国宝・重要文化財(美術工芸品)
 主情報
名称 紙本墨画淡彩楼閣山水図〈曽我蕭白筆/六曲屏風〉
ふりがな
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員数 一双
種別 絵画
日本
時代 江戸
年代
西暦
作者 曽我蕭白
寸法・重量
品質・形状
ト書
画賛・奥書・銘文等
伝来・その他参考となるべき事項
指定番号(登録番号) 01914
枝番 00
国宝・重文区分 重要文化財
重文指定年月日 1992.06.21(平成4.06.21)
国宝指定年月日
追加年月日
所在都道府県 滋賀県
所在地
保管施設の名称
所有者名 近江神宮
管理団体・管理責任者名

解説文:
 向かって右隻を春、向かって左隻を秋の季節として描く山水図屏風である。それぞれ中国の西湖、天台山ないし金山の景観を描くとも考えられるが、確定し難い。「楼閣山水図」の名称が妥当であろう。
 白井華陽著『画乗要略』(天保二年刊)が蕭白【しようはく】(一七三〇-八一)は雲谷派【うんこくは】を学んだと記すとおり、本図に描かれる、頂上付近にまばらに木が生える山や垂直に切り立つ絶壁の形などは、雲谷派の様式を顕著に示している。さらに、全体の構図や金泥【きんでい】を刷いて霞や光を表す手法も、室町時代以来描かれた山水図屏風の先例に倣っている。しかしながら、過去の様式の単なる復興ではなく、それらを誇張しつつ再生することで一種幻想的な景観を作り出している点、江戸時代の特異な山水図として評価に値する。また、向かって左隻において、湖上の楼台と中景・遠景の景物ほとんどを淡墨主体に描き、金泥の効果と合わせて月夜の薄明を暗示するなど、南画や円山派【まるやまは】のすぐれた山水画と共通する、現実感に裏付けられた描写を合わせ持つ点も注目される。
 本図の硬質な画風は、蕭白三五、六歳ころと推定される「瀟湘八景図【しようしようはつけいず】」(旧永島家障壁画)よりも五〇歳の「石橋図【しやつきようず】」(安永八年象田周耕【ぞうでんしゆうこう】の賛がある。ニューヨーク・バーク=コレクション)に近い。また、両隻に捺【お】される「蕭白」朱文方印は、三五歳の「群仙図屏風」(京都府・個人蔵)以降の磨滅状態を示しており、向かって右隻の「曽我氏」朱文方印は、四三歳の「峨嵋山月図【がびさんげつず】」(安永二年松波酊斎【まつなみていさい】の賛がある。秋田県・個人蔵)以前に使用例が確認されていないところから、制作年代はおよそ四十代と考えられる。
 蕭白の作品は、これまで「寒山拾得図【かんざんじつとくず】」(京都府・興聖寺【こうしようじ】蔵)と「唐獅子図【からじしず】」(三重県・朝田寺【ちようでんじ】蔵)が重要文化財に指定されている。本図は蕭白の山水画の代表作として、またその緻密な一面を示す作品として推賞される。(挿図は二八ページ参照)
関連情報
    (情報の有無)
  附指定 なし
  一つ書 なし
  添付ファイル なし