国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
紙本著色絵因果経〈巻第三上/〉
ふりがな
:
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員数
:
1巻
種別
:
絵画
国
:
日本
時代
:
奈良
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
01859
枝番
:
00
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
1986.06.06(昭和61.06.06)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
東京都
所在地
:
東京都千代田区丸の内3-1-1
保管施設の名称
:
公益財団法人出光美術館
所有者名
:
公益財団法人出光美術館
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
仏伝経典の代表的なものである「過去現在因果経」に絵を付した写経を、「絵因果経」と称しており、中でも奈良時代の製作になるものは「古因果経」と呼んで珍重されるが、本巻はその一例である。四巻本「過去現在因果経」の各巻を上下二巻に分けた、八巻一具として作られたもので、その巻第三の上である本巻は、悉達太子の出家後の修業期を表わしている。
全巻を通して上下二段に分かち、下段に経文を一行八字を基準に書写し、上段には経文に対応する絵を、場面の転換をはかりながら、連続的に描く。小さい絵ではあるものの、人物の顔貌など細部までこまやかな表現が見られ、巻頭に近い部分で多少剥落が見られる他は、保存も良い。
古因果経諸本は、それぞれに画風の差異を示すが、本巻は、諸本に共通の古朴な様式に基づきつつも、人物と景観との比例などに、自然な表現への意識を働かせているのが特徴である。経文の書風は、他本の様な通常の写経生の厳格な書風とは異なると見受けられる。これらのことから、製作時期が若干下降するという意見もあるが、その点はなお検討を要するところであろう。
なお本巻の巻頭には「興福伝法」の印が捺されており、もと興福寺伝法院に蔵された一本であることが判る。同じ印が東京芸術大学本(巻第四下)にもあり、これら両本は一具であった可能性もあるが、作風には明瞭な差が認められるので、断定することは難しい。
古因果経は、断簡となったものを含めて、五巻が現存するが、本巻は同巻次である醍醐寺本と並んで、一紙の欠落もなく伝えられた一巻として、極めて貴重な遺品である。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
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解説文
仏伝経典の代表的なものである「過去現在因果経」に絵を付した写経を、「絵因果経」と称しており、中でも奈良時代の製作になるものは「古因果経」と呼んで珍重されるが、本巻はその一例である。四巻本「過去現在因果経」の各巻を上下二巻に分けた、八巻一具として作られたもので、その巻第三の上である本巻は、悉達太子の出家後の修業期を表わしている。 全巻を通して上下二段に分かち、下段に経文を一行八字を基準に書写し、上段には経文に対応する絵を、場面の転換をはかりながら、連続的に描く。小さい絵ではあるものの、人物の顔貌など細部までこまやかな表現が見られ、巻頭に近い部分で多少剥落が見られる他は、保存も良い。 古因果経諸本は、それぞれに画風の差異を示すが、本巻は、諸本に共通の古朴な様式に基づきつつも、人物と景観との比例などに、自然な表現への意識を働かせているのが特徴である。経文の書風は、他本の様な通常の写経生の厳格な書風とは異なると見受けられる。これらのことから、製作時期が若干下降するという意見もあるが、その点はなお検討を要するところであろう。 なお本巻の巻頭には「興福伝法」の印が捺されており、もと興福寺伝法院に蔵された一本であることが判る。同じ印が東京芸術大学本(巻第四下)にもあり、これら両本は一具であった可能性もあるが、作風には明瞭な差が認められるので、断定することは難しい。 古因果経は、断簡となったものを含めて、五巻が現存するが、本巻は同巻次である醍醐寺本と並んで、一紙の欠落もなく伝えられた一巻として、極めて貴重な遺品である。