国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
木造如意輪観音坐像
ふりがな
:
もくぞうにょいりんかんのんざぞう
解説表示▶
員数
:
1躯
種別
:
彫刻
国
:
日本
時代
:
平安
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
03397
枝番
:
00
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
1987.06.06(昭和62.06.06)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
大阪府
所在地
:
保管施設の名称
:
所有者名
:
大門寺
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
当時の秘仏本尊として祀られる六臂【ぴ】如意輪観音像で、樟の一材から像身のすべてと岩座までを彫成する。彩色は僅かに唇に朱を点じるのみで、眉目や宝冠の文様を墨描きする他は、素地のままに仕上げている。屈曲の強い樟の老樹が用いられたようで、岩座は空洞や材の朽損部を巧みに利用して、凹凸が表現されており、江戸時代に書かれたこの寺の縁起にいう霊木・神木の類を用材としたものかもしれない。
全体の造形には、この種素木【しらき】造の像に間々みられる簡略化の傾向が示されるものの、円満な相好、丸味をおびた姿態、薄く柔かい衣の表現に、平安後期の特色が顕著に認められる。
六臂の姿は、種々の経典儀軌に説くところと大きく異なるところはないが、一般に蓮華を執ることの多い左第一手は、〓無畏印風に掌を前に向けてたて、五指を伸ばしている。左第二手は、経軌に「光明山を按【おさえ】る」と説くところを表わしたもので、ここにいう光明山とは観音浄土補陀落山のことである。
この種補陀落山上に坐す六臂如意輪観音像は、平安末期の図像中にその例を多くみることができるが、彫像では本像の他にその確かな遺例を知らない。おそらく、平安時代の作例としては現存唯一といえるのではないか。
保存状態の良好なことも特筆され、本体に合わせて右傾する特異な形の板光背も一具同作のもので、六臂のすべてと持物の一部までを残しているのも賞される。
なお、大和郡山の西方寺には、本寺旧蔵の一切経が伝えられているが、その第Ⅰ期の書写事業が進められた承徳~保安年間(一〇九七-一一二四)を、本像の製作時期にあてても矛盾はない。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
解説文
当時の秘仏本尊として祀られる六臂【ぴ】如意輪観音像で、樟の一材から像身のすべてと岩座までを彫成する。彩色は僅かに唇に朱を点じるのみで、眉目や宝冠の文様を墨描きする他は、素地のままに仕上げている。屈曲の強い樟の老樹が用いられたようで、岩座は空洞や材の朽損部を巧みに利用して、凹凸が表現されており、江戸時代に書かれたこの寺の縁起にいう霊木・神木の類を用材としたものかもしれない。 全体の造形には、この種素木【しらき】造の像に間々みられる簡略化の傾向が示されるものの、円満な相好、丸味をおびた姿態、薄く柔かい衣の表現に、平安後期の特色が顕著に認められる。 六臂の姿は、種々の経典儀軌に説くところと大きく異なるところはないが、一般に蓮華を執ることの多い左第一手は、〓無畏印風に掌を前に向けてたて、五指を伸ばしている。左第二手は、経軌に「光明山を按【おさえ】る」と説くところを表わしたもので、ここにいう光明山とは観音浄土補陀落山のことである。 この種補陀落山上に坐す六臂如意輪観音像は、平安末期の図像中にその例を多くみることができるが、彫像では本像の他にその確かな遺例を知らない。おそらく、平安時代の作例としては現存唯一といえるのではないか。 保存状態の良好なことも特筆され、本体に合わせて右傾する特異な形の板光背も一具同作のもので、六臂のすべてと持物の一部までを残しているのも賞される。 なお、大和郡山の西方寺には、本寺旧蔵の一切経が伝えられているが、その第Ⅰ期の書写事業が進められた承徳~保安年間(一〇九七-一一二四)を、本像の製作時期にあてても矛盾はない。