国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
白地鉄絵鳥文壺
ふりがな
:
しろじてつえちょうもんつぼ
白地鉄絵鳥文壺
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員数
:
一口
種別
:
考古資料
国
:
日本
時代
:
元時代
年代
:
14世紀
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
口径13.3cm,胴部最大径32.5cm,底径12.3cm,器高30.3cm
品質・形状
:
ト書
:
熊本県衹園遺跡出土
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
688
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2025.09.26(令和7.09.26)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
熊本県
所在地
:
熊本県熊本市中央区二の丸2番
保管施設の名称
:
熊本県立美術館
所有者名
:
熊本県
管理団体・管理責任者名
:
白地鉄絵鳥文壺
解説文:
詳細解説
阿蘇神社の大宮司職を代々務めた阿蘇氏の居館跡から出土した、白地鉄絵鳥文壺。壺内部に銅銭を入れて土坑に納めた後に、これを覆うように建物の基礎を構築していることから、礎石建物の地鎮具として用いられたとみられる。
白地の化粧土の上に鉄釉で窓を設け、鳥や草などの文様を大胆な筆致で描いた本品は、中国河北省磁県を中心に盛行した磁州窯系陶器において元時代以降の特徴をみせる。また、整った形態に透明釉の仕上がりもよい。我が国における中国産輸入陶磁器は、越州窯や龍泉窯などの江南産が知られるなかで、数少ない磁州窯系鉄絵壺の優品であり、伝世品以外の完形品は他に例をみない。さらに破損箇所を漆継ぎで丁寧に修復している点も興味深く、壺内面に残る銅銭の痕跡は、埋納時の様子を伝える。
関連情報
(情報の有無)
附指定
一つ書
なし
添付ファイル
なし
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白地鉄絵鳥文壺
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白地鉄絵鳥文壺
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解説文
阿蘇神社の大宮司職を代々務めた阿蘇氏の居館跡から出土した、白地鉄絵鳥文壺。壺内部に銅銭を入れて土坑に納めた後に、これを覆うように建物の基礎を構築していることから、礎石建物の地鎮具として用いられたとみられる。 白地の化粧土の上に鉄釉で窓を設け、鳥や草などの文様を大胆な筆致で描いた本品は、中国河北省磁県を中心に盛行した磁州窯系陶器において元時代以降の特徴をみせる。また、整った形態に透明釉の仕上がりもよい。我が国における中国産輸入陶磁器は、越州窯や龍泉窯などの江南産が知られるなかで、数少ない磁州窯系鉄絵壺の優品であり、伝世品以外の完形品は他に例をみない。さらに破損箇所を漆継ぎで丁寧に修復している点も興味深く、壺内面に残る銅銭の痕跡は、埋納時の様子を伝える。
詳細解説▶
詳細解説
白化粧をした上に鉄釉で文様を描いた白地鉄絵鳥文壺で、熊本県衹園遺跡から出土した。 衹園遺跡は、熊本県北東部、阿蘇カルデラ南部の南郷谷中央部、標高約407から411mの緩斜面末端部にあり、一級河川の白川と支流の高木川に挟まれた地に位置する。発掘調査の結果、12世紀後半から14世紀末にかけての礎石建物1棟、掘立柱建物38棟、井戸2基等が検出され、多種多様な陶磁器類が出土した。これら陶磁器類は、種類と量の多さにくわえ、多数の優品が含まれることから、その奢侈性が注目を集めた。高木川を挟んだ約150m北方には同時期の二本木前遺跡が位置し、両遺跡は『吾妻鏡』などに「南郷大宮司」としてその名がみえ、阿蘇神社の大宮司職を代々受け継いだ阿蘇氏による居館跡と考えられている。 白地鉄絵鳥文壺は、礎石建物基壇下に穿たれた土坑(長軸0.5m、短軸0.4m)から、口縁部を南西方向にやや傾けた状態で出土した。銅銭を入れた壺を土坑内に安置後、その土坑を覆うように建物基壇を構築していることから、本品は礎石建物の地鎮具として用いられたと考えられる。 白地の化粧土の上に鉄釉で窓を設け、鳥や草等の文様を大胆な筆致で描いた本品は、中国河北省磁県を中心に盛行した磁州窯系陶器において、元時代以降の特徴を示す。また、整った形態に透明釉の仕上がりもよく、優品である。鎌倉時代における輸入陶磁器の中でも数少ない磁州窯系鉄絵壺であり、伝世品以外の完形品は他に例がない。さらに、破損した箇所を漆継ぎで丁寧に修復している点も興味深く、壺内面に残る緑青は、銭貨を複数枚入れて埋納した状況を伝える。越州窯、龍泉窯といった江南産が主流であった中国産輸入陶磁器において、華北産陶磁器の我が国への搬入を考える上でも、本品は重要な資料である。 なお、壺内部に納入した銅銭はその大部分が失われてしまったが、地鎮具の様相を示す資料として、内部より出土した1枚を附とし、ともに保全を図りたい。 以上本件は、中国磁州窯系陶器の優品であり、小片が中心の磁州窯系陶器の出土資料において、ほぼ全体が残る唯一の例である。当地に伝来した後、修復されながら礎石建物の地鎮具として埋納された状況が明確に捉えられる稀有な事例であり、高い学術的価値を有する。
関連情報
附指定
銅銭
関連情報
附指定
附名称
:
銅銭
附員数
:
1点
附ト書
: