国指定文化財等
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・・・国宝、重要文化財
国宝・重要文化財(美術工芸品)
主情報
名称
:
木造十一面観音立像
ふりがな
:
もくぞうじゅういちめんかんのんりゅうぞう
解説表示▶
員数
:
1躯
種別
:
彫刻
国
:
日本
時代
:
平安
年代
:
西暦
:
作者
:
寸法・重量
:
品質・形状
:
ト書
:
画賛・奥書・銘文等
:
伝来・その他参考となるべき事項
:
指定番号(登録番号)
:
03427
枝番
:
00
国宝・重文区分
:
重要文化財
重文指定年月日
:
1991.06.21(平成3.06.21)
国宝指定年月日
:
追加年月日
:
所在都道府県
:
三重県
所在地
:
保管施設の名称
:
所有者名
:
瀬古区
管理団体・管理責任者名
:
解説文:
白檀【びやくだん】のように堅緻な榧【かや】材を用いて素地【きじ】仕上げとした十一面観音立像である。髻と天冠台の上方は髪筋を刻まず、髪際正面をまばら彫りとし、肩にかかる波状の垂髪を表す。左手は前に出して宝瓶を執り、右手は腰脇で前に向けて下げる。条帛【じようはく】、裳、天衣【てんね】、臂釧【ひせん】をつけ、腰を左に捻り、右膝をゆるめて立つ。頭部から足下の蓮肉までのほぼ全容を一材から彫出するが、両手首より先は左手の宝瓶を含め別材で作る。そのほかにも、頭上面の全てと髻先端、後頭部、右耳朶、背部左側の一部、左手第二-四指先、右足第一指、天衣の両腕の外側に垂下する部分に別材を寄せているが、これらは後補である。
ほぼ球形の頭部には瞼と頬の膨らみのつよい面貌を刻み、条帛を胸高にまとう幅広い短躯も豊かな肉付きとし、大ぶりの衣文をあしらう。その伸び伸びとしておおらかな作風は、平安前期の檀像と呼ばれる精緻な小彫刻のなかにあって、やや異質な趣を示すものといえよう。右膝をゆるめながら踵を大きくうかせるのは、『十一面観世音神呪経【しんじゆきよう】』(耶舎崛多訳)などに白檀の十一面観音像が「自然動揺」したと説かれるさまを表すものであろうが、その動態表現に個性的な特色がうかがえる。類似の遺例は檀像よりも一木彫像の大作に求められ、それとの比較により製作の時期は九世紀前半に位置づけられる。
なお本像は明治初期に廃絶した高田寺に伝来し、その跡地に建つ白山町大字川口字瀬古の公民館に安置されていた。
関連情報
(情報の有無)
附指定
なし
一つ書
なし
添付ファイル
なし
解説文
白檀【びやくだん】のように堅緻な榧【かや】材を用いて素地【きじ】仕上げとした十一面観音立像である。髻と天冠台の上方は髪筋を刻まず、髪際正面をまばら彫りとし、肩にかかる波状の垂髪を表す。左手は前に出して宝瓶を執り、右手は腰脇で前に向けて下げる。条帛【じようはく】、裳、天衣【てんね】、臂釧【ひせん】をつけ、腰を左に捻り、右膝をゆるめて立つ。頭部から足下の蓮肉までのほぼ全容を一材から彫出するが、両手首より先は左手の宝瓶を含め別材で作る。そのほかにも、頭上面の全てと髻先端、後頭部、右耳朶、背部左側の一部、左手第二-四指先、右足第一指、天衣の両腕の外側に垂下する部分に別材を寄せているが、これらは後補である。 ほぼ球形の頭部には瞼と頬の膨らみのつよい面貌を刻み、条帛を胸高にまとう幅広い短躯も豊かな肉付きとし、大ぶりの衣文をあしらう。その伸び伸びとしておおらかな作風は、平安前期の檀像と呼ばれる精緻な小彫刻のなかにあって、やや異質な趣を示すものといえよう。右膝をゆるめながら踵を大きくうかせるのは、『十一面観世音神呪経【しんじゆきよう】』(耶舎崛多訳)などに白檀の十一面観音像が「自然動揺」したと説かれるさまを表すものであろうが、その動態表現に個性的な特色がうかがえる。類似の遺例は檀像よりも一木彫像の大作に求められ、それとの比較により製作の時期は九世紀前半に位置づけられる。 なお本像は明治初期に廃絶した高田寺に伝来し、その跡地に建つ白山町大字川口字瀬古の公民館に安置されていた。