国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
歎異抄
ふりがな
:
たんにしょう
解説表示▶
員数
:
2巻
種別
:
書跡・典籍
国
:
日本
時代
:
室町
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
蓮如書写奥書
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
02514
枝番
:
00
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
2000.06.27(平成12.06.27)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
京都府
所在地
:
保管施設の名称
:
所有者名
:
本願寺
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
『歎異抄』は、親鸞【しんらん】(一一七三-一二六二年)の直弟子常陸国河和田村住の唯円【ゆいえん】(一二二二-八九年)の著述書である。序文によれば、親鸞没後に、その所説でない異義を広める者が多く、他力の信心を乱す者があるので、直接親鸞から聞いたところに基づいて異義を批判して、真実の信心を明らかにしようとしたものである。
内容は、前半一〇章の師訓篇と後半八章の異義篇からなり、師訓篇は親鸞の法語を抄出し、異義篇は唯円が見聞した異義を歎き、批判している。師訓篇第三章には、「善人ナヲモテ往生ヲトク、イハンヤ悪人ヲヤ」で著名な悪人正機説がみられる。その成立時期は、親鸞没後二〇-三〇年後の鎌倉時代中期ころと推定されているが、原本は不明である。
『歎異抄』の写本は法然一門の流罪記録の有無によって二系統に大別される。流罪記録のある永正十六年(一五一九)書写の端ノ坊本(真宗大谷学園蔵)と、流罪記録のない永正十三年書写の専精寺本などが知られる。本書は諸写本中の現存最古写本で、端ノ坊本の親本にあたる。
本書は現在上・下巻からなる巻子装であるが、料紙の綴穴跡などから、本来は袋綴装冊子本であったことが知られる。本文料紙には楮紙を用い、半葉六行に楷書にて書写されている。本文は片仮名交り文にて、まま漢字に墨振仮名を施している。首題「歎異抄」から始まり、「ナツケテ歎異抄トイフヘシ、外見アルヘカス、ト」までの本文と、法然・親鸞等の流罪に関する記録および奥書を完存している。上巻には一八章中の一三章が、下巻には残りの五章および流罪記録が収められている。上巻の巻頭には、見返の白紙があり、次いで「歎異抄一通」(中央)、「蓮如之」(右下)と墨書する原表紙がある。外題の「一通」は追筆である。下巻の本文と流罪記録との間には白紙が入っている。流罪記録の内容は、親鸞についての記載等からみて、浄土真宗にふさわしいものになっている。下巻の巻末には、本願寺第八世蓮如【れんにょ】(一四一五-九九年)自筆にて「右斯聖教者、為當流大事聖教也、於無宿善機、無左右不可許之者也、釈蓮如(花押)」との奥書がある。書写年代はないものの、蓮如の花押の形態、書風などからみて、室町時代中期に書写されたと考えられている。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
解説文
『歎異抄』は、親鸞【しんらん】(一一七三-一二六二年)の直弟子常陸国河和田村住の唯円【ゆいえん】(一二二二-八九年)の著述書である。序文によれば、親鸞没後に、その所説でない異義を広める者が多く、他力の信心を乱す者があるので、直接親鸞から聞いたところに基づいて異義を批判して、真実の信心を明らかにしようとしたものである。 内容は、前半一〇章の師訓篇と後半八章の異義篇からなり、師訓篇は親鸞の法語を抄出し、異義篇は唯円が見聞した異義を歎き、批判している。師訓篇第三章には、「善人ナヲモテ往生ヲトク、イハンヤ悪人ヲヤ」で著名な悪人正機説がみられる。その成立時期は、親鸞没後二〇-三〇年後の鎌倉時代中期ころと推定されているが、原本は不明である。 『歎異抄』の写本は法然一門の流罪記録の有無によって二系統に大別される。流罪記録のある永正十六年(一五一九)書写の端ノ坊本(真宗大谷学園蔵)と、流罪記録のない永正十三年書写の専精寺本などが知られる。本書は諸写本中の現存最古写本で、端ノ坊本の親本にあたる。 本書は現在上・下巻からなる巻子装であるが、料紙の綴穴跡などから、本来は袋綴装冊子本であったことが知られる。本文料紙には楮紙を用い、半葉六行に楷書にて書写されている。本文は片仮名交り文にて、まま漢字に墨振仮名を施している。首題「歎異抄」から始まり、「ナツケテ歎異抄トイフヘシ、外見アルヘカス、ト」までの本文と、法然・親鸞等の流罪に関する記録および奥書を完存している。上巻には一八章中の一三章が、下巻には残りの五章および流罪記録が収められている。上巻の巻頭には、見返の白紙があり、次いで「歎異抄一通」(中央)、「蓮如之」(右下)と墨書する原表紙がある。外題の「一通」は追筆である。下巻の本文と流罪記録との間には白紙が入っている。流罪記録の内容は、親鸞についての記載等からみて、浄土真宗にふさわしいものになっている。下巻の巻末には、本願寺第八世蓮如【れんにょ】(一四一五-九九年)自筆にて「右斯聖教者、為當流大事聖教也、於無宿善機、無左右不可許之者也、釈蓮如(花押)」との奥書がある。書写年代はないものの、蓮如の花押の形態、書風などからみて、室町時代中期に書写されたと考えられている。