国宝・重要文化財(美術工芸品)
 主情報
名称 木造四天王立像
ふりがな もくぞうしてんのうりゅうぞう
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員数 4躯
種別 彫刻
日本
時代 平安
年代
西暦
作者
寸法・重量
品質・形状
ト書
画賛・奥書・銘文等
伝来・その他参考となるべき事項
指定番号(登録番号) 03463
枝番 00
国宝・重文区分 重要文化財
重文指定年月日 1997.06.30(平成9.06.30)
国宝指定年月日
追加年月日
所在都道府県 岩手県
所在地
保管施設の名称
所有者名 黒石寺
管理団体・管理責任者名

解説文:
 等身、一木造の四天王像で、いずれも兜をかぶる姿に表される。黒石寺本堂須弥壇上に安置されている。
 前方の持国・増長天はいずれもケヤキ(か)の大きな一材の木裏を用いて木取りされ、背面下半身に方形の背刳りを施す構造になる。持国天の両肩より先、増長天の左前膊半ばより先、右肩より先等が後補で、表面は白地彩色とするがほとんど剥落、わずかに増長天の袴の唐草文(墨描)が認められる程度である。
 これら二体は作風もよく似ており、頭部が小さめで、下顎の張った面部にそれぞれ個性的な大ぶりの目鼻立ちを刻み出し、体躯は腰を強く捻り、上体を傾けて激しい動きを表す。側面観では頭部から胸にかけての奥行が浅く、下半身の著しい肥大が強調される。こうした体型や、陰刻線を主体とした衣文【えもん】の彫法、あるいは持国天の頬がこけ、上唇を突き出した顔つきなどの特色には貞観四年(八六二)銘の黒石寺本尊、薬師如来像(重文)と通じるところがあり、おそらく本尊像と同時期に、同系の作者によって造られたとみてよいであろう。
 広目・多聞天はカツラ材製で、広目天は右肩を通る線で体部を左右に割って内刳りを施し、多聞天は前方二体と同様、下半身に方形の背刳りを行う。後補部は広目天の両手先、右足首以下、多聞天の左肩より先、右肘より先、両足首以下などで、彩色はやはり剥落が著しいが広目天の胸甲や肩当の繧繝による花文など、各所に文様が認められる。
 広目天は太造りで、体躯の構え方や甲制には増長天に倣った点があり、また多聞天の動きを控えた姿は他の像と多少異なった印象を与えるが、その面貌にはやはり前方の二体を意識したようなところが見受けられる。これら後方像の作風は持国・増長天に比べて穏やかさを増しているもののなお平安初期の風をとどめており、腕部まで共木彫出とする構造も古式で、おそらく十世紀初めころまでに四体一具をなすべく、追加造像されたものとみられる。
 東国の古代彫像を代表する遺品のひとつといえ、ことに持国・増長天は薬師如来像とともに、九世紀彫刻の基準的作例として価値が高い。
関連情報
    (情報の有無)
  附指定 なし
  一つ書 なし
  添付ファイル なし