、共に埋納された状態で発見されている。 本深鉢形土器は、曽利式土器の研究における基準資料であり、埋納という象徴的な出土状況は縄文土器の儀礼的利用の実態をよく表している。姿形の卓越性、複雑な文様の装飾性は、中部高地における縄文時代の造形技術の極致と言えよう。
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詳細解説
安道寺遺跡第17号住居跡内の土坑から出土した、縄文時代中期後半の深鉢形土器である。 安道寺遺跡は、山梨県甲州市塩山に所在し、甲府盆地東縁の大菩薩嶺の西麓、遺跡の北側を流れる重川の支流が形成した、南側に緩やかな傾斜がある扇状地形の台地上に立地している。主に縄文時代中期の集落跡である安道寺遺跡の周辺には、重要文化財指定された深鉢形土器が出土した殿林遺跡など、多くの縄文時代中期の遺跡が確認されている。 本品は、昭和51年(1976)の調査で出土した、きわめて大形の深鉢形土器である。器形は底部に向かって窄まる砲弾形で、底部は平底を呈する。渦巻文、円形文、蛇行文などが複雑に施文される四単位の大形の把手が最たる特徴で、胴部には隆帯や半隆線などでU字文、渦巻文、四単位の袋状突起などが施され、これらの加飾に富んだ文様が器面を埋めている。この特徴は、中部高地を中心に分布する縄文時代中期後半の曽利式土器に特有で、把手装飾などの諸特徴から「水煙文土器」と呼称され、曽利式の初期段階に位置付けられている。大きさに対し、9割が残る遺存状態は特筆される。また、同様の水煙文土器や他の曽利式土器が多く組成される「山梨県釈迦堂遺跡出土品」(重要文化財)や、同じく曽利式土器の山梨県殿林遺跡出土の「深鉢形土器」(重要文化財)などと比肩される逸品であり、列島内の縄文土器全体と比較しても、姿形や文様の優れた屈指の大形土器である。 また土坑からは、他の深鉢形土器1箇と別個体の把手4点が併せて折り重なるように出土しており、埋納された状態で発見されている。埋納順序は、まず附の深鉢形土器を坑底に横たえ、把手4点のうち1点をその内部に入れる。その後、横たえた深鉢形土器の底部側上面に把手3点を配置する。その上部に、本指定の深鉢形土器の把手から胴上半部片を並べ、さらに上部に胴下半部片を敷いている。このように、埋納の状態や順序をつぶさに認識できる出土事例は非常に稀少であるため、深鉢形土器1箇および深鉢形土器把手4点も、附として共に保存をはかりたい。 本品は、姿形の卓越性、複雑な文様の装飾性により、中部高地における縄文時代の造形技術の極致をよく示している。なおかつ、埋納という象徴的な出土状況は、縄文土器の儀礼的利用の実態をよく表しており、学術的価値は高い。
関連情報
附指定
深鉢形土器
深鉢形土器把手
関連情報
附指定
附名称
:
深鉢形土器
附員数
:
1箇
附ト書
:
関連情報
附指定
附名称
:
深鉢形土器把手
附員数
:
4点
附ト書
: