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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
鹿児島県山ノ口遺跡出土品
ふりがな
:
かごしまけんやまのくちいせきしゅつどひん
鹿児島県山ノ口遺跡出土品
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員数
:
一括
種別
:
考古資料
国
:
日本
時代
:
弥生時代中期
年代
:
紀元前2~1世紀
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
690
枝番
:
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2025.09.26(令和7.09.26)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
鹿児島県
所在地
:
鹿児島県霧島市国分上野原縄文の森2-1・鹿児島県鹿児島市城山町7-2
保管施設の名称
:
鹿児島県立埋蔵文化財センター・鹿児島県歴史・美術センター黎明館
所有者名
:
鹿児島県
管理団体・管理責任者名
:
鹿児島県山ノ口遺跡出土品
解説文:
詳細解説
山ノ口遺跡は、昭和30年代、鹿児島県考古学会の黎明期を主導した河口貞徳らによって発掘調査が行われ、軽石を円形に並べた弥生時代中期後半の配石遺構群とともに、土器や軽石製品などの祭祀遺物が多数出土した。遺跡は、大隅半島の鹿児島湾に面した砂丘上に存在する。
岩偶に代表される軽石製品は、弥生時代におけるこの地域の独特な精神世界をよく示す。岩偶は男女の一点づつがあり、特に女性岩偶は、乳房、性器、髪の結束がそれぞれ陽刻、穿孔、線刻によって表現され、より具象的である。また、陰石状製品、石棒状製品は、それぞれ男女の生殖器を象るとみる意見があり、再生を願う儀礼に結びつく。ただし、前者を容器、後者を家形とみる意見もあり、未だ定見をみていない。このほか、明らかな家形、勾玉形、不定形の軽石礫に線刻や穿孔を施すものなどがあり、その形状は多様である。
土器には甕形、壺形、鉢形などがあり、その多くは体部に穿孔が認められる。土器を置く際に、その機能を失わせる儀礼行為を行ったことを示している。またこれらの土器は、器種の揃う残りのよい一括資料としても重要で、弥生時代中期後半の南九州地域に分布する土器群を代表して、山ノ口式土器と呼ばれる。土器の多くには、開聞岳起源の火山噴出物・暗紫ゴラが固着しており、放射性炭素年代測定によって年代の定点が与えられることも、その価値を高めている。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
添付ファイル
なし
写真一覧
鹿児島県山ノ口遺跡出土品
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鹿児島県山ノ口遺跡出土品
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解説文
山ノ口遺跡は、昭和30年代、鹿児島県考古学会の黎明期を主導した河口貞徳らによって発掘調査が行われ、軽石を円形に並べた弥生時代中期後半の配石遺構群とともに、土器や軽石製品などの祭祀遺物が多数出土した。遺跡は、大隅半島の鹿児島湾に面した砂丘上に存在する。 岩偶に代表される軽石製品は、弥生時代におけるこの地域の独特な精神世界をよく示す。岩偶は男女の一点づつがあり、特に女性岩偶は、乳房、性器、髪の結束がそれぞれ陽刻、穿孔、線刻によって表現され、より具象的である。また、陰石状製品、石棒状製品は、それぞれ男女の生殖器を象るとみる意見があり、再生を願う儀礼に結びつく。ただし、前者を容器、後者を家形とみる意見もあり、未だ定見をみていない。このほか、明らかな家形、勾玉形、不定形の軽石礫に線刻や穿孔を施すものなどがあり、その形状は多様である。 土器には甕形、壺形、鉢形などがあり、その多くは体部に穿孔が認められる。土器を置く際に、その機能を失わせる儀礼行為を行ったことを示している。またこれらの土器は、器種の揃う残りのよい一括資料としても重要で、弥生時代中期後半の南九州地域に分布する土器群を代表して、山ノ口式土器と呼ばれる。土器の多くには、開聞岳起源の火山噴出物・暗紫ゴラが固着しており、放射性炭素年代測定によって年代の定点が与えられることも、その価値を高めている。
詳細解説▶
詳細解説
本出土品は、鹿児島県肝属郡錦江町に所在する山ノ口遺跡より出土した、弥生時代中期後半を中心とした一括資料である。 昭和33年から36年にかけて、当時の鹿児島県考古学界を主導した河口貞徳らによって発掘調査が行われ、海岸線に沿って幅200m、長さ60mの範囲に軽石を円形に並べた配石遺構群が立石を伴って発見され、遺構とその周辺から多くの土器や軽石製品が出土した。 このうち、本出土品を特徴づけるのは、岩偶に代表される軽石製品である。岩偶は2点あり、それぞれ男女を表すとみられる。特に女性岩偶は、乳房、性器、髪の結束がそれぞれ陽刻、穿孔、線刻によって表現され、より具象的である。また、女性器を表した陰石状製品、および男性器を表した石棒状製品の存在は、本遺跡を農耕に関わる祭祀場とみる意見の根拠とされている。ただし、前者を容器、後者を家形とみる意見もあり、定見をみない。この他、明らかに家形を呈する1点や、勾玉形、不定形の軽石礫に線刻や穿孔を施すものなどがあり、その形状は多様である。 土器には甕形、壺形、鉢形などがある。壺形土器の大半、および甕形・鉢形土器の一部には、主に体部下位に焼成後の穿孔が認められる。土器を配置する際に行った祭祀行為の痕跡とみられ、遺構の性格を復元するうえでも重要な情報を内包する。また、本土器群は、器種の揃う遺存状態の良いまとまった一括資料としても重要である。発掘調査直後、河口により、弥生時代中期後半の南九州地域を代表する土器群として山ノ口式土器と命名され、現在でもその標式資料として位置づけられている。さらに、土器に固着する開聞岳起源の火山噴出物・暗紫ゴラが、放射性炭素年代測定にて約2000年前とされたこと、北部九州における須玖Ⅱ式系統の土器を伴うことにより、年代的な指標として、また九州全域における広域的な併行関係を示す資料群として、高い価値を有する。 以上本出土品は、南九州地域における弥生時代の独特な精神世界、および祭祀遺物の組み合わせをよく示す資料として重要である。また土器群は、弥生時代中期後半における南九州地域の一括性に優れた基準資料であり、学術的価値が高い。
関連情報
一つ書
軽石製品
土器
石器
関連情報
一つ書
一つ書主名称
:
軽石製品
一つ書員数
:
30点
ト書
:
関連情報
一つ書
一つ書主名称
:
土器
一つ書員数
:
48点
ト書
:
関連情報
一つ書
一つ書主名称
:
石器
一つ書員数
:
14点
ト書
: